相変わらず、自宅で仕事をする日々が続いています。そして、夜には韓国のドラマをちょっとずつ見る日々も相変わらず。ただ最近、一つ気になることが。韓国ドラマでは屋外のシーンから家やレストランなど屋内のシーンに移っても、登場人物がコートやジャケットなど、アウターを脱がないことが多いのです。みんな暑くない? 下の服が見てみたいんだけど? と、気になりはじめると気になってしまう。たぶんキャラクター設定をわかりやすくするためだと思うのですが、プロダクト・プレイスメントの一環でもあるのでしょうか。詳しい方、教えてください。
そんななかでも衣装がいちばん自然でいいな、と思ったのが、2017年のドラマ『秘密の森』。チョ・スンウ演じる検事と、ぺ・ドゥナ演じる刑事が殺人事件を追ううち、もっと大きな闇に気づく――という硬派サスペンスです。検察庁と警察が舞台なので、基本はみんなスタンダードなスーツか現場第一の普段着なのですが、野心満々で調子のいい検事役はスーツにカラーのシャツを合わせていたり、男性のプライベートな服がきちんと考えられていたり、手抜きがない。特にぺ・ドゥナの刑事役では、機能的な服にプラスで「これ可愛い!」というアイテムを混ぜてくるのに感心しました。
シンプルなパンツ姿にはチェックのジャケットを羽織り、全身ブラックのときは黒革のロングコートで決めてみる。スーツもいかにもキャリア的なパンツスーツではなく、ネイビーのセットアップなのがキュート。自宅でバーベキュー飲み会をする場面の白のハウスコートも素敵でした。もちろん、すぐ動けるように靴はいつもフラット。「この人は仕事ができるし、スタイルもあるな」という感じが、ぺ・ドゥナの着こなしで完璧になっていました。しかも、彼女らしいユーモアと温かさがある。
それもあって、このドラマでは主人公の男女が信頼しあえるバディになっていく過程がいいんですよね。恋愛要素を挟まずに、二人が相手を理解し、思いやるところに物語のハートがあります。最後の「赤い口紅」のやりとりにもぐっときました。10月にNetflixでリリースされる『秘密の森』シーズン2のスチール写真を見ると、今度はぺ・ドゥナがロングヘアになっている! 着る服の雰囲気もきっと変わっているはず。でも行動的なキャラはそのままで、新しいフェミニンなスタイルになっているのでは? と、想像が膨らみます。
『秘密の森』
演出/アン・ギルホ
脚本/イ・スヨン
出演/チョン・スンウ、ぺ・ドゥナ、イ・チャンジュン
Netflixオリジナルシリーズ『秘密の森』シーズン2は10月11日独占配信開始予定
本誌で映画のレビューを手がける。ライター、エディター、翻訳もこなす。趣味は散歩と、猫と遊ぶこと、フットボールを見ること。