【マリウス葉の一歩ずつ進もう】ギャラリストと対談。「アートが私たちにくれるもの」

マリウス葉 One step at a time

「今、アート業界にすごく興味があって」と、国内外のフェアに行き、アートに関する知見を広げているマリウスさん。そこで親交のあるギャラリスト・結城加代子さんとともに、その魅力から社会的意義まで、今月・来月と2回にわたって語り合う。

マリウス葉プロフィール画像
マリウス葉

2000年、ドイツ生まれ。幼少期を父の出身地のハイデルベルクで過ごす。元タカラジェンヌの母の影響で歌や踊りのレッスンを始め、11歳のとき、アイドルグループのメンバーとしてデビュー。2022年12月、芸能活動を引退。2024年7月、スペインの大学を卒業した。

Kayoko Yuki プロフィール画像
Kayoko Yuki

結城加代子●KAYOKOYUKI合同会社オーナー。2015年に駒込の古い建物をリノベーションしギャラリースペースをオープン。国内外の現代アートに関する企画やアーティストのマネジメントを行い、国際的なアートフェア「Art Basel」や「Frieze」にも参加している。

マリウス葉 SPUR

K: Kayoko
M: Marius
S: SPUR

M 結城さんのギャラリーに来たのは、去年の11月以来ですけれど、今回展示されている絵も素敵ですね。どれも色使いに個性があって。

K ありがとうございます。今、展示されているのは同世代の日本人アーティストの作品なんです。タイプは違うけれど、どの絵にもストーリーを感じますよね。

M 住宅地の中にひっそりとギャラリーがあるのもいいですね。駒込という場所を選んだのはなぜですか。

K 東京藝術大学が近いので、アーティストや、キュレーターの方がぽつぽつといて「駒込はいいよ」とすすめられたんです。土地勘のないところだったんですけれど、来てみたら静かで落ち着いていて、とてもいい街で。古い木造倉庫をリノベーションしてギャラリーにしました。
日本のアートのメインエリアは、六本木、京橋、天王洲あたりなんですけれど、駒込はそこから離れているので、トレンドばかりを追うような投資目的の人が来づらいのも逆にいいかなと思いました。ハードコアなアート好きしか来ないので。

M 僕もハードコアってことですね(笑)。

S そもそもお二人はどうやって知り合ったんですか?

M 最初は昨年11月の『Art Collaboration Kyoto』(ACK)ですよね。

K そうですね。ACKは、2021年から京都で開催されている現代美術のアートフェアで、日本のギャラリーと海外のギャラリーがコラボレーションして行うイベントなんです。2つのギャラリーが1ブースを持つんですけれど、自分のギャラリーに合う海外のギャラリーを探して、「テーマはどうする?」「この作家の隣にこれを飾るのはどう?」って相談しながら決めていきます。

M 意外な組み合わせだったり、コラボによってケミストリーが生まれたりして、すごく面白いんです。

K 毎年イベント中に、MISAKO & ROSENとXYZ collectiveがオーガナイズするカラオケ大会があるんですけれど、そのときにたまたまマリウスさんと席が隣になったんです。申し訳ないけれど、私、マリウスさんのことを存じ上げなくて。でも、まるで王子様みたいなビジュアルだし、歌もうまくて、すごいですねって(笑)。

M それ以来、駒込のギャラリーにお邪魔したり、アート業界について教えてもらったりするようになりました。

K いやいや、マリウスさん、とっても勉強家で、アートについての知識も豊富で末恐ろしい(笑)。教えるどころか、こっちがいろいろ教えてもらっています。

ベルリンのような活発なアートコミュニティを東京に

マリウス葉 結城加代子 SPUR

S マリウスさんがそこまでアートにのめり込むきっかけは何だったんですか?

M 子どもの頃、ドイツに住んでいたときから、よく美術館に行ったりしていたんですけれど、がっつりハマったのは、去年、姉が住んでいるベルリンに滞在していたときです。ベルリンって、お金はないけれど、才能とやる気のある若いアーティストが世界中から集まっていて、ギャラリーの数もすごく多いんですよ。1部屋くらいの小さなものも含めると300近くあるんじゃないかな。

K アーティスト自身がやっているギャラリーなんかもあって。

M そう。それでいろいろ観に行って。(スマホでマッピングを確認)……55カ所、行きました!

K わあ、 それはまたたくさん行きましたね。どうでしたか?

M 「これ、アート?」っていうものから高価なものまで、本当にさまざまで、心に刺さる作品もあったんですけれど、それと同時にベルリンのアートコミュニティにすごく惹かれたんです。アーティストだけでなくデザイナーやモデル、フォトグラファー、ミュージシャンと、さまざまな人たちが交じり合って成り立っている。そのエネルギーがすごいなって。東京にもそういうアートコミュニティを作りたいと思いました。

K ベルリンは、本当にエマージングで活気のある街ですよね。それに比べると日本は、いい意味でも悪い意味でも世界からちょっと離れている印象だと思います。独自の世界でアートシーンが成り立っているんですね。世界的なトレンドがダイレクトに来ないし、日本のトレンドも世界に普及しづらい。

M ガラパゴス的に進化を遂げているところが音楽業界と似ていますよね。今、日本で世界的なアーティストというと、草間彌生さん、奈良美智さん、村上隆さんなどが有名ですけれど、誰もがそこを目指しているわけじゃないというか。

K シーンも多様化して、個性豊かなアーティストがたくさんいます。ただ日本のアートシーンは村化しているというか、詳しくないと、とっつきにくいところもあって。もっと一般の人たちが日々の生活の中でアートに触れる機会があるといいなと思っているので、マリウスさんのような影響力ある人に、その魅力を広めていってほしいなと思います。

(次回は、ギャラリストという職業やアートの意義について二人で語ります)

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