[vol.51] セレブが社会貢献するときの地味なかっこうにも意味がある。 かわいいセレーナ・ゴメスの意図するところは?

全米の都市や世界各国で広がりをみせる銃規制デモ「MARCH FOR OUR LIVES(私たちの命のための行進)」は、フロリダの高校生の呼びかけに始まり、多くのセレブの共感を呼んだ。ワシントンやニューヨーク、ロサンゼルスでの行進では、意識の高いセレブたちが参加して、銃規制強化や連帯する意味を訴えた。ジョージ・クルーニー&アマルの夫婦やポール・マッカートニーの大物セレブから、ケンダル・ジェンナー&ヘイリー・ボールドウィンの人気モデル、そして、ジャスティン・ビーバーと別れたのかまだ続行思案中なのか勝手に白〜いシャツ(久しぶりに出しましたっ!)のセレーナ・ゴメスの姿もあった。

こういう市井の人々の意思に添った社会的な活動に参加するセレブのファッションについて語るのは、軽薄かもしれないが、そこには図らずもセレブの着るものに対する考え方が浮き出ていて興味をそそるのだ。できるだけ、行進に参加する普通の人々から浮かないようなジミめな服であること。しかし、女性セレブならば、ハイヒールも履かずスッピンだったりすると参加したことを後悔する写真を全世界にばらまかれる結果となるので、顔まわりのメイクアップはぬかりなくする。もちろん赤リップは御法度だが、お顔はいつも通りセレブのまま、というのがお約束。結果、誰でも持っていそうなTシャツやGジャンをきても、やっぱり庶民よりずっときれい。というか、わしらとおんなじ安服を着てもかわいいってんで、その効果は逆に増したりするのだ。

そこで見直したいのが、セレーナ・ゴメス。安Tシャツでもなんてかわいいんでしょう。見たか、ジャスティン。派手な車を乗り回してパーリー三昧のあんたと違って、私は意義のある活動をしてんだよと。いつまでも子ども子どもしてるジャスティンにつきあってる暇はない。セレーナ・ゴメスは銃規制デモに参加して社会貢献を果たしながら、かわいい自分のまっとうな生き方というものを彼(ジャスティン・ビーバー)に示しているのだ。

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イラストレーター&エッセイスト 石川三千花

映画、ファッションを独自の視点からイラスト+エッセイで斬る!著書に『石川三千花の勝手にシネマ』、『勝手にオスカー』など。

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