[voi.54] ますます仮装パーティ化するMETガラ2018!ケイティ・ペリーが<天使の翼>ルックで現れ、一気にハードルを上げた!

年々ヒートアップするMETガラは、5月のニューヨークの華やかな風物詩となっている。今年のテーマが「カトリック」とあって、信仰深い人々にはセレブたちが着用するクリエイティヴなドレスが神への冒涜に見えると批判もあったが、これだけ注目を集める大イベントとなり、本来の目的のメトロポリタン美術館の服飾部門の活動資金集めも順調に違いない。この祭典を長年オーガナイズするアナ・ウィンターは、ファッション界において、まさに法王級なのだった。

さて、今年のMETガラで特筆すべきは、並みいる強豪セレブの中で一番目立っていたケイティ・ペリーの天使の翼の衣装だ。背中に装着したセット並みにデカい翼は、ドレスという範ちゅうを超えてオブジェ的。まるで仮装パーティでやる気満々の人に見える。だが、これくらい思い切ったいでたちでないと、作り込んだ衣装を完璧に自分のカラーとして着こなすリアーナや、巨大なかぶりもので小林幸子化するサラ・ジェシカ・パーカーや、押しの強いラテンの不老クィーン、ジェニファー・ロペスには適わない。今年は出席していないが、ビヨンセという大物だっている。そこでケイティ・ペリーは大きな賭けに出た。美しく着飾るより、目立ってなんぼ。METガラの注目と話題を一手に勝ち得るために!

彼女の天使の翼ルックは、アカデミー賞の伝説となった2001年のビョークの白鳥ドレスに匹敵するインパクトを残したと思う。さらには、ドレスのトレインの長さを競う近年の傾向にも歯止めをかけて、来年からはもっと仮装パーティ化する予兆となった。現に、カーラ・デルヴィーニュはヘッドドレスを進化させて、フェイスドレスで顔面を覆っていたし、ゼンデイヤやシェイリーン・ウッドリー等の若手は、ほとんどコスプレのような衣装でファッションの冒険心にあふれていた。ハリウッドビューティ的な女優ドレスは西のアカデミー賞に任せて、遊び心が炸裂するアートなドレスの東のMETガラは、このまま自由に突っ走ってもらいたい。だって、見る分にはこっちの方が断然おもしろいんだもの。

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イラストレーター&エッセイスト 石川三千花

映画、ファッションを独自の視点からイラスト+エッセイで斬る!著書に『石川三千花の勝手にシネマ』、『勝手にオスカー』など。

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