[vol.77] 60年代のクラブバンド時代、チェルシー・ブーツを履いていたローリング・ストーンズがかっこよかった

開催中のザ・ローリング・ストーンズ展、特に印象に残ったのはデビュー間もない60年代の彼ら。ギターも着てる洋服も高価なものではないけれど、何かをしでかす若者のエネルギーが顔つきに表れていて、いや〜、57年も続いている偉大なるストーンズの原点がカッコいいのなんの!

当時の写真を眺めていて「これこれ、ブリティッシュロック・バンドといえば、チェルシーブーツだよね〜。アメリカのバンドみたいにスニーカーじゃないのよ。ミックなんかシェットランドのセーター着ててもブーツだもん」と、私は彼らのブーツに目がくぎ付けになってしまった。なんでもないシャツやセーターでも、足元はブーツ、というのがイギリスらしいニュアンスを感じさせる。余談だが、ミックの若い頃に似ているといわれているハリー・スタイルズなんかは、やっぱりチェルシー・ブーツがお気に入りで、チェスターコートなぞ羽織れば、もろイギリスの香りだ。意識してるよね。

当のミックは70年代になると、フレディ・マーキュリーばりのタイツをはき、セルジュ・ゲンズブールと同じ白のダンスシューズになる。そして今では黒革のスニーカーでスタジアムのステージを走りまわり、生きるロックレジェンドだ。大衆を惹きつけて、激しく、ときにエレガントに踊り歌う今のミックとストーンズのエンタテインメントなロックコンサートも好きだが、狭くて暗いイギリスのクラブで、チェルシーブーツを履いていたクラブバンド時代のストーンズが懐かしい。若さって、ブーツひとつで輝けるものなんですね。

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イラストレーター&エッセイスト 石川三千花

映画、ファッションを独自の視点からイラスト+エッセイで斬る!著書に『石川三千花の勝手にシネマ』、『勝手にオスカー』など。

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