[vol.90] 「アイル ビー バック」と言いつつ帰って来た、サラ・コナー役のリンダ・ハミルトン63歳のアクションが凄い!

Ill be back」の決めぜりふ通りに、ターミネーター・シリーズ最新作『ターミネーター:ニュー・フェイト』で戻って来たアーノルド・シュワルツェネッガーとリンダ・ハミルトン。80年代の人気アクション映画はまだまだ金脈なのだと思い知ったわけだが、私が感心したのは、サラ・コナー役で堂々のアクションシーンをみせたリンダ・ハミルトン63歳だった。

ハミルトンは本作の撮影に入るために、テキサスの軍事キャンプでトレーニングに励んだそうだが、顔面をライフルでメッタ撃ちしようがバズーカ砲を撃ち込もうが、まったくくたばらない新型ターミネーターに挑み続けるタフネスな戦士ぶりが、とても60越えの女優とは思えない。役作りは体作りとばかりに過酷なトレーニングに打ち込み、肉体改造を遂げてサラ・コナー役に打ち込んだハミルトンの逞しい精神力には驚くばかりだ。思えば、『エイリアン』でシガニー・ウィバーが演じたリプリーやこのサラ・コナーがアクション・ヒロインの走りだった。今では演技派の女優でさえアクションをこなすようになったが、ハミルトンほどに本腰を入れてそれに挑むベテラン女優は見当たらないのだ。

同時に、ハミルトンの年齢相応のシワが入った顔のアップがこれまたまったく役柄を妨げないどころか、サラ・コナーの未来世界に対する苦悩や、息子を失った悲しみと孤独をにじませて一際の存在感を放っていた。新型ターミネーターに立ち向かうふてぶてしい表情も、なんて頼りがいのある我らがサラ・コナー!50歳になっても、額のシワひとつないテラッテラのハリウッド女優を見慣れたこちらは、この自信に満ちたシワ顔のカッコよさに惚れ惚れ。すっかり人のいい元ターミネーターになったシュワルツネッガーだって、サラ「ハミルトン」コナーにはかなわないのだった。

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イラストレーター&エッセイスト 石川三千花

映画、ファッションを独自の視点からイラスト+エッセイで斬る!著書に『石川三千花の勝手にシネマ』、『勝手にオスカー』など。

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