[vol.94] 今年のゴールデングローブ賞の私的ベストドレッサーは、 ゾーイ・クラヴィッツ!これぞサンローランのエレガンス!

賞レースの華やかさを盛り上げる女優たちのレッドカーペットファッション。年初めのビッグイヴェント、ゴールデングローブ賞授賞式のレッドカーペットでももちろん、ゴージャスなドレスを身にまとった女優たちをながめて楽しみました。時勢に敏感なハリウッドだから、ドレスはその年によって傾向はあるが、基本は主力の女優ほどハイブランドのカスタムメイドということに。

近年はワーストドレッサー呼ばわりされるリスクを避けて、シンプル&エレガンスな単色のドレスにビジューも控え目というパターンが多く、悪評がたったところで、アフターパーティでは速攻ドレスをチェンジして汚名挽回、という手順になっているのだ。そんな状況のなか、今回のゴールデングローブ賞授賞式での私的ベストドレッサーは、サンローランのドット柄ドレスのゾーイ・クラヴィッツでした。サンローランがファッションデザイナーとして飛ぶ鳥を落とす勢いだった70年代のオートクチュールを彷彿させるドット柄が、モダンになって蘇ったかのよう。トップスとロングタイトスカートのポルカドットはピッチ違いにして、ウエストのリボン結びにしたボウベルトを境に白黒のコントラストのバランスがすばらしい。サンローランが美しいブラックのマヌカンを愛したように、褐色のゾーイが見事にこのドレスを着こなし似合っていた。真っ赤なリップとピクシーカット。大粒のピアスだけというミニマルさが、最高のエレガンスを表していた。

レッドカーペットファッションは、ファッションショーのランウェイとはまた違って、斬新なモード寄りにデザインされたドレスでは浮いてしまうことが度々ある。ケイト・ブランシェットやグウィネス・パルトローは果敢にもこういうドレスに挑むので、SNSなどでむちゃくちゃいじられるのだが、レッドカーペットのお祭り気分をあおってくれるドレスはあった方がいい。美しくまとまったドレスだけではつまらないのだから、と私はワーストドレスにもおおいに期待してしまうのだ。

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イラストレーター&エッセイスト 石川三千花

映画、ファッションを独自の視点からイラスト+エッセイで斬る!著書に『石川三千花の勝手にシネマ』、『勝手にオスカー』など。

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