[vol.109] おフランスの大スター、愛しのジャン=ポール・ベルモンド! 飛んで走って笑わせる、オバQくちびるの冒険野郎祭りだ!

10/30()よりジャン=ポール・ベルモンドの傑作選ロードショーいよいよ公開される彼の主演作『勝手にしがれ私にとってのオールタイムベスト作で、ベルモンドが92年に来日公演を果たしたシラノ・・ベルジュラック駆けつけたほど大ファンとってうれしい企画だ。ただし、今回公開される8作品は、6070年代アクションスターとなっベルモンド。ベルボトムのジーンズはいモミアゲ野郎なってからのベルモンドだ。

 正直、勝手にしやがれ気狂いピエロ冬の猿(名作です!)あたりの彼が好きな私としては未見作品もあり、興味津々。この際なので8作品全て鑑賞したが、いや〜、特撮技術さほどなかった時代に、ベルモンド自身がスタントなしでヘリコプターから吊り下ろされる空中から高層ビルの蹴破って突っ込むわ、ギャラリー・ラファイエットデパート屋上ギリギリところで格闘するわで、いったらトム・クルーズマット・デイモン目一杯の見せ場としてやってることを60年くらい前に既に実践していたのよねでも今のアクション映画と比べると、さすがにスピード感はゆるい。ゆるいが、逆にごまかしが効かない生身の迫力るのだ。それにしてもベルモンド、ボクサー体を動かすのがよほど好きらしく案外ガッチリした体でひょいひょい身軽に飛んだり跳ねたり走ったり。デビュー当初はゴダールやトリュフォーなどのヌーヴェルヴァーグ監督に愛されたが、本人は体を張ってアクション映画の方が性に合っていたのだろう。なんたって、撮影時に台本のないゴダールに腹を立てというんだから笑ってしまう。

それでもゴダール作品発揮された彼の飄々とし愛嬌たっぷりの魅力は、アクションスターになってからさらに分かりやすく増強。私のオススメ作品恐怖襲われた街ムッシュとマドモアゼル特に後者はラクエル・ウェルチ共演したアクションコメディで、ベルモンドが2役を演じて笑わせる。なにかと比較されるアラン・ドロンがバラだとすると、ベルモンドはチューリップといったのは友人の中野だが、実際ムッシュには、ベルモンドがウェルチにチューリップの花を持って訪ねて行き思いっきり拒否される爆笑シーンあるのだ。画面に彼が出ているだけで、作品にユーモアをもたらすベルモンド愛は止まらない

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イラストレーター&エッセイスト 石川三千花

映画、ファッションを独自の視点からイラスト+エッセイで斬る!著書に『石川三千花の勝手にシネマ』、『勝手にオスカー』など。

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