日本最大級のロック・フェスティバル「FUJI ROCK FESTIVAL’17」が、今年も無事終了!200組を超えるアーティストが、3日間でのべ12万5000人の音楽好きを魅了しました。雨が降ったりやんだりでサバイバル&タフでしたね。SPUR MUSICでは、計40時間以上ライブを見て、音楽と自然を肌で感じてきたという音楽ライター・福アニーによるフジロック総復習コラムをお届け。4つの切り口でレポートします。SPUR本誌で音楽コラムを連載中で、今年フジロックに初出演したDJのLICAXXXさんにも感想を聞きました。最後のほうに登場するので、お見逃しなく!
text:Annie Fuku
とにかく踊った3組
TROMBONE SHORTY & ORLEANS AVENUE
まず今年のフジロックのベストアクトに挙げたいのは、まったくのノーマークだったTROMBONE SHORTY & ORLEANS AVENUE!3日目夜のステージFIELD OF HEAVENをまさにダンシング・ヘブンにしてしまったかのような、圧倒的なファンキー・グルーヴ渦巻くエンターテインメントショーでした。目当てのアクトの合間に聴いてみようとふらっと立ち寄ったら、楽しすぎてずっと居続けてしまう。これもフェスティバルの醍醐味ですね。
THE AVALANCHESTHE AVALANCHES
念願のTHE AVALANCHESは、2日目の夕刻にGREEN STAGEに登場。ツアーメンバーの女性シンガーと女性ドラマーが映画『スーサイド・スクワッド』に出てきそうなハードなヴァイブスということもあってか、終始パワフルでダンサブルなステージング(実際バット振り回してました)。とくにノリのよい「Flight Tonight」では、悪天候もなんのそので踊らせていただきました。そしてやっぱり代表曲の「Since I Left You」は沁み入りましたね。
GORILLAZ GORILLAZ
1日目のGREEN STAGEトリのGORILLAZは、コーラスもいる大所帯のバンド編成。ゲストボーカルや新旧のMVがスクリーンに映し出されるなか、新作からの「Sex Murder Party」ではジェイミー・プリンシプルとゼブラ・カッツ本人が登場!とてつもなく妖艶でした……。アンコールの「Clint Eastwood」でのピアニカやショルダーキーボード、ピアノでも魅せてくれた主役のデーモン・アルバーン。ヴァーチャルバンドであることを忘れてしまうような、肉感的で人間味あふれるステージでした。ライブでのTHE AVALANCHESもそうですが、エレクトロニックなバンドのサウンドは高揚感がありますね。
嬉しいサプライズが飛び出した3組
PUNPEE
ライブのお楽しみといえば、思いがけないゲストアーティストが出てくる瞬間。雨が降りしきるなか、2日目昼のWHITE STAGEにラフな雨合羽姿で現れたPUNPEE。Linkin Parkら好きなバンドを挙げて自身を「オルタナティヴ世代」と言いつつ、Oasis「Wonderwall」などの上でフリースタイルを披露。すると弟の5lack(S.L.A.C.K.)とGAPPERが出てきて「PSG現る 1972」を!続く3人での「愛してます」からソロ曲「Renaissance」も聴けて、9月にリリースされるファースト・アルバムがますます楽しみに。
小沢健二
日も暮れた2日目夜のWHITE STAGEをぱんぱんにした小沢健二は、一曲目からスチャダラパーを迎えての「今夜はブギー・バック」!その後も「ラブリー」や「愛し愛されて生きるのさ」などポップ・クラシックを連発し、ラストの新曲「フクロウの声が聞こえる」まで、絶えずうきうきした気分にさせてくれるセットリストでした。
トクマルシューゴ
トクマルシューゴが3日目昼のWHITE STAGEをポップで楽しいおもちゃ箱に変えるなか、明和電機の社長がひょっこり登場!彼が自作したパチモク(指パッチンで木魚を鳴らす全身装着型楽器)と、巨大オタマトーン(音符の形をした電子楽器)が鳴ったときは、ほっこりした空気に。
心地よすぎてうとうとした2組
THUNDERCAT THUNDERCAT
LICAXXXさんがフジロック開催前におすすめしてくれたTHUNDERCATは、3日目のステージFIELD OF HEAVENに出演。フュージョンやプログレッシヴを現代的にアップデートしている印象で、心地よすぎてうとうとしてしまうグルーヴ!超絶技巧かつ情感あふれる演奏とボーカルで、夜の森に映えるミラーボールの光がとてもよく似合っていました。こちらで以前SPUR MUSICでインタビューした際の記事が読めます。
BONOBO
2日目の夕暮れ時、WHITE STAGEを涼やかに彩ったBONOBOのバンドセットも、次第にα波が出てきてまったりモードに。ゲストボーカルのSzjerdeneがメロウに華を添えていました。
うるっと涙腺にきた3組
THE XX THE XX
すっかり暗くなった1日目のGREEN STAGEに、全員黒の衣装で現れたTHE XX。クールでスタイリッシュなエレクトロニック・バンドサウンドと、官能的で哀愁を感じさせる歌心が魅力の彼ら。とくにギターボーカル・ロミーの弾き語りでの「Performance」が身を切るような情感で涙。序盤の「Crystalised」や「Lips」もエモーショナルでグッときました。途中の虹色の照明も美しく、"Take care each other."、"Enjoy yourself."といったやさしさあふれるMCも心に残っています。
ROUTE 17 ROCK’N’ROLL ORCHESTRA (feat. 加山雄三、ELVIN BISHOP、仲井戸”CHABO”麗市、トータス松本)
その前の夕刻に、同じくGREEN STAGEで観た加山雄三には思いがけず感動しました。まずエレキギター、次にアコギ、そしてウクレレと、めくるめく演奏と歌で一気に引き込まれます。マイク一本での「君といつまでも」では、自然に観客のハンドウェービングが起こり、うるっときてしまいました。そして最後にROUTE 17 ROCK’N’ROLL ORCHESTRAたちとロック・レジェンド、チャック・ベリーの「Johnny B. Goode」を!力むことなくのびのび弾いて歌う加山雄三の貫録たるや。そんな大らかなステージングのせいか、このときばかりは雨もやんでいました。
G&G MILLER ORCHESTRA PLAYS ELVIS PRESLEY
スペシャルゲストのG&G MILLER ORCHESTRA PLAYS ELVIS PRESLEYは、3日目のGREEN STAGEの大トリとして登場。「Moonlight Serenade」や「Love Me Tender」など往年の名曲に耳を傾け、気持ちよく揺れながらうっとりするような時間を堪能。このビッグバンドが一番大きいステージの最後に出演するところに、フジロックのロックンロールに対する愛情と良心をしみじみ感じました。
LICAXXXのフジロック感想をいち早くお届け!
最後に、フジロック予習ノートでも意気込みを語ってくれていたLICAXXXさんにご登場願いたいと思います!LICAXXXさんは、3日目のステージRED MARQUEEとDAY DREAMINGに出演し大活躍!SPUR本誌でも音楽コラムを絶賛連載中です。それではよろしくお願いします!
3日目深夜のステージRED MARQUEEでは、まだまだ踊り足りない人も多いだろうから派手に攻めていこうと思って、直前でセットリストを少し変更しました。テクノの範疇に収まりながらも、ロウがしっかり効いている、ベースミュージック色が強いプレイに。衣装は黒で、着やすいけれど変わった形をしたMM6の私服を。対照的に、昼のDAY DREAMINGでは衣装も白にして、その時間帯に合いそうな気持ちのよいハウスをかけました。
DJの準備で他のアクトはあまり見られなかったんですが、EVIAN CHRISTは期待通りの音でとてもよかったですね。フェスを楽しむコツは、「がんばりすぎない」。まずは行きやすいところから一日だけ行ってみるとか。行き慣れている人についていくのもいいと思いますよ」
LICAXXXさん、ありがとうございました!
こうして終わったばかりなのに、来年のラインナップが楽しみでもうそわそわ……。ここで少しでも気になった音楽があれば、CDや配信でチェックしてみてください。大自然のなかで音楽が楽しめるフジロックに、今年行っていない人も行った人も、ぜひ来年足を運びましょう!
着たい服はどこにある?
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