2019.12.07

厚手のニットが着たくなる音楽は?【Licaxxxのファッション×ミュージッQ】

Licaxxx/リカックス
DJ、ビートメイカー。ウェブ「シグマファット」を主宰。インターネットラジオ「Tokyo Community Radio」もチェック。

厚手のニットが着たくなる音楽は?

「Home」
Caribou

『Like Water for Chocolate』
Common

 肌寒い季節になってきましたね。今回はそんな季節にぴったりな、ボリュームのある厚手のニットが着たくなる音楽を紹介しようと思います。まずはカナダのミュージシャン、ダン・スナイスによるソロプロジェクトで、カリブー名義では5年ぶりとなる新曲「Home」を。NYのソウルシンガー、グロリア・バーンズが1971年に出した唯一のアルバム『Uptown』に収録されている「Home」をサンプリングしていて、後半はダンスミュージック感が出てきます。カリブー名義ではわかりやすくて聴きやすい曲が多いですね。彼自身、この音源について「完璧な音楽を求めて疲れていたけれど、仲間と懐かしいものを共有しながら作ることができた」と語っており、まさに「Home」感があって、冬にぴったりかなと。タイトルどおり、部屋でニットを着こんであたたかいドリンクを飲みながら、リラックスするときにおすすめです。


 続いてはシカゴ出身のラッパー、コモンの2000年作『Like Water for Chocolate』。冬になるとソウル寄りの音楽が聴きたくなるので、最近このアルバムをずっと聴いてますね。シンガーのジル・スコットやトランペット奏者のロイ・ハーグローヴなど共演陣も豪華で、全曲素晴らしいと思います。実はあまりヒップホップを聴いてこなかったんですけど、コモンだけは高校生のときに『Be』を聴いていて、ゆったりした曲が多くていいなと思っていました。重たいニットってアウターが着づらいし、着られる期間も短いので、私は家のなかにこもるときに着たいんです。そんなときに幸せな気持ちになれるこのアルバム、ぬくぬくしながら、冬の入り口の季節にぜひ聴いてみてください。

Monthly Pick-up

『Thirst』
SebastiAn
配信中/Caroline

フレンチ・エレクトロ界の異才が、日本人ラッパーのLootaら多彩なゲストを迎えた8年ぶりの新作を完成。彼ならではのダークで歪んだサウンド表現をスケールアップさせ、家族の故郷ベオグラードに捧げたディスコや、アメリカンなR&Bを網羅する、世界旅行みたいな一枚に。

『Kiwanuka』
Michael Kiwanuka
¥2,500/UNIVERSAL MUSIC

このサード・アルバムで、オーケストラを従えて豪奢なサイケデリック・ソウルを奏でるのは、ギターの名手でもある英国人のシンガー・ソングライター。60~70年代のブラック音楽のスピリットを受け継いで、不穏な時代を情熱とポジティビティで照らし出すようにして歌う。

SOURCE:SPUR 2020年1月号「LICAXXXのファッション×ミュージッQ」
interview & text: Annie Fuku text(Monthly Pick-up): Hiroko Shintani photography: Yuhki Yamamoto, Jonas Gustavsson (runway)