人種問題は、他人事ではありません【秋元才加の音語り】

vol.6 人種問題は、他人事ではありません

「Another Sky」
葉加瀬太郎
『THE BEST OF TARO HAKASE』収録

「Real（feat.Anna Wise）」
Kendrick Lamar
『good kid, m.A.A.d city』収録

　みなさん、こんにちは。秋元才加です。私が一番苦手な梅雨がいつの間にか到来。県外移動の自粛も解除になり（6月25日現在）、約3カ月ぶりに千葉に帰省しました。この自粛期間、過去の旅行写真を見返しては、いつかの旅の計画を妄想し心を紛らわせていた私ですが、いつになったら今までどおりに旅行できる日が来るんでしょうか……。まだまだ旅行には行けなさそうなので、葉加瀬太郎さんの「Another Sky」を聴いて旅の気分を高めています。ANAではおなじみのこの曲。「うぉー！　着いたぞー！」のあの高揚感と無事に着いた安堵感。脳が一瞬旅モードに錯覚します。旅のワクワクを感じられる一曲です。国内外問わず、旅をすると自分の中の視野が広がりますよね。特に去年は海外に行くことも多く、たくさん刺激を受けました。日本だけでなく、世界にも目を向けることはとても大切なことだと思っています。今、世界では「Black Lives Matter」の問題が深刻化しています。2020年においても、この問題はいまだに解決されていないのです。私たち日本人にとっても他人事ではないと、私は感じています。ケンドリック·ラマーの「Real（feat.Anna Wise）」を聴きながらいろいろ考え込んでしまいました。プランA、B、Cなどの歌詞があり、自分が置かれている環境や、どんな人生を選択して生きていきたいのかなど自問自答させられ、自分を愛することの大切さを教えてくれる一曲です。日本においても、差別はいまだに存在しています。私は幼い頃から外国の方々に囲まれて育ったので、比較的柔軟に受け入れることができますが、どんなときもいろいろな立場に立って考えていくことが大切だと思います。「可愛い子には旅をさせよ」。海外旅行などでの体験や、感じた思いは一生の財産です。さまざまな社会や常識に触れて、広い視野で物事を考えられるようになりたいものですね。アフリカ系のみならず、どの人種においても差別されない社会を願って、今日も自分を愛し、目の前の人に愛を持って接していきたいと思います。

Monthly Pick-up

『Fetch the Bolt Cutters』
Fiona Apple
￥2,400／Sony Music Labels

寡作だけどアルバムを発表するたびに世の中を騒然とさせる人といえば、このアメリカ人の奇才。今回の8年ぶりの新作も例外ではなく、ピアノとパーカッションのリズムに乗って踊る彼女の言葉は、無防備でユーモラスで破壊力も満々。“表現の自由”の真の意味を再認識できる。

『Keleketla!』
Keleketla!
￥2,200／Beatink

英国ダンス界の大御所デュオ、コールドカットが企画した本作は、エキサイティングな音楽で人種を巡る闘争を伝えるプロジェクトだ。世界各地のジャズアーティストやラッパーが集結。南アフリカ、アメリカや西パプアで、抑圧的権力に抵抗した人々の物語を描き出す。

SOURCE：SPUR 2020年9月号「秋元才加の音語り」
text: Sayaka Akimoto　text（Monthly Pick-up）: Hiroko Shintani　photography: Kodai Ikemitsu　styling: Mayu Yauchi　hair: Keiko Tada 〈mod’s hair〉　make-up: Nao Yoshida