2020.03.19

「メッセージで聴く」音楽の話【秋元才加の音語り】

秋元才加/あきもと さやか
女優、タレント。映画・ドラマ・舞台への出演やテレビ・ラジオのMCとして幅広く活躍。NHK BS時代劇「雲霧仁左衛門5」、ミュージカル「スクールオブロック」出演予定。(2020年8月~)。ジャケット¥74,000・トップス¥35,000・ダブルリング¥37,000・リング¥35,000/Acne Studios Aoyama(Acne Studios)

vol.1「メッセージで聴く」音楽の話

「PAPER, PAPER...」BRON-K feat. NORIKIYO
(『松風』収録)
「気遣い気違い~もてなし野郎のブルース」
METEOR
(『魔獄の分裂~絶叫物件へようこそ!!』収録)

 初めまして、秋元才加です。2013年にAKB48を卒業してから、女優、タレントとして活動しています。ここでは、私が日々社会に対して感じていることや人生観などを交えて、音楽を紹介していければと思っています。初回は最近少しずつ聞くようになったヒップホップやラップについて。

 私は幼い頃から歌ったり踊ったりするのが大好きで、マイケル・ジャクソンや美空ひばりを聴いて育ちました。そんなスターに憧れてこの世界に入った訳ですが、初めは自分が思い描いていたエンターテインメントと、アイドルとして求められるもののギャップに悩んだこともありました。卒業を機に、ミスをしても「可愛い」で済まされがちなところから外へ出て、やはり、しっかりとしたスキルを身につけなければこの世界で生き残れないと感じました。

 自分らしく生きたい、自分がかっこいいと思う仕事もしたい。いろいろなことに興味を持つようになってから、聴く音楽の幅も自然と広がっていきました。その時期に初めて友達に連れられて「Weeken’」というイベントに行ったんです。その時出演していたK-BOMBさんのライブは衝撃を受けました。 初めて聴くジャンルで不思議な感覚だったのを覚えています。

 また、DJをしながらピザを配っている人も居ました。そこから、日本のヒップホップを少しずつ聴くように。ヒップホップに触れるに伴って、だんだん音楽を「メッセージで聴く」ようにもなりました。たとえばBRON-KさんがNORIKIYOさんをフィーチャリングした「PAPER, PAPER...」。お金の話は一旦置いておいて、自分が納得できる仕事をしよう、と思わせてくれます。METEORさんの「気遣い気違い~もてなし野郎のブルース」は、タイトルを書くのは少し躊躇しますが、これまで人の顔色を気にして自分の言葉を飲み込むようなことが多かった私に、「気遣わなくていいよ」と背中を押してくれる曲。なかなか勇気づけられます。30歳を過ぎて、 私も自分の責任が持てる範囲で、思ったことを口に出していこうと思えるようになりました。こちらの連載でもどんどん発信していきたいと思います!

本記事は、SPUR4月号(誌面)で編集がまとめた記事から、ご本人の言葉に、より近い形へ修正して掲載しております。ご了承ください。

Monthly Pick-up

『R.Y.C』
Mura_Masa
¥2,500/UNIVERSAL MUSIC
待望のセカンドを発表する気鋭の英国人プロデューサーは、不透明でささくれだった時代の空気を、荒々しいギターとひずんだビートで切り取って、2020年にふさわしいパンク・ロックを提案。自分と同じ20代のアーティストたちをゲストに迎え、不安や怒りを分かち合っている。
『InBach』
Arandel
¥2,200/calentito
クラシックとエレクトロニックの狭間で活動するフランス人アーティストが、パリ音楽博物館とコラボして新作を完成。バッハの名曲の数々に、同館所蔵のレアな楽器を用いて、クラブ空間にもなじむ奇想天外な再解釈を施した。彼が今生きていたらこんな音を鳴らしていたかも?

SOURCE:SPUR 2020年4月号「秋元才加の音語り」
interview & text: Annie Fuku text(Monthly Pick-up): Hiroko Shintani photography: Kodai Ikemitsu styling: Mayu Yauchi hair: Keiko Tada〈mod’s hair〉 make-up: Nao Yoshida