vol.19 社会へのメッセージを思考し発信する、新たな場所作り
『Ode To Black Trans Lives』Tygapaw
ジャマイカ生まれのDJ/プロデューサー。2020年の本作品は「BLACK TRANS LIVES MATTER」に光を当て生まれたエクスペリメンタル〜アブストラクト・テクノ。
UMMMI.(以下U) イーチンはDJやパーティのオーガナイズのほかに読書会を始めたよね。
Yiqing(以下Y) 今年から、フィジカルとオンラインで参加できる「NEON BOOK CLUB」をスタートさせました。
U 勉強することや、読書から知識を得ることは、ある意味で社会に対しての抵抗につながると思う。世の中で起きていることを、自分の目や耳できちんと確かめていくプロセスを経ることで、意見や意思が見えてくるというか。
Y 私が読書会をしようと思った理由は、まさにそれです。世の中に疑問を持つきっかけだったり、日頃感じているモヤモヤと向き合ったりする時間になったらいいなと。そして、文字や本を通してコミュニティ作りをしてみたくて。
U イーチンの活動において、影響を受けたアーティストはいますか?
Y TygapawというDJのインスタグラムをチェックしているんだけど、この前投稿していたライブパフォーマンスには痺れました。Tygapawは、ノンバイナリーでジャマイカ人。楽曲やライブを通して、ジェンダーや人種問題について訴え続けている人。なかでも『Ode To Black Trans Lives』に収録されている「Scene1」は、Tygapawが社会に対して思う挑発的なメッセージを込めた作品です。政治的なことを覚悟をもって表現する姿には、いつも刺激と勇気をもらっています。私自身も、DJ活動や「NEON BOOK CLUB」を通して、社会に対して日頃感じていることを参加者と共有して、発信し続けていきたいです。
U 自分の意見を誰かとシェアできる”場所”が、そもそも大事だよね。この間、福岡で半野外のパーティに行ったのだけど、メインフロアから離れた場所で友人数名がスピーカーで音楽を流し始めて。そこに人が集まって新しい小さなレイブが誕生したんです。用意された場になじめなかったとしても、自分たちの場所を手作りで創造することの可能性を感じました。
Y たったひとつのアクションだけで、生まれるものが確実にありますね。
U そうだと思います。実はアタシも、展覧会、映画上映、読書会などが融合したプラットフォームをオンラインと現実を横断しながら作ることを計画しています。誰もが気軽にアクセスできて、次なるネットワークをつなげられる場所にできたらいいな。
MONTHLY SELECTION
Oliver Sim
¥2,420/Beat Records
The Lounge Society
¥2,750/Big Nothing