最高額の芸術家、バスキアの展示で志気を高める #47 #バスキア展

ジャン=ミシェル・バスキアの大規模な展示「バスキア展 メイド・イン・ジャパン」が、森アーツセンターギャラリーで始まりました。実は日本とも縁が深かったそうで、このタイトルになったようです。

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27歳で早世し、若いまま年を取らないで「20世紀美術最大の巨匠」と呼ばれるようになったバスキア。展示会場の入ってすぐのところに巨大な写真が展示されているのですが、R&Bミュージシャンのようなルックスで若さに驚きます。ドラッグの過剰摂取で亡くなるまでの短い間に、多くのドローイングや絵画やグラフィティを描いていて、流れ星のように人生を駆け抜けました。

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落書きっぽいタッチに見えて、バスキアの作品の一枚一枚には不思議な情報量があり、絵の前からしばらく動けなくなる吸引力が。プリミティブだけど知的で、早すぎたハイブリッドなセンスを感じます。

キース・ヘリングもバスキアのファンだったり、アンディ・ウォーホルとも仲が良くてコラボしたことがあったり、巨匠レベルになると嫉妬もなくお互い認め合えるようです。生前も評価されていましたが、作品の価格は死後高騰。ただ日本の高知県立美術館や北九州市立美術館などいくつかの美術館はまだ価格がそれほど高くなかった頃に購入したそうで、先見の明があります。

バスキア自身も日本が好きだったらしく何度も来日したり個展を開催。五重塔や円のマークやウォークマンや折紙など日本のモチーフも描き込まれています。日本人としては光栄ですが、高度経済成長やバブルの輝きは過去のものとなってしまいました。バスキアが生きていて再来日したら、落日の空気を感じるかもしれません……。「無題(円)」に赤い文字で力強く描かれた「100YEN 200YEN 300YEN 400YEN....」という文字を見て日本人として心を鼓舞したいです。

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「ナポレオン」(1982年) カンバスに「ONE MILLION YEN」とはっきり描かれています。1982年当時の市場価格を宣言しているのでしょうか。今となってはその何千万、億倍レベルに……。

でもそんな日本にもまだ甲斐性がある起業家がいました。ジャパンマネーのパワーをオークション市場に見せつけたのは前澤友作氏。2017年に、米国作家作品では史上最高額の123億円で前澤氏が落札した「Untitled」(1982年)も会場に展示されていて存在感を放っていました。

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「Untitled」(1982年)青い背景に大胆なタッチでガイコツが描かれています。前澤氏は自宅リビングにかけていたとか。

ZOZOの社長を退任し、ヤフーに株を売却したことで最近ニュースになった前澤氏は、取材関係者内覧会当日に来場予定だったのを欠席。理由は、「台風15号で甚大な被害を受けた地元である千葉の鋸南町エリアでの住宅の屋根補修作業の手伝い」に行かれている、とのことでした。ZOZOに思いを馳せつつこの絵を見ていると、ムンクの叫びじゃないですが「株価が~!」とか叫んでいるように見えてきます。リビングに飾って運気的に大丈夫だったのでしょうか? また起業してアート作品を買いまくって文化に貢献していただきたいです。


バスキアの自画像は、王冠とセットで描かれていてまさにアート界の王者となるのを予言しているようですが、暗い表情の自画像もあって、そちらも早逝を予感させます。

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「自画像」(1985年) アフリカにルーツがあるバスキア。瓶の蓋は「王冠」と呼ばれ、アフリカ人が作品作りの素材にすることが多いところから、このモチーフを選んだと言われています。
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「オニオンガム」(1983年) オニオンガムを噛むと口の中がオニオン味になる、といたずらっぽいワードが描かれています。舌を出していてまずそうです。

この展示ではバスキアの言葉もフィーチャーされています。バスキアが思い付いた言葉やドローイングを書き留めた、いわばネタ帳の中身を展示。ポエムのような言葉も出てきて、バスキアの言葉のセンスにハッとします。
 「LOVE IS A LIE / LOVER=LIAR」なんて中二っぽいワードもありつつ
 「UNABLE TO STING HER OR FLY AWAY」(彼女を刺すことも飛び去ることもできない)
 「THE EDITORS ARRESTED / MAGAZINE SHUT DOWN」(編集者が逮捕され、雑誌が休刊した)と、気になる言葉の数々が綴られていました。このページ一枚一枚もすごい金額になりそうです……。

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「消防士」(1983年) 北九州市立美術館所有。殴った時の「BOF」という効果音がナイスです。

絵と言葉を合体させた傑作の一つが、最後に展示されているピラミッド的な三角形が描かれた「無題(ドローイング)」(1986年)。バスキアの脳内をのぞいたような言葉と絵がびっしりと描かれていました。一つ目のコウモリだったり、六芒星やHEY! という挨拶が大量に描かれていたり、呪文のようなワードなど謎だらけで、やはり常人離れした発想です。もしくはドラッグの影響もあったのでしょうか。しかし妄想を書き綴っても作品としてかっこよく見えるのがさすがです。

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「横たわるヌード」(1983年) 子どものころから解剖学に興味を持っていたバスキア。ヌードを描いたらこんなインパクト大の作品に。

バスキアの才能やセンスは死後30年経っても古びないどころか、新しさすら感じます。バスキアの作品には未来の暗号や予言が隠れているのかもしれないと思わせます。永遠の27歳、永遠の若手アーティストにして巨匠のバスキアは、これからも見る人を驚かせ、憧れの存在であり続けることでしょう。

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グッズ売り場には、Tシャツや文房具、トートバッグにフィギュアなどたくさん並んでいて、グッズ化するとさらにおしゃれでした。

バスキア展 メイド・イン・ジャパン

期間:~11月17日(日)
時間:10:00~20:00 ※入場は閉館30分前まで
   ※9月26日(木)、10月21日(月)は17:00閉館
場所:森アーツセンターギャラリー(六本木ヒルズ森タワー 52階)
東京都港区六本木6丁目10−1

https://www.basquiat.tokyo/