ステイホームから、「LOUIS VUITTON &」へ……。ルイ・ヴィトン天国で至福の体験 #62

ステイホームや自粛で封じ込められていたエネルギーが解放され、テンションが爆上がりする展示が、5月中旬まで開催されています。原宿駅前の「ジング」で3月19日に開幕した「ルイ・ヴィトン &(LOUIS VUITTON &)」。「&」が示すように、これまでのルイ・ヴィトンのコラボ作品が中心になっていて、珠玉のアーカイブを鑑賞することができます。

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池田亮司による映像作品「クリティカルポイント」。ずっと見入ってしまう映像です。

この展示会場は10の部屋に分かれていて(外に出るともう1部屋)、想像以上に充実しています。最初の部屋には、電子音楽作曲家で現代美術作家、池田亮司のインスタレーション「クリティカルポイント」が展示。床と天井のLEDスクリーンに、世界地図や宇宙のような映像が映し出されていて、ルイ・ヴィトンのパラレルワールドに誘われる感覚が。

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裕仁親王のパリ公式訪問を記念したウィンドウ・ディスプレイ。実際親王もシャンゼリゼ通りを散策中にご覧になったそうです。

3番目の部屋は「アーティスティック ・コラボレーション」。この展示室の部屋の壁一面は「シャンゼリゼ通り店のウィンドウ・ディスプレイの写真」だったのですが、なんと1921年に当時の日本の皇太子、裕仁親王のパリ公式訪問を祝し、純日本庭園を再現したウィンドウ・ディスプレイの記録でした。のちの昭和天皇がここまでフランスのハイブランドに大切にされていたとは、日本人として誇らしいです。

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こんなにかわいいコラボアイテムがあったとは……。キャットグラム・キャンバス「シティ・スティーマー」は2019年クルーズコレクションのもののようです。

展示品では、まず、モノグラムと猫が共存している、ニコラ・ジェスキエールとグレース・コディントンとコラボしたキャットグラム・キャンバスの「シティ・スティーマー」のかわいさに目を奪われました。見逃していたコレクションと出合える展示です。エジプトのユスフ・ケマル王子がオーダーした「ピクニック・トランク」など、さりげなく王族とのコラボアイテムも展示。(ナイフやフォーク、スプーンが入っていてさすが王族のピクニックは格式高いです) マルセル ・ ワンダースとコラボしたカーフスキンの「ラウンジチェア」、吉岡徳仁とのコラボ「ブロッサム・スツール」など、素敵すぎるアイテムは一体どこで流通していたのでしょう?(調べたらスツールの白は税込1,419,000円で販売されていたみたいです)


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最近、天変地異の予言でも話題の、「市川海老蔵の歌舞伎鏡台ケース」ポワット・ファルマシー」も展示。成田屋の紋が施されています。
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マルセル ・ ワンダースとコラボした2016年のアイテム、カーフスキンの「ラウンジチェア」。「自由に広げて持ち運びできる安らぎのオアシス」だそうです。
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「黒檀の化粧台」ピエール=エミール・ルグラン作 1921年頃。展示アイテムは木とガラスで再現。
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2019年の、吉岡徳仁とのコラボレーションアイテム、ウッド&カーフレザーの「ブロッサム・スツール」。4枚の花びらが組み合わさったフォルムが素敵です。
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シルクスカーフ「カレ・ド・ソワ」の作品。最高級のシルクと世界的アーティストが高次元でコラボしています。

4番目の部屋は「シルクを彩るアート」で、壁全体にアートなシルクが展示されていて壮観です。スカーフは部屋を格上げするインテリアにもファッションアイテムにもなるので、お得なアイテムかもしれません。フィリップ・スタルク、村上隆、磯崎新、山本寛斎、ジェフ・クーンズなど豪華なアーティストとコラボしたスカーフが並んでいます。

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ザハ・ハディッドの「バケットバッグ」(2006)はエポキシ樹脂などでできていて固いです。女性にとってバッグは武器なのかもしれません。

5番目の部屋「アイコンの再解釈」もコラボ祭りです。モノグラムを世界的デザイナーがアレンジした作品は、発想の豊かさに驚かされます。ザハ・ハディッド「バケットバッグ」は、「曲線の女王」のスピリットが宿っている作品。シンディ・シャーマンの特製デスクトランク「スタジオ イン ア トランク」は黄色からグリーンへのグラデーションが素敵です。「前衛の女王」にしては万人受けしそうなデザイン。またこのミラー張りの部屋には、モノグラムのモチーフの形がシルバーのポール状になっていて、このアイテムも売られていたら欲しいくらいです。部屋を進むごとに物欲が高まっていきます。

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「アーティーカプシーヌ コレクション」の中のウルス・フィッシャーが手掛けた「カプシーヌ BB ウルス・フィッシャー」(左)は果物や野菜のチャームをバッグの底に吊り下げられてかなりかわいいです。

6番目の部屋「川久保玲によるルイ・ヴィトンの世界」、7番目の部屋「真っ白なキャンバスに見立てたバッグ」の部屋も、アーティストの才能がうずまいていました。2019年に、現代アーティストとコラボした限定エディションバッグ「アーティーカプシーヌ」シリーズは見ていると楽しい気持ちになってきます。平和な2年前の空気がバッグに封じ込められているようです。

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「ルイ ・ ヴィトンと日本」がテーマの部屋には村上隆のコラボアイテムが。POPなマルチカラーがなつかしいです。

8番目の部屋「ルイ ・ ヴィトンと日本」は、日本が誇る村上隆と草間彌生のコラボグッズが展示。草間彌生コラボはバッグやサングラスから付け襟、パジャマまでありました。9番目の部屋は「アートとファッションの出逢い」で、ファッション・コレクションのアイテムが並んでいました。爆売れしたシュプリームとのコラボも目を引きます。10番目の部屋「ルイ ・ ヴィトンと日本」には、山本寛斎や藤原ヒロシなどが関わったファッションのアイテムが展示。地下鉄の外観に、人の動きに合わせてグラフィティが映し出される仕掛けなど、最後まで見どころ満載でした。入場は無料、というところにノーブレス・オブリージュ精神が。


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草間彌生とのコラボパジャマ「ウェーブス」はシルク製。幻想的な夢が見られそうです。
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「デジタリー・イン・モーション」は、来場者の動きに合わせ、グラフィティが地下鉄にプロジェクションマッピングで描かれます。
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ショップに並ぶ「ヴィヴィエンヌ」ちゃんと、ペット的な「ペチュラ」ちゃん。コレクターズアイテムだと聞くとますます買いたくなります。

展示を鑑賞し終わって、テンションが高まりきったままギフトショップになだれ込むと、そこはめくるめく天国のような空間。本やスカーフ、帽子、お財布やカードケースなどのレザーアイテム、限定の「ヴィヴィエンヌ」と「ペチュラ」キャラのオブジェやカードケースも販売。カードケースにはイニシャルを刻印できるそうです。魅力的なコラボアイテムを見てきた直後なので、何でも欲しくなるというか、美術館のショップ感覚で10万円前後のものを気軽に買ってしまいそうな危険が。11番目の部屋でアート欲や物欲を昇華できると、人として新たなステージへ……。ここで投資した額が、またルイ・ヴィトンとアーティストのコラボに使われたら、ポジティブな循環に参加できそうです。

LOUIS VUITTON &
期間:〜5月16日(日)予定
時間:10:00〜20:00(最終入場 19:30)
無休
※開催日時などにつきましては、新型コロナウイルス感染症の発生状況により、変更の可能性もあるので、念のため下記HPなどでご確認ください。

住所:東京都渋谷区神宮前6-35-6 jing
入場:無料 ※要事前予約
louisvuitton.com

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辛酸なめ子プロフィール画像
辛酸なめ子

漫画家、コラムニスト。埼玉県出身、武蔵野美術大学短期大学部デザイン科グラフィックデザイン専攻卒業。アイドル観察からスピリチュアルまで幅広く取材し、執筆。新刊は『辛酸なめ子の世界恋愛文学全集』(祥伝社文庫)『タピオカミルクティーで死にかけた土曜日の午後 40代女子叫んでもいいですか 』(PHP研究所)『大人のコミュニケーション術 渡る世間は罠だらけ』(光文社新書)『妙齢美容修業』(講談社文庫)『辛酸なめ子の現代社会学』(幻冬舎文庫)。Twitterは@godblessnamekoです。

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