デビューから40年の軌跡を辿る。写真家・石内都の大規模個展、横浜美術館にて開催中

2017年で実質的な写真家デビューから40周年を迎えた石内都の大規模個展『石内 都 肌理(きめ)と写真』が現在、横浜美術館で開催中。会場には今、国際的に最も高い評価を受ける写真家の一人である彼女の初期の作品から未発表作まで約240点がずらり。石内ワールドを体感できる、またとない機会だ。

2017年で実質的な写真家デビューから40周年を迎えた石内都の大規模個展『石内 都 肌理(きめ)と写真』が現在、横浜美術館で開催中。会場には今、国際的に最も高い評価を受ける写真家の一人である彼女の初期のヴィンテージプリントから今年撮影された未発表作まで、約240点が展示されている。

《ひろしま #106 Donor: Hashimoto, H.》2016年 ©Ishiuchi Miyako
《ひろしま #106 Donor: Hashimoto, H.》2016年 ©Ishiuchi Miyako


石内が横浜に暗室を設けたのは1975年のこと。その後’79年に〈Apartment〉で女性写真家として初めて第4回木村伊兵衛写真賞を受賞した石内は、2005年には母親の遺品を撮影した〈Mother’s〉で第51回ヴェネチア・ビエンナーレ日本館代表作家に選出。’14年にはアジア人女性として初めて、写真のノーベル賞とも呼ばれるハッセルブラッド国際写真賞を受賞している。展示は「横浜」「絹」「無垢」「遺されたもの」の4章にて構成。デビュー前の1975〜76年に自宅周辺を撮影した〈金沢八景〉、石内の生まれ故郷である群馬県桐生市の絹織物、銘仙を撮影した〈絹の夢〉、’90年頃から継続する傷跡シリーズのうち、女性の傷跡だけを集めた〈Innocence〉、’07年に始まり今も制作を続ける
、広島の被爆者の遺品を撮影した〈ひろしま〉、前出〈Mother’s〉と、それを見たフリーダ・カーロ博物館の学芸員の依頼を受け、’12年にメキシコの画家フリーダ・カーロにまつわる品を撮影した〈Frida by Ishiuchi〉〈Frida Love and Pain〉など、人間の記憶と時間の痕跡を表現した作品が並ぶ。胸をえぐられるような作品も多く、見応えはたっぷり。時間をかけてじっくりと作品と向き合いたい。

《yokohama 互楽荘 #2》1986-87年 ©Ishiuchi Miyako
《yokohama 互楽荘 #2》1986-87年 ©Ishiuchi Miyako


なお、石内作品の被写体である「絹」や「着物」にちなみ、美術館を着物で訪れた人は当日観覧料が100円割引に。 また「VANILLABEANS」とのコラボによる、石内作品を使った特別パッケージのオリジナルチョコレートも販売中だ。柚子胡椒とほうじ茶の2つのフレーバーを石内自らが選んだというチョコレートはプレゼントにもぴったりなので、こちらもぜひチェックして。


『石内 都 肌理(きめ)と写真』
会期:〜3月4日(日)
会場:横浜美術館
時間:10:00~18:00 ※3/1は16:00まで、3/3は20:30まで(入館は閉館の30分前まで)
休館日:毎週木曜日(ただし3/1は開館)、年末年始(2017/12/28〜2018/1/4)
料金:一般1,500円、大・高生900円、中学生600円、小学生以下無料
045-221-0300(代表10:00~18:00/3/1を除く毎週木曜日と2017/12/29〜2018/1/3は休み)
http://yokohama.art.museum/special/2017/ishiuchimiyako/



text : Shiyo Yamashita