霧の彫刻が空間を満たす! 中谷芙二子と宇吉郎の親子による展覧会『グリーンランド』、銀座メゾンエルメス フォーラムにて開催中

銀座メゾンエルメス フォーラムでは現在、霧のアーティストとして世界的に活躍する中谷芙二子と、その父で実験物理学者・中谷宇吉郎の展覧会『グリーンランド』を開催中。レンゾ・ピアノ建築のガラスブロックを晩年の宇吉郎が雪氷研究に打ち込んだ氷の大地に見立てた空間に、芙二子による霧の彫刻が展開される。

銀座メゾンエルメス フォーラムでは現在、霧のアーティストとして世界的に活躍する中谷芙二子と、その父で実験物理学者・宇吉郎の展覧会『グリーンランド』を開催中。晩年の宇吉郎が雪氷研究に打ち込んだ氷の大地に見立てた空間を、芙二子による霧が満たす。

Photo credit: ©Nacása & Partners Inc. / Courtesy of Fondation d'entreprise Hermès
Photo : ©Nacása & Partners Inc. / Courtesy of Fondation d'entreprise Hermès

 

「雪は天から送られた手紙である」という言葉で知られる中谷宇吉郎は、日本を代表する科学者の一人であり、雪氷学の基礎を築いた実験物理学者。1936年に世界で初めて人工雪の結晶を作成、’52年からは研究の場を米国へ移し、晩年はグリーンランドの氷冠の研究に取り組んだ。一方、娘の芙二子は’66年にニューヨークにてロバート・ラウシェンバーグらが設立した芸術と科学の協働を理念とした非営利組織「E.A.T.(Experiments in Art and Technology)」に参加。芙二子の代名詞である水を用いた人工霧による『霧の彫刻』は、'70年の大阪万博ペプシ館にて初めて発表。以降、彼女は世界各地で80作品を超えるインスタレーションやパフォーマンスなどを手がけてきた。常設作品としては国営昭和記念公園・こどもの森の『霧の森』や、ビルバオ・グッゲンハイム美術館の『F.O.G.』などがよく知られている。2017年にはフランスの芸術文化勲章の最高位コマンドゥールを受勲。本展のオープニングセレモニーではその叙勲式も行われた。

Photo credit: ©Nacása & Partners Inc. / Courtesy of Fondation d'entreprise Hermès
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今回の『グリーンランド』では、中谷芙二子が銀座メゾンエルメス フォーラムのガラスブロックをグリーンランドの氷の大地に見立て、人工霧を発生させる新作『氷河の滝 グリーンランド』を中心に、映像などとともに作品を展示して空間を構成。また、宇吉郎の研究の足跡を紹介するとともに、芙二子の姉で同じく地質学の研究者として活動した中谷オルスン咲子の調査道具なども展示されているのでこちらも必見だ。都会のビルの中で遥か遠くの氷の世界を感じながら霧に包まれる体験は、他では決してできないもの。濡れるのが心配な人のためにポンチョも用意されているので、安心して訪れてみて。


『グリーンランド』中谷芙二子+宇吉郎展
会期:〜2018年3月4日(日)
会場:銀座メゾンエルメス フォーラム
時間:月〜土=11:00~20:00(最終入場は19:30まで)、日=11:00~19:00(最終入場は18:30まで)
休館日:不定休(年末年始はエルメス銀座店の営業時間に準ずる)
入場料:無料
03-3569-3300
http://www.maisonhermes.jp/ginza/le-forum/archives/405275/


text : Shiyo Yamashita