縄文時代の住居から最新の現代建築まで、100のプロジェクトを通して日本建築の本質に迫る展覧会「建築の日本展:その遺伝子のもたらすもの」が、東京・六本木の森美術館で2018年9月17日(月・祝)まで開催中。日本建築の遺伝子を数多くの模型や資料と共に明らかにする、ダイナミックな展覧会だ。
縄文の住居から最新の現代建築まで、100のプロジェクトを通して日本建築の本質に迫る展覧会「建築の日本展:その遺伝子のもたらすもの」が、東京・六本木の森美術館で2018年9月17日(月・祝)まで開催中。古代から現代まで受け継がれてきた日本建築の遺伝子を、総数400を超える模型や資料と共に明らかにする。
「可能性としての木造」から「共生する自然」まで、日本建築を読み解く9つの特質で章を構成した本展。北川原 温が2015年ミラノ国際博覧会日本館で披露した美しい木組の再現から始まる展示空間には、嚴島神社の大鳥居や伊勢神宮正殿といった、日本で生まれ育った人なら誰もが知っている歴史的アイコンから、最先端の建築技術の粋を集めた東京スカイツリーのようなものまで、あらゆるプロジェクトの写真や模型が並んでいる。
過去の名作建築群に加え、現在の日本建築界のスターたちの最新プロジェクトも紹介。伊東豊雄「台中国家歌劇院」(2016年)、SANAA「荘銀タクト鶴岡」(2017年)、坂 茂「静岡県富士山世界遺産センター」(2017年)、杉本博司「江之浦測候所」(2017年)などの近年竣工したプロジェクトとともに、石上純也「House & Restaurant」や、岡 啓輔「蟻鱒鳶ル(ありますとんびる)」など、現在進行中のプロジェクトも紹介されているので要チェックだ。
日本建築の全体像を紹介しようという壮大な企画だが、膨大な資料の間を歩き回るだけで楽しく、歴史的な流れなども頭の中にすっと入ってくるのは、展示方法に初心者から建築マニアまで、さまざまな鑑賞者に配慮した工夫がなされているから。若手建築家の川勝真一、工藤桃子、元木大輔、グラフィックデザイナーの橋詰 宗と飯田将平が森美術館とタッグを組み、映像や大型模型、言葉などを効果的に配置しながら、鑑賞者を建築の世界に導く展示を作り上げた。会場の中にはモダニズムの名作家具を配置したブックラウンジがあったり、ライゾマティクス・アーキテクチャーによる、日本建築のスケールを3Dで体感できる空間があったり。建築の知識がなくても楽しめること請け合いだ。
最大の見どころは、千利休作と言われる、現存する茶室建築としては日本最古の国宝「待庵」(京都・妙喜庵)の原寸スケールでの再現。靴を脱いで中に入ることもできるので、無駄を排したコンパクトな空間の中に、何が表現されているのかを体感できる。また、戦後の国家的プロジェクトを数多く手がけた丹下健三の1953年竣工の自邸を3分の1スケールで再現した巨大模型も必見。日本建築の全貌にさまざまな角度から迫ることができるまたとない機会、見逃す手はなさそう!
「六本木ヒルズ・森美術館15周年記念展 建築の日本展:その遺伝子のもたらすもの」
会期:〜2018年9月17日(月・祝)
会場:森美術館(東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー52F)
時間:10:00〜22:00(火曜のみ〜17:00)(入館は閉館30分前まで)
休館日:会期中無休
03-5777-8600 (ハローダイヤル)
https://www.mori.art.museum/jp/exhibitions/japaninarchitecture/index.html
text : Shiyo Yamashita