目黒区美術館では2018年9月6日(木)までの期間、日本とフィンランドの外交関係樹立100周年を記念した「フィンランド陶芸―芸術家たちのユートピア」を開催。19世紀末の黎明期からモダニズムデザインが花開く1950〜60年代までの名作が体系的に紹介される、またとない機会だ。
目黒区美術館では2018年9月6日(木)までの期間、日本とフィンランドの外交関係樹立100 周年を記念した「フィンランド陶芸-芸術家たちのユートピア」 を開催。フィンランド陶芸を体系的に紹介する、日本初の展示となっている。
これまで日本で紹介されてきたのは、主にフィンランドのプロダクト・デザイン。ガラス製品で人気の高いイッタラ、陶磁器のアラビア、テキスタイル製品を中心としたマリメッコなどは広く知られている。一方で、作家による芸術作品について取り上げられる機会はあまりなかった。
今回の展覧会では、19世紀末〜20世紀初頭にかけてアーツ・アンド・クラフツ運動やアール・ヌーヴォーの影響を受けて始まったナショナル・ロマンティシズム(民族的ロマン主義)の美術・工芸作品から、第二次世界大戦後に国外でも高い評価を受けるようになった“オーガニック・モダニズム”と称される陶芸作品、そして機能主義に加え日本の美術や工芸にも影響を受けたデザイン・プロダクトまでを幅広く紹介。フィンランド陶芸の全貌にさまざまな角度から迫るものとなっている。
本展は、フィンランド陶磁器やガラス作品の世界的コレクターであるキュオスティ・カッコネン氏のコレクションを中心に、「フィンランド陶芸の萌芽」「近隣諸国の影響を受けて」「フィンランド陶芸の確立」「フィンランド陶芸の展開」「プロダクト・デザイン」の5章によって構成。フィンランド陶芸の社会的背景や、知られざる豊かな表現に触れることができるので、北欧好きならずとも必見だ。会期中の7月22日(日)には北欧デザインを日本に広めた第一人者、島崎信氏の特別講演会が開催されるので、早めにチェックして。なお、本展は今後、岐阜・山口・大阪にも巡回する予定だ。
「フィンランド陶芸―芸術家たちのユートピア」
会期:〜2018年9月6日(木)
会場:目黒区美術館(東京都目黒区目黒2-4-36)
時間:10:00~18:00(入館は17:30まで)
休館日:月曜日
03-3714-1201
http://mmat.jp/
text : Shiyo Yamashita