2019年で350周年を迎えるパリ・オペラ座の2019/2020年シーズンプログラムのオープニング作品として、杉本博司演出による『At the Hawk’s Well/鷹の井戸』が2019年9月20日(金)〜10月15日(火)、ガルニエ宮にて上演。音楽・ビデオ制作は池田亮司、衣裳はリック・オウエンスが手がける。
パリ・オペラ座の2019/2020年シーズンプログラムのオープニング作品として、杉本博司演出による『At the Hawk’s Well/鷹の井戸』が2019年9月20日(金)〜10月15日(火)、ガルニエ宮にて上演される。
「鷹の井戸」はアイルランドの詩人・劇作家であるウィリアム・バトラー・イェイツによる戯曲。1916年に初演されたこの戯曲は、イェイツが日本の古典演劇である能楽に触発されて書いたもの。この戯曲を原作とする今回の舞台で杉本は、音楽・ビデオ制作にパリを拠点に活躍するミュージシャンで現代美術家の池田亮司を、振付にベジャール・バレエ・ローザンヌ、リヨン・オペラ座バレエ団、ウィリアム・フォーサイス率いるフランクフルト・バレエ団などで活躍した後、日本でも多彩な活動を展開するダンサー・振付家のアレッシオ・シルベストリンを招聘。また衣裳デザインにはリック・オウエンスを迎え、オペラ座のバレエダンサーとのコラボレーションに挑む。
もともとイェイツに能の初期の英訳テキストを紹介したのは、アメリカの詩人エズラ・パウンド。そのパウンドに能について教えたのは、岡倉天心の師としても知られる東洋美術史家で哲学者のアーネスト・フェノロサの妻だったという。日本美術の海外への紹介に尽力したフェノロサは、能に魅せられ、観世流シテ方能楽師の初世 梅若実に師事した人物だ。
『鷹の井戸』は舞踏劇として1916年にロンドンで初演、翌年出版。日本の能作者である横道萬里雄は’49年にこの曲を新作能『鷹の泉』として改作。その後、’67年には横道によりさらに大胆に改作された『鷹姫』が観世寿夫らによって上演されている。杉本によれば、今回のガルニエ宮公演は「百年をかけて改作されながら世界を一巡りし、今回はバレエ作品となって、オペラ座の素晴らしいダンサー達とともに、イェイツの魂を再び舞台上に呼び戻す試み」。九世 観世銕之丞、二代 梅若紀彰という2人の能楽師の出演も話題だ。
なお、本公演はフォーサイスがジェイムス・ブレイクの曲を用い、パリ・オペラ座バレエ団のために創作した『Blake Works I』(再演)との2本立てで上演されるので、こちらも見逃せない。チケットはパリ・オペラ座のオフィシャルサイトにて。早めの購入をお勧めしたい。
『At the Hawk’s Well/鷹の井戸』
公演期間:2019年9月20日(金)~10月15日(火)
会場:パリ・オペラ座 ガルニエ宮(8 Rue Scribe, 75009 Paris)
演出:杉本博司
音楽・音響制作:池田亮司
振付:アレッシオ・シルベストリン
原作:ウィリアム・バトラー・イェイツ
空間演出:杉本博司、池田亮司
衣裳:リック・オウエンス
制作協力: 小田原文化財団
特別協賛:全日本空輸株式会社
問い合わせ:0465-42-9170(公益財団法人小田原文化財団)※10:00~16:00/休館日(火曜・水曜)を除く
https://www.operadeparis.fr/en/season-19-20/ballet/hiroshi-sugimoto-william-forsythe
text : Shiyo Yamashita