ハナエモリの創設者として知られるファッションデザイナー、森英恵の偉大な足跡を紹介する展覧会「森英恵 世界にはばたく蝶」が2020年2月22日(土)~5月6日(水・振休)、水戸芸術館 現代美術ギャラリーにて開催される。森が半世紀にわたって手がけてきたオートクチュールや映画・舞台の衣裳、ユニフォームなどを通じて、戦後の日本から世界にはばたいた女性の華麗な半生を振り返る。
日本のファッションデザイナーの先駆け的存在、森英恵の偉大な足跡を紹介する展覧会「森英恵 世界にはばたく蝶」が、2020年2月22日(土)~5月6日(水・振休)、水戸芸術館 現代美術ギャラリーにて開催される。代表的なモチーフとして知られる蝶をあしらったオートクチュールをはじめ、彼女が半世紀にわたって手がけてきた作品や豊富な資料を通じて、その華麗な半生を振り返る。
東京女子大学を卒業した森は、戦後に洋裁を学び、1951年にスタジオを設立。日本映画の全盛期であった1950〜60年代に浅丘ルリ子や岡田茉莉子、石原裕次郎ら銀幕スターらの数百もの映画の衣裳を手がけ、小津安二郎や吉村公三郎、大島渚などの名監督のもとで多くを学んだ。'65年にはニューヨークにて初の海外コレクションを発表。蝶のモチーフが好評を集め、“マダム・バタフライ”としてその名を知られるようになった。
'75年にパリで初のショーを開催すると、'77年にはパリに念願のメゾンをオープン、また東洋人として初めてパリ・オートクチュール組合の会員となり、名実ともに世界的なデザイナーに。一方で、'70年に開催された大阪万博の日本政府館のコンパニオンや、日本航空のスタッフ、バルセロナ五輪やリレハンメル五輪の日本選手団など、日本の顔として世界に対峙する人々のユニフォームも数多く手がけている。また、オペラやバレエ、能、歌舞伎、美空ひばりの東京ドーム公演や劇団四季の作品の衣裳など、舞台衣裳でも高い評価を受けてきた。
本展では「東洋と西洋の出会い」として世界で賞賛されたオートクチュールを中心とした多彩な手仕事作品を紹介するとともに、森自身のライフストーリーも紹介。'51年に森がキャリアをスタートした新宿のスタジオ「ひよしや」時代の写真とともにオートクチュール制作に欠かせない素材や道具を展示するコーナーや、彼女が長年にわたって続けてきた努力と挑戦の日々を彼女の言葉や写真などを通して辿るコーナーなどが用意されている。また、森が島根の六日市町(現・吉賀町)で過ごした幼少期に見た紋白蝶の舞う風景を落とし込んだ、体験型映像作品もあるのでお楽しみに。
なお、会期中は現代美術ギャラリー第9室で開催中の「磯崎 新-水戸芸術館 縁起-」も観覧可能。こちらは昨年、建築界のノーベル賞と目されるプリツカー賞を受賞した巨匠が設計を手掛けた、国内3つの美術館(ハラ ミュージアム アーク、水戸芸術館、奈義町現代美術館)で展開する「縁起」展の第2弾。お見逃しなく。
「水戸芸術館開館30周年記念事業 森英恵 世界にはばたく蝶」
会場:水戸芸術館 現代美術ギャラリー
会期:2020年2月22日(土)~5月6日(水・振休)
時間:9:30〜18:00(入場は17:30まで)
休館日:月曜、2月25日(火) ※ただし2月24日(月)、5月4日(月・祝)は開館
入館料:一般 ¥900、高校生以下・70歳以上・障害者手帳持参&付き添い1名は無料 ※「磯崎 新-水戸芸術館 縁起-」も観覧可
029-227-8111
https://www.arttowermito.or.jp/
text : Shiyo Yamashita