オラファー・エリアソンによる、日本では約10年ぶりとなる大規模個展「オラファー・エリアソン ときに川は橋となる」が、2020年6月9日(火)〜9月27日(日)、東京都現代美術館で開催。作家の再生可能エネルギーへの関心と気候変動への働きかけを軸に構成される本展には、日本初公開の作品も多数展示される。
新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため3月より閉館していた東京都現代美術館が、2020年6月9日(火)より全館開館。それに伴い延期となっていた、オラファー・エリアソン(1967年〜)による日本では約10年ぶりとなる大規模個展「オラファー・エリアソン ときに川は橋となる」がスタートした。
現在、ベルリンとコペンハーゲンを拠点に活動するアイスランド系デンマーク人のオラファー・エリアソンは、アートを介したサステナブルな世界の実現に向けた試みで、国際的に高い評価を得てきた作家。テート・モダン(ロンドン)で発表した《ウェザー・プロジェクト》(2003年)や、ニューヨークのイースト川に人工の滝を出現させたパブリックアート・プロジェクト(2008年)などといった大規模なインスタレーションは特によく知られている。
近年は電力インフラが整っていない地域に住む人びとに明かりを届けるための携帯式のソーラーライト「リトルサン」(エンジニアのフレデリック・オッテセンと共同開発)や、グリーンランドの氷床から分離した氷塊をコペンハーゲンやパリ、ロンドンの街中で展示、北極の氷が溶けていく現実を人々に体感してもらうことで、気候変動への意識を高める「アイス・ウォッチ」(地質学者のミニック・ロージングとの共同プロジェクト)といった、社会的課題をめぐる取り組みにも力を注いでいる。
今回の展覧会は、エリアソンの再生可能エネルギーへの関心と、気候変動への働きかけを軸に、多くが国内初公開となる作品の数々で構成。展示室の内外で展開される2つの大規模なインスタレーション、写真のシリーズ、公共空間への介入をめぐる作品など、本展のための新作や、鑑賞者の目の前に虹を再現する初期の代表作《ビューティー》(1993年)をはじめとする体験型作品やインスタレーションが展示される。
また、彼が幼少期に長い時間を過ごしたアイスランドの自然を20年以上にわたって撮影し続け、氷河の大きな変化を目に見える形で突きつける《溶ける氷河のシリーズ 1999/2019》(2019年)など、自然との関係について鑑賞者に考えさせる作品も多数展示。さらに、「リトルサン」に蓄えられた太陽の光で自由にドローイングを描ける《サンライト・グラフィティ》(2012年)などソーラーエネルギーを利用した作品があったり、作品の輸送においても二酸化炭素排出量の削減に取り組んだりするなど、展覧会のさまざまな側面で環境に配慮していることにも注目したい。
また、エリアソンが1995年にベルリンで設立した、技術者、建築家、研究者、美術史家、料理人など100名を超えるメンバーで構成されるスタジオ・オラファー・エリアソンによる、サステナブルな生分解性の新素材やリサイクルの技術に関する近年のリサーチの一部も紹介。緻密なリサーチやコミュニケーションに裏打ちされた作品を通して、現代社会が直面する問題の鑑賞者との共有を試みるエリアソン。前進を続ける彼の取り組みに圧倒されるべく、会場を訪れてみては。
「オラファー・エリアソン ときに川は橋となる」
会場:東京都現代美術館 企画展示室 地下2F(東京都江東区三好4-1-1)
会期:2020年6月9日(火)~9月27日(日)
時間:10:00〜18:00(展示室入場は17:30まで)
休館日:月曜日(8月10日、9月21日は開館)、8月11日、9月23日
観覧料:一般 ¥1,400、大学生・専門学校生・65歳以上 ¥1,000、中高生 ¥500、小学生以下無料 ※小学生以下は保護者同伴のこと/身体障害者手帳・愛の手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳・被爆者健康手帳を持参の場合、手帳持参者と付き添い2名まで無料
03-5777-8600(ハローダイヤル/8:00〜22:00)
https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/olafur-eliasson/
text : Shiyo Yamashita
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