Mame Kurogouchiは長野県立美術館にて、ブランド初となる美術館での個展「10 Mame Kurogouchi」を開催中。デザイナーの黒河内真衣子自身のダイアリーや撮りためた写真から資料やコレクションのアーカイブまでを展示、この10年のクリエイションについて俯瞰的に紹介する、必見の展覧会だ。
長野県立美術館では現在、ブランドのデビューから10周年を迎えたMame Kurogouchiの、美術館では初となる単独の展覧会「10 Mame Kurogouchi」を開催中だ。

善光寺にも程近い城山公園内にある長野県立美術館は、長野県信濃美術館として50数年間にわたり県内外の人々に愛されてきたのち、今年4月に全面改装を経て、名称も新たにリニューアルオープン。本館と東山魁夷館の両方のスタッフユニフォームを、Mame Kurogouchiのデザイナーで長野県出身の黒河内真衣子が手がけたことでも話題となった。

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本展では、黒河内の私小説的ともいえるクリエイションの背後に複雑にレイヤーされた諸要素を視覚化、10年に及ぶ創作の旅路を紹介。これまで発表されたコレクションに共通する、旅・夢・色・刺繍などといった10のキーワードが、デザイナー自身のダイアリー、着想源となった品々や写真、工場への指示書やテキスト、本展のために製作されたオリジナルのテキスタイル、フォトグラファー・野田祐一郎による撮り下ろしの写真作品、ファーストコレクションから2020年秋冬コレクションまでのアーカイブなどを用いて、多面的に可視化。展示会場に一歩足を踏み入れれば、ブランドの思想の根底に触れることができるような空間が広がっている。

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展覧会の開催を記念して刊行される作品集『10 Mame Kurogouchi』(7月刊行予定/青幻舎)は、テキストと写真をメインとした「読む展覧会」として、展覧会の展示内容と作品集が相互補完するようデザインされているので必見。Mame Kurogouchiの世界を堪能するコンセプトブックとしても楽しめるほか、黒河内本人だけでなく、彼女と親交のある朝吹真理子らによる寄稿も収録される予定だ。
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黒河内にとって最も原初的なルーツである長野の地で開催される展覧会本編、そして作品集。両方合わせて楽しむことで、ブランドのクリエイションの源泉を、より深く感じられるはずだ。
「10 Mame Kurogouchi」
会期:〜2021年8月15日(日)
場所:長野県立美術館 展示室3(長野県長野市箱清水1-4-4)
時間:9:00〜17:00(展示室入場は16:30まで)
休館日:水曜
https://nagano.art.museum/
text : Shiyo Yamashita