東京・日本橋の三井記念美術館では、「三井家のおひなさま」展が3年ぶりに開催中。三井家の夫人や娘が大切にしてきたひな人形やひな道具を一堂に展示しており、特に京都の丸平大木人形店・五世大木平藏が特別に製作した豪華なひな段飾りは必見。華やかなひな人形やひな段飾りで春の気分を味わって。
東京・日本橋の三井記念美術館では、三井家の夫人や娘が大切にしてきたひな人形やひな道具を一堂に展示する「三井家のおひなさま」展を開催中だ。
2006年より続いてきた春の恒例展示「三井家のおひなさま」。3年ぶりの開催となる今回は、北三井家十代・高棟夫人の苞子(1869〜1946)、十一代・高公夫人の鋹子(1901〜1976)、高公の一人娘・浅野久子(1933〜)、伊皿子三井家九代・高長夫人の興子(1900〜1980)旧蔵の、贅を尽くした逸品が並ぶ。
高棟夫人の苞子の旧蔵品としては、巴印のひな人形やひな道具を展示。実家の旧富山藩主前田家から伝わったもの、三井家で新たに作られたもの、江戸時代から三井家に伝来したものなど、さまざまな年代や種類のひな人形、ひな道具が含まれる。
手先が器用で、剪綵(北三井家八代・高福が考案した裂地を使った貼り絵の一種)を復活させたことでも知られる北三井家十一代・三井高公夫人の鋹子のひな人形は、日本橋十軒店の名工・二代永德齋製のものが中心。初節句、または嫁入りの際に誂えられたとされている。
北三井家十一代・三井高公の一人娘である浅野久子のものとしては、初節句に際して「丸平」 で知られる京都の丸平大木人形店・五世大木平藏(1885〜1941)に注文して誂えたひな人形、ひな道具が。近年まで浅野家でおこなわれていた、幅3メートルに及ぶ段飾りを再現して展示されているので必見だ。
さらに、家祖・三井高利の次男高富(1654〜1709)を初代とする伊皿子三井家から、伊皿子三井家九代・高長夫人の三井興子のひな人形も。興子もまた手先が器用で、鎌倉彫、刺繍、染物などを得意とし、北家の鋹子らと共に剪綵の技術の研鑽を積み、昭和11年(1936)の常盤会への皇后行啓に際しては、その実演も行ったという。
一方、展示室6と7では特集展示として、近年同館が寄贈を受け入れた作品の中から主だったものを展示。展示室6では浮世絵師の月岡芳年に師事した水野年方の版画「三井好 都のにしき」全13枚を一挙に展示している。これは三越呉服店の前身、三井呉服店の明治37年(1904)頃の新作ファッションカタログとしての性格を兼ねたものだ。
展示室7では、北三井家から寄贈された御所人形や五月人形や、三井家の親戚にあたる白根家から寄贈された美術工芸品、三井高福・三井高棟が描いた絵画、北三井家の別荘城山荘の城山窯で焼かれた陶磁器のうち三井高棟が描いた絵があるもの、奥村土牛や堂本印象の絵画などを展示。また三井グループ企業からの寄贈では酒井抱一の下絵で原羊遊斎作の、春野の蒔絵引戸を展示している。さらに、個人からの寄贈品として、後水尾天皇の和歌懐紙、渡辺始興の花鳥図、河鍋暁斎の花見の図などが。見て楽しい華やかかつ多彩な内容となっているので、こちらもおひなさまと併せて楽しんで。
「三井家のおひなさま 特集展示 近年の寄贈品 ─絵画・工芸・人形など―」
会期:〜2023年4月2日(日)
会場:三井記念美術館(東京都中央区日本橋室町2-1-1 三井本館7階)
開館時間:10:00〜17:00(入館は16:30まで)
休館日:月曜、2月26日(日)
入館料:一般 ¥1,000、大学・高校生 ¥500、中学生以下 無料
問い合わせ:050-5541-8600(ハローダイヤル)
https://www.mitsui-museum.jp