シュールで不思議な世界観に耽溺。「エドワード・ゴーリーを巡る旅」、渋谷区立松濤美術館にて開催中

シュールで謎めいた独特の世界観と緻密な線描で、世界中に熱狂的なファンを持つ絵本作家、エドワード・ゴーリーの展覧会「エドワード・ゴーリーを巡る旅」が、現在渋谷区立松濤美術館にて開催中。「子供」「不思議な生き物」「舞台芸術」などのテーマを軸に選ばれた約250点の作品を通じて、冷徹な死生観を持つ作品世界を楽しんで。

シュールで謎めいた独特の世界観と緻密な線描で知られるアメリカの絵本作家、エドワード・ゴーリーの、日本では約3年ぶりとなる展覧会「エドワード・ゴーリーを巡る旅」が、現在渋谷区立松濤美術館にて開催中だ。

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エドワード・ゴーリー『うろんな客』 原画 1957年 ペン、インク、紙 ©2022 The Edward Gorey Charitable Trust

ゴーリーは1925年アメリカ・シカゴ生まれ。17歳の頃にシカゴ・アート・インスティテュートで半年だけ学んだ後、第二次世界大戦中は兵役につき、除隊後にハーバード大学で仏文学を専攻。1953年にニューヨークの出版社ダブルデイ社に就職、ブックデザインを担当するようになる。1962年には自身の出版社ファントッド・プレスを設立。翌年からは絵本作家としての仕事に専念するように。以降、韻を踏んだ詩的な文章と、緻密で繊細な線描画、19世紀のイギリス文学を彷彿とさせる重厚かつダークな世界観を持つ絵本を数多く出版。自ら文章と絵の両方を手がけた主著(Primary Books)と呼ばれる作品数は約120冊に及ぶ。

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エドワード・ゴーリー『不幸な子供』 原画 1961年 ペン、インク、紙 ©2022 The Edward Gorey Charitable Trust

本展はボストン郊外の風光明媚な半島、ケープコッドにゴーリーが終の棲家として1986年に移り住んだ築約200年の古い邸宅をその死後に記念館として整備した「ゴーリーハウス」で開催されてきた企画展から、約250点の作品を「ゴーリーと子供」「ゴーリーが描く不思議な生き物」「ゴーリーと舞台芸術」などのテーマに沿って構成したもの。日本でもおなじみの『不幸な子供』や『うろんな客』をはじめとしたゴーリーの名作の原画から最晩年の版画作品まで、幅広い作品が紹介されている。

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エドワード・ゴーリー『ジャンブリーズ』 原画 1968年 ペン、インク、紙 ©2022 The Edward Gorey Charitable Trust

同じタイトルでも箱入りの限定版が出版されるなど、さまざまな仕掛けを用意していたことでも知られているゴーリーによるこだわりの本作りについての展示があったり、舞台美術やテレビ、映画などとの関わりについて紹介したりと、深くユニークなゴーリーの作品世界に入り込むことができるような展示は、ゴーリーファンなら必ずや楽しめるもの。ゴーリーが邸宅に遺した書物と同種の19世紀の貴重な書籍を中心に紹介するコーナーや、ケープコッドでの暮らしの様子に触れることができる展示も。旅をするような気分で楽しんでみてほしい。


「エドワード・ゴーリーを巡る旅」

会期:〜2023年6月11日(日) ※会期中一部展示替えあり
会場:渋谷区立松濤美術館(渋谷区松濤2-14-14)
開館時間:10:00〜18:00(金曜は〜20:00/入館は閉館時間の30分前まで)
入館料:一般 ¥1,000、大学生 ¥800、高校生・60歳以上 ¥500、小・中学生 ¥100
休館日:月曜
https://shoto-museum.jp/

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