刺繍や羽根細工などの卓越した職人仕事を誇るアトリエとの協業にフォーカスした第3章「Artistry: Embroidery and Feathers 刺繍とフェザー」や、モロッコ以外への旅行を好まなかったイヴ・サンローランがアフリカやロシアやスペイン、日本や中国などへの想像の旅から生み出した幻想的でわくわくするような作品を集めた第4章「Imaginary Travels 想像上の旅」なども。また、ヨーロッパにおける服飾の歴史に触発されたドレスを集めた第5章「Fashion History 服飾の歴史」や、舞台の衣装を集めた第8章「Performing Arts – Textiles 舞台芸術──テキスタイル」の華やかさにも圧倒される。
本展のメインイメージとなっている「カクテル・ドレス―ピート・モンドリアンへのオマージュ」をはじめとした、他のアーティストたちへのオマージュとなるドレスを集めた第9章「Homage to Artists アーティストへのオマージュ」もユニーク。「私の目標は巨匠たちと自分を比較することではなく、最大限彼らに近づき、その才能から学ぶことでした」として、ピカソ、ゴッホ、ブラック、マティス、ボナールなどの作品から得たインスピレーションを昇華させたドレスの数々が並ぶこのコーナーは、本展のハイライトのひとつと言えそうだ。
もちろん、イヴ・サンローランにとって初の海外旅行先ともなった、1963年の日本滞在にフォーカスした第11章「Yves Saint Laurent and Japan イヴ・サンローランと日本」も。