2023.09.22

イヴ・サンローランの華麗な美の世界を総覧。大回顧展「イヴ・サンローラン展 時を超えるスタイル」、国立新美術館でスタート

「モードの帝王」イヴ・サンローランの没後日本で初めて開催される大回顧展「イヴ・サンローラン展 時を超えるスタイル」が、東京・六本木の国立新美術館で開催されている。21歳の若さで衝撃的なデビューを果たしてから約40年にわたる歴史を、ルック110体のほか262点の資料で紹介する、またとない機会だ。

イヴ・サンローランの豪華絢爛な美の世界を余すところなく紹介する大回顧展「イヴ・サンローラン展 時を超えるスタイル」が、東京・六本木の国立新美術館で開催されている。ルック110体のほか、アクセサリー、ドローイング、写真を含む262点を12章で構成。「モードの帝王」の圧倒的な世界観が体感できる。

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「品行方正」シャツ・ドレス イヴ・サンローランによるクリスチャン・ディオールの1958年春夏「トラペーズ・ライン」オートクチュールコレクション © Yves Saint Laurent © Alexandre Guirkinger

イヴ・サンローランは1936年、フランス領アルジェリアで裕福な家庭の子として誕生。早くからアーティスティックな才能の片鱗を見せていた彼は、17歳で国際羊毛事務局主催のコンクールのドレス部門で入賞。55年には19歳でクリスチャン・ディオールのアシスタントとなる。その2年後にはクリスチャン・ディオールの急死を受けその後継者となり、58年の春夏コレクションでデビュー。本展ではそのデビューコレクションから「品行方正」ドレスが展示されている。

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ファースト・サファリ・ジャケット 1968年春夏オートクチュールコレクション  © Yves Saint Laurent © Sophie Carre

1962年には自身のブランド、「イヴ・サンローラン」を発表。以来、2002年の引退まで約半世紀にわたって世界のファッションシーンをリードし、サファリ・ルックやパンツスーツ、ピーコート、トレンチコートといったアイテムを定着させるなど、女性たちのワードローブに変革をもたらした。会場にはそんなイヴ・サンローランの作品の変遷を網羅したオートクチュールのルックがテーマごとにわかりやすく展示されており、2002年の引退までのブランドの歴史を立体的に振り返ることができる。        

   

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第4章「Imaginary Travels 想像上の旅」の展示の一部。中央は日本の文化に着想を得た「イヴニング・ガウン」(1978)。

刺繍や羽根細工などの卓越した職人仕事を誇るアトリエとの協業にフォーカスした第3章「Artistry: Embroidery and Feathers 刺繍とフェザー」や、モロッコ以外への旅行を好まなかったイヴ・サンローランがアフリカやロシアやスペイン、日本や中国などへの想像の旅から生み出した幻想的でわくわくするような作品を集めた第4章「Imaginary Travels 想像上の旅」なども。また、ヨーロッパにおける服飾の歴史に触発されたドレスを集めた第5章「Fashion History 服飾の歴史」や、舞台の衣装を集めた第8章「Performing Arts – Textiles 舞台芸術──テキスタイル」の華やかさにも圧倒される。

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アンサンブル 1989年春夏オートクチュールコレクション  © Yves Saint Laurent © Alexandre Guirkinger
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カクテル・ドレス―ピート・モンドリアンへのオマージュ 1965年秋冬オートクチュールコレクション  © Yves Saint Laurent © Alexandre Guirkinger

本展のメインイメージとなっている「カクテル・ドレス―ピート・モンドリアンへのオマージュ」をはじめとした、他のアーティストたちへのオマージュとなるドレスを集めた第9章「Homage to Artists アーティストへのオマージュ」もユニーク。「私の目標は巨匠たちと自分を比較することではなく、最大限彼らに近づき、その才能から学ぶことでした」として、ピカソ、ゴッホ、ブラック、マティス、ボナールなどの作品から得たインスピレーションを昇華させたドレスの数々が並ぶこのコーナーは、本展のハイライトのひとつと言えそうだ。

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初来日時のイヴ・サンローラン、1963年4月 © Droits réservés

もちろん、イヴ・サンローランにとって初の海外旅行先ともなった、1963年の日本滞在にフォーカスした第11章「Yves Saint Laurent and Japan イヴ・サンローランと日本」も。

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第11章「Yves Saint Laurent and Japan イヴ・サンローランと日本」の展示の一部。

とにかく華やかで濃厚で、見応えのある展示。ドレスはすぐ近くで見られるので、それぞれに施された手仕事をじっくり見ていたら、数時間はかかってしまいそう。全308ページに及ぶ公式図録も非常に充実している。是非手にとって見てほしい。


「イヴ・サンローラン展 時を超えるスタイル」
会期:〜2023年12月11日(月)
会場: 国立新美術館 企画展示室1E(東京都港区六本木7-22-2)
開館時間:10:00~18:00(※毎週金・土曜日は20:00まで/入場は閉館の30分前まで)
休館日:火曜
入館料:一般 ¥2,300、大学生 ¥1,500、高校生 ¥900/中学生以下無料
問い合わせ:050-5541-8600(ハローダイヤル)
https://ysl2023.jp

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