没後30余年、伝説のデザイナーによる創作を振り返る。「倉俣史朗のデザイン―記憶のなかの小宇宙」、世田谷美術館にて開催中

造花の薔薇を透明アクリル樹脂に封じ込めた椅子《ミス・ブランチ》などで知られる伝説のデザイナー、倉俣史朗の活動を振り返る展覧会が、東京・用賀の世田谷美術館にて開催されている。1991年の早すぎる死の後も国内外で高い評価を受け続ける倉俣の作品にまとめて触れられる、またとない機会だ。

東京・用賀の世田谷美術館では、2024年1月28日(日)までの会期で、伝説のデザイナー、倉俣史朗の回顧展「倉俣史朗のデザイン―記憶のなかの小宇宙」を開催中だ。

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「倉俣史朗のデザイン―記憶のなかの小宇宙」の展示風景より。一番左は《スプリングの椅子》(1968年)、右から2番目は《引出しの家具 Vol.2 #5》(1970年)、一番右は《変型の家具 Side 1》(1970年)。

1991年の早すぎる死までの間、一風変わった家具と数多くの特色あるインテリアデザインで世界的に活躍した倉俣。1965年に独立し、自身の事務所を構えてから、同時代のアーティストとも交流をしつつ、機能性や見た目の形状に主眼を置いたデザインとは異なった考え方をした作品を発表し続けた。

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「倉俣史朗のデザイン―記憶のなかの小宇宙」の展示風景より。手前は《ミス・ブランチ》(1988年)。

造花の薔薇を透明アクリル樹脂に封じ込めた椅子《ミス・ブランチ》や、スチールメッシュのアームチェア《ハウ・ハイ・ザ・ムーン》。それに、板ガラスをフォトボンドで圧着して作り上げた《硝子の椅子》などには、見覚えのある人も多いだろう。1976年の「イッセイ ミヤケ フロムファースト」以来、イッセイ ミヤケの店舗デザインも多く手がけてきたので、そちらで記憶している人もいるかもしれない。本展には、アート作品のようでありながらきちんと機能も保持した倉俣の名作家具を多数展示。また、店舗デザインの設計図や当時の写真なども見ることができる。

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倉俣史朗 イメージスケッチ「猫とHow High the Moon」1980年代 クラマタデザイン事務所蔵 © Kuramata Design Office

1981年には、イタリアの建築家でインダストリアルデザイナーのエットーレ・ソットサスに誘われ、彼を中心に結成された多国籍のデザイン集団、メンフィスの活動に参加した倉俣。その影響力は世界にまで及んだ。この頃から彼は多くのデザイン・スケッチを描くようになったが、本展にはそんなスケッチも多く展示されている。また、夢日記や手紙、愛聴盤や愛読書などの紹介もあり、その人物像に近づくことができるのも興味深い。

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倉俣史朗 ショップ「スパイラル」1990年 撮影:淺川敏 © Kuramata Design Office
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「倉俣史朗のデザイン―記憶のなかの小宇宙」の展示風景より。左手前は《引出しの家具》(1967年)、右は《ピラミッドの家具》(1968年)。

1991年に56歳の若さで逝去した倉俣の活動を、彼自身の言葉を手がかりに振り返る本展は、デザインのこれからを考える上でも必見と言えそう。ぜひ、不世出の天才デザイナーが遺したものを体感しに行ってみて。


「倉俣史朗のデザイン―記憶のなかの小宇宙」
会期:〜2024年1月28日(日)
会場:世田谷美術館(東京都世田谷区砧公園1-2)
開場時間:10:00〜18:00(最終入場時間 17:30)
休館日:毎週月曜および年末年始(2023年12月29日~2024年1月3日/ただし2024年1月8日は開館、翌9日は休館)
観覧料:一般 ¥1,200、65歳以上 ¥1,000、大学生・高校生 ¥800、中学生・小学生 ¥500/*障害者手帳持参で¥500、小学生〜大学生の障害者は無料、介助者(当該障害者1名につき1名)は無料
問い合わせ:050-5541-8600(ハローダイヤル)
https://www.setagayaartmuseum.or.jp/

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