東京・汐留のパナソニック汐留美術館では、現在、20世紀デンマークを代表する家具デザイナーのひとり、ポール・ケアホルムの個展「織田コレクション 北欧モダンデザインの名匠 ポール・ケアホルム展 時代を超えたミニマリズム」を開催中。本展はケアホルムの主要作品を網羅した、日本の美術館では初の展覧会となる。
東京・汐留のパナソニック汐留美術館では2024年9月16日(月・祝)までの期間、「織田コレクション 北欧モダンデザインの名匠 ポール・ケアホルム展 時代を超えたミニマリズム」を開催中だ。本展は20世紀デンマークを代表する家具デザイナーのひとりとして知られるケアホルムの主要作品を網羅する、日本の美術館では初の本格的な展覧会となる。
ポール・ケアホルムは1929年デンマーク北部オイスターヴロ生まれ。コペンハーゲン美術工芸学校でハンス・J・ウェグナー、ヨーン・ウッツォン、アイナ・ラーセンらに師事した彼は、在学中にウェグナーの事務所に勤務。卒業後はフリッツ・ハンセン社に就職するもほどなくして独立、1955年より家具メーカーのアイヴィン・コル・クリステンセン社との協働をスタートさせた。また、ケアホルムは家具デザイナーとして活躍する一方で、デンマーク王立芸術アカデミーで教鞭を執っていた。
ケアホルムはデンマークの木工の伝統に則りつつも、スチールに代表される、硬質で工業的な素材にも早くから強い関心を寄せていた。彼はそれらの素材の特性を生かしたシャープで無駄のないデザインを追求。それまでのデンマークの家具デザインにはなかった、厳格で空間に程よい緊張感をもたらす、ミニマルでクリーンなフォルムを持つ普遍的な作品を生み出していった。
本展では長年にわたって椅子研究とコレクションを続けてきた、東海大学名誉教授の織田憲嗣のコレクションを中心に、ケアホルムの主要作品を展示。彼が1980年に51歳の若さで亡くなるまでに製作した家具の代表作の中でも特に重要なものを網羅している。
フリッツ・ハンセンから現行品が出ている「PK 22」や「PK 24」などの代表作のオリジナルはもとより、クリス・ソーレンセンとの協働によりデザインされたが、1953年にわずか25脚ほどしか生産されなかった「アルミニウムチェア」、王立アカデミーの建築学部のためにデザインされ、50〜65台製作された図面用キャビネット「アカデミーキャビネット」、1962年にごくわずか製作されたがすぐに廃版となった、幻の名作といわれる籐張りのチェア「PK 12」など、見どころはいっぱいだ。
会場構成は、北海道東海大学に在学中、織田の講義を受講していたという建築家の田根剛が担当。空間の中をそれぞれの作品の構造やディテールに焦点を当てるような展示方法で、ケアホルムの世界に没入できる。展示空間内には織田の解説を音声で流している箇所もあるので、ケアホルムへの理解がより深まるはずだ。
なお、一番奥のルオー・ギャラリーでは、会期中、本展出品作品の現行品の椅子に実際に座って、パナソニック汐留美術館が所有するルオーの名画をじっくり鑑賞できる。ぜひこちらも堪能してほしい。
「織田コレクション 北欧モダンデザインの名匠 ポール・ケアホルム展 時代を超えたミニマリズム」
会期:〜2024年9月16日(月・祝)
会場:パナソニック汐留美術館(東京都港区東新橋1-5-1 パナソニック東京汐留ビル4階)
開館時間:10:00〜18:00(入館は17:30まで) ※7月5日(金)、8月2日(金)、9月6日(金)、13日(金)、14日(土)は夜間開館を実施(〜20:00/入館は19:30まで)/7月20日(土)以降の土曜・日曜・祝日は日時指定予約制(美術館のウェブサイトにて7月8日(月)10:00より予約受付開始)
休館日:水曜(ただし9月11日は開館)、8月13日(火)~16日(金)
入館料:一般 ¥1,200/ 高校・大学生 ¥700 /65歳以上 ¥1,100 /中学生以下無料 ※障がい者手帳提示の本人及び付添者1名まで無料
問い合わせ:050-5541-8600(ハローダイヤル)
https://panasonic.co.jp/ew/museum/