装うことに潜む、人間の内なる欲望とは。「LOVE ファッション─私を着がえるとき」、東京オペラシティ アートギャラリーで開催中

東京・初台の東京オペラシティ アートギャラリーでは現在、「LOVE ファッション─私を着がえるとき」展を開催中。京都服飾文化研究財団(KCI)が所蔵する衣装コレクションを、人間の根源的な欲望を照射するアート作品とともに展示。ファッションとの関わりに見られる多様な「LOVE」のかたちについて考察する。

東京・初台の東京オペラシティ アートギャラリーでは現在、2025年6月22日(日)までの会期で、「LOVE ファッション─私を着がえるとき」展を開催中。京都服飾文化研究財団(KCI)が所蔵する貴重な衣装コレクションより選ばれた、18世紀から現代までのさまざまな衣服74点と、装飾品15点とアート作品約40点が展示されている。

東京・初台の東京オペラシティ アートギャラリーでは現在、「LOVE ファッション─私を着がえるとき」展を開催中。京都服飾文化研究財団(KCI)が所蔵する衣装コレクションを、人間の根源的な欲望を照射するアート作品とともに展示。ファッションとの関わりに見られる多様な「LOVE」のかたちについて考察する。

東京・初台の東京オペラシティ アートギャラリーでは現在、2025年6月22日(日)までの会期で、「LOVE ファッション─私を着がえるとき」展を開催中。京都服飾文化研究財団(KCI)が所蔵する貴重な衣装コレクションより選ばれた、18世紀から現代までのさまざまな衣服74点と、装飾品15点とアート作品約40点が展示されている。

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「自然にかえりたい」の展示。一番奥の油彩作品は横山奈美《LOVE》(2018)。 photo: 髙橋健治

本展は、人間の普遍的な営みのひとつである“服を着ること”と、装いに潜む私たちの内なる欲望に注目したもの。「自然にかえりたい」「きれいになりたい」「ありのままでいたい」「自由になりたい」「我を忘れたい」という5章立てで、着る人のさまざまな情熱や願望=「LOVE」を受け止める存在としてのファッションについて考察している。

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「自然にかえりたい」の一部。ケースの中は小谷元彦の《ダブル・エッジド・オヴ・ソウト(ドレス2)》(1997)。 photo: 髙橋健治

「自然にかえりたい」では、人類最初の衣服が自然界からもたらされたことに着目し、人類の歴史の各時代に現れた動物素材や植物柄のファッションを展示。毛皮や鳥の羽根などが使われた服や帽子や、毛皮不使用や環境保護を標榜するエコファーのコートから、人間の毛髪を素材とした小谷元彦の作品まで展示。今日においても我々が持ち続ける、自然に対する憧れや敬愛、身にまといたいという願望を再認識させられる。

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「きれいになりたい」の展示。クリストバル・バレンシアガやクリスチャン・ディオールらによるクリエイションが並ぶ。 photo: 髙橋健治

続く「きれいになりたい」では、時に偏執的ともいえる造形への欲望を伴って衣服の流行を作り上げてきた、我々の美への憧れや挫折に注目。19世紀の身体美の要を担ったコルセットや、クリストバル・バレンシアガによるドレスをはじめとした20世紀中葉のオートクチュール作品から、ヨウジヤマモトやジル サンダーなどの彫刻的な現代ファッションまでを紹介する。「変わらないはずの内面と簡単に変わる外見」というテーマで制作された、澤田知子が400変化するデビュー作《ID400》(1998年)も。

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「ありのままでいたい」の展示。奥に並んでいるのは松川朋奈の作品。 photo: 髙橋健治

「ありのままでいたい」では1990年代以降にプラダやヘルムート ラングが牽引した、自然体のリアルな体を主役にするミニマルなデザインの服や、いわゆる「下着ファッション」を中心に展示。身近な友人との日常を切り取ったヴォルフガング・ティルマンスの写真や、現代社会を生きる女性のリアルを描写した松川朋奈の絵画の数々が、そのリアルな願望を浮かび上がらせている。

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「自由になりたい」で見られる『オーランドー』三部作。 photo: 髙橋健治

「自由になりたい」では300年の時の中で性や身分を越境する主人公の変身譚、ヴァージニア・ウルフ『オーランドー』(1928年)に触発された、コム デ ギャルソン2020年春夏コレクション、コム デ ギャルソン・オム プリュス2020年春夏コレクション、川久保玲が衣装デザインを担当したウィーン国立歌劇場でのオペラ作品《Orlando》(2019年)の、『オーランドー』三部作を一挙紹介。

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「我を忘れたい」にはトモ コイズミやソマルタなどによる、カラフルで刺激溢れる作品が並ぶ。 photo: 髙橋健治

そして最終章「我を忘れたい」では、服を着ることの一瞬のときめきや楽しさを伝えてくれるような作品の数々を紹介。ここではトモ コイズミによるフリルとリボンを用いたドレスなどとともに、AKI INOMATAの「やど」を着がえるヤドカリの作品を展示し、強く魅了されたはずの服が次の瞬間には色褪せて見え、また別の新しい服を求める、人間の際限ない欲望を炙り出す。

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「きれいになりたい」に展示されている、コム デ ギャルソンの1997年春夏コレクション「Body Meets Dress, Dress Meets Body」のドレスたち。 photo: 髙橋健治

KCIの貴重なコレクションのひとつひとつに息を呑みつつ、それらと美術作品の両方から、私たちが服を着ることの意味について改めて考えさせられる、これまでにない内容の展覧会。それぞれの章に合わせて選ばれた、さまざまな文学作品からの引用もお見逃しなく!

「LOVE ファッション─私を着がえるとき」
会期:〜2025年6月22日(日)
会場:東京オペラシティ アートギャラリー(東京都新宿区西新宿3-20-2 東京オペラシティタワー3F)
開館時間:11:00〜19:00(入場は18:30まで)
休館日:月曜、5月7日(水)
入場料:一般  ¥1,600、大・高校生 ¥1,000、中学生以下無料 ※障害者手帳等持参の方および付添1名は無料/無料同時開催「愛について 収蔵品展 083 寺田コレクションより」、「project N 98 楊博」の入場料を含む
問い合わせ:050-5541-8600(ハローダイヤル)
https://www.operacity.jp/ag/exh285/