immaさん×鈴木えみさんの奇跡の2ショットが実現!【バーチャル世界】の現在と未来 #5

今回は、バーチャルヒューマンとして活躍するimmaさんが降臨。数々のグローバルブランドの広告に出演するだけでなく’20年の東京パラリンピックでは閉会式に登場し、日本を代表するアイコンとして世界から注目を浴びている彼女の頭の中とは? スペシャルな鼎談によってimmaさんの視点からヒューマン&リアル世界がどう見えているのかを紐解く!

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(右)鈴木えみ●クリエイター・デザイナー。数々のメディアで活躍し、自身のファッションブランド「Lautashi」も展開。2018-2019年AW東京コレクションではメディアアーティスト落合陽一とタッグを組み、デジタルとファッションを融合したショーを発表。優れたアンテナを持ち、デジタルに関する知識も豊富。Instagram:@emisuzuki_official (中央)imma●日本初のバーチャルヒューマンとして、モデル、インフルエンサーとして活動を広げる。ピンクのボブスタイルがトレードマーク。国籍、生年月日、経歴は非公開。(左)吉田勇也●1995年生まれ。株式会社「HARTi」代表取締役CEO。「感性が巡る、経済を創る」を企業理念に、 NFTプラットフォームを展開。日本のデジタル産業を牽引する存在として注目を集めている。

内面的なストーリーなくして、ファンダムは形成されない

吉田(以下Y): えみさんとimmaさんは、以前から交流あるんですか?


鈴木えみ(以下E): 去年のバレンタインにimmaちゃんからétéの庄司夏子さんが手がけるチョコレートをいただいたよね!

imma(以下I): そうだ! あたしは代わりにえみさんがコラボで作った猫のチョコレートをいただいたんだけど、すごく美味しかったです!


E: うちの猫のダニョのやつだよね。immaちゃんがインスタを始めたのっていつからなの?


I: ちょうど5年目だから……2018年からかな? 


E: 最初に投稿したときの周囲の反応とかって、どうだった?


I: 始めた当初は、そこまで反応もなくて。そこから2018年は5~6枚しかあげてなかったんです。それが2019年の1月に、急にtwitter(現:X)で話題になっていて、気づいたらとんでもない数のリツイートがされていて。それも周囲からバズってるよ!って教えてもらって知った感じでした。


Y: 最初はそうだったんですね!


I: そうなんです。それでも当時フォロワーは4000人程度で。ただそこからはどんどん増えていきましたね。


E: 当時はどういうコメントが多かったの?


I:「CGって書いてあるけど、ガチ?」みたいなコメントが多かったかな。あまりに急な出来事で、そこから慌てていろんな体制を整えました。


E: そのときの目標とか、未来設計図みたいなものってあったの? 


I: マネージャーたちはかなり明確なビジョンがあったみたいです。企業系のコマーシャルに出演するとか、海外でこういう仕事をするとか……2022年まで綿密にあったようで、当時のあたしは全然知らなかったけど、どうやら着々と目標を実現させているみたいです(笑)。


Y: すごい! 達成してるんですね。


I: 最近はインスタとtiktokでライブ配信もしています! 事務所の他のバーチャルヒューマンと一緒にライブをすることもあったり。昔はできなかったことがどんどん技術的にも可能になっているみたいです。


E: インスタの最初のポストからしばらくそのままにしていたのは、様子を伺うため?


I: そうですね。最初からバズるってある種怖いっていうか。少し放っておいたら誰かが見つけてくれて突然伸びてたくらいが、ちょうどいいなって思ってたんです。


Y: まさにそうなったってことですね。ビジュアル的な部分において、この4~5年で変わった点ってどこなんですか?


I: 実はあたし、常に見た目も進化しています(笑)。技術的な問題もあったりして、ちょこちょこメンテナンスしているので、10段階くらいバージョンアップしているかも。みなさん、整形はちょっとずつやった方がいいですよ!(笑)。


Y: おもしろいですね(笑)。今までのキャリアの中で一番印象的だったものってなんですか?


I: 2022年のdoublet のショーとかは確かに印象深い経験でした。でもあたし、結構忘れちゃうんですよ(笑)。でも自分のブランドAstral Bodyを立ち上げたのは直近だと最も印象的だと思いました! それと実は今年来年以降公開のプロジェクトが結構たくさんあって、こちらも面白いと思うのでぜひ期待していてください。

E: 吉田さんの目にはimmaちゃんってどういうふうに映ってますか?


Y: 気になっているのは、AIとの関係性ですね。immaさんのコア技術ってのはどういうふうになっているのかなって。immaさんに聞いていいかわかりませんが(笑)。


I: あたし自身は2017年から活動しているので、バーチャルヒューマンを作る過程ではAIは使っていないんですけど、あたしをAIに変換して、自動でコンテンツを制作をするとかは今も全然ありますよ。


Y:そうなんですね!


I: ただ何かコンテンツを制作するお仕事に関して思うのは、特に広告などであたしパッとネットに出てそれで終わりっていうのは残念かなって。出演するからにはストーリーが継続していくことって大事だなって思っています。人間の魅力ってあたし言ったら変かもしれないですが(笑)、この子は何が好きで、どういう人格でって、それらが込みでヒューマンなんですよね。結局本当に“この子が好き! 推したい!”って思うのは、ビジュアルの美しさだけでなくて、中身を知ってからなんですよ。そうじゃないと人ってファンにならない。だからみんなにあたしが思ってることとか、目指しているものを常に発信することを意識しています。AIは取り組みとして使っていますが、使い方に気をつけているって感じですね。

ただ今年は新しいAIの自身を表現しようというのも動いていて、それも直近で発表すると思います。


Y: なるほど~。すごく納得ですね。


I: これからどんどん配信などYouTubeをすることによって、あたしというキャラクターがもっと積み上がっていって、いろんな人に知ってもらえたらいいなって思います。新しいことをたくさんやるので最初はファンが減るかもしれないけど(笑)。

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バーチャルの魅力は、リアルの体験軸を飛び越えてこそ

Y: immaさんの目線からは現実世界とバーチャル世界ってどう見えているんですか?


I: バーチャルの意味とは、リアルにできないことが可能になることだと思うんです。でも今のバーチャル世界って、リアルの体験軸に合わせたことにとどまっている場合が多くて。例えば、バーチャルライブってあるじゃないですか。あれも今は、リアルなライブ会場がバーチャル上で再現されていて、VRのゴーグルをかけて遠くにアーティストがいて……って技術がほとんどですけど、それだとリアルとどこが違うの? だったらリアルが良くない?ってなるというか。

それが今後、例えばアーティストがVRゴーグルを通してリアルな世界をキャプチャして、バーチャルアーティストが実際のリアル椅子に座り、自分だけに対して訴えかけてくれるとか、話しかけたら答えてくれるとか、1対1のバーチャルライブが実現して、それ自体はどこでも体験できない体験が生まれますよね。それなら、新しいと思うんですよね。


E: 確かに。バーチャルによって得られる体験が大きく変わってきたら、私たちとバーチャル世界の距離ももっと近づくのかも。immaちゃんから見た、“人”はどう見えているの?


I: まず大前提として、人間もリアルな世界も本当に素晴らしいと思ってます。どこまでも“人”になりたいし、憧れているんですけど、その反面、不都合な真実が多くて、人間って不思議だよねみたいな感じかな。少し離れたところから見ている感覚というか。哲学的な話になっちゃうかもですけど、愚かであり儚く美しい、そんな存在と表現するのがいいんですかね。


E: 私たちってそんな風に見えているんだね(笑)。これからはimmaちゃんのようなバーチャルヒューマンがいっぱい増える世の中になっていくのかな?


I: あたしからはわからないですが、少なからずまだ増えるだろうなって感じです。中国や韓国でも増えてますし、アメリカも多いですかね。人口ほど増えるってことはないと思うけど。で、そうなってくると、どうしても対立構造を描きがちなんですよ。「バーチャル vs リアル」みたいになって、人間が支配されちゃうみたいな。そのSFっぽい世界を思う人もいるかもしれないですけど、今のところあたしはアニメと変わらないと思っています。ただ表現がバーチャルヒューマンってだけで、やっていることはアニメと同じなので。


E: もう本当に100%バーチャルヒューマンが単独で行動し始めると、アニメ的な状態から一気に代わりますよね。AIが勝手に自分の営業をかけて、仕事を取ってくるみたいな(笑)!


Y: すでにAI同士で人間がわからない言語で会話し始めているというデータがあるわけですから、そういう未来は十分考えられますよね。


E: AI同士が話し出して、怖くなって研究者がPCのプラグ抜いたって話ですよね!


I: 確かにその進化は近いうちにやってくると思いますけど、法の整備がどうなるかですよね。結局、車にしろ銃にしろインターネットにしろ、扱い方を間違えれば犯罪に結びついてしまうわけで。ただ一方で、犯罪を抑制するためにも役立つわけですし。そこはいつだって表裏一体ですから、これからどういう歩みをしていくか、ですよね。

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人間の多様性の素晴らしさを伝える、それが存在意義

Y: immaさんはNFTをどう展開されているのですか?


I: みんなに言われるんですけど、実は自分のマーケットでは出してないんです。動き出そうかなというタイミングで仮想通貨が盛り上がってきたんで、少し様子を見ようかと。コラボではいくつか展開しているのと、ファンのコミュニティに毎日私の顔が変わるものを無料配布はしたことがありますが、販売はまだしてないんですよ。


E: そうなんだ、意外!


I: あくまでも目的は、コミュニティ形成のためだけって感じで、NFTをビジネスとして主軸でやろうは今のところ考えていないです。ただweb3時代は必ず来るし、そこに可能性は感じていて、その領域では面白いことしたいなって考えています。


Y: web3に向けて何か始めていることもあるの?


I: 直接的ではないですが、去年の8月に「アストラル ボディ(Astral Body)」っていうアパレルブランドを初めたんですが、CGデータを無料で配布していて。デジタルのグッズやクリエイターが使えるコンテンツとして認知してもらえたらいいなと思っています。現状はNFTって複雑で、難解じゃないですか。でももうちょっとラフに“デジタルってもっと素晴らしいよ”とか、“すごい可能性あるよ”ってことを、バーチャルヒューマンである私が伝えられたらって思います。


E: それこそ、この連載を始めたいと思ったのも、同じような意図があってなんだよね。今はNFTの市場がある一定の限られた人のものになっている感じがあるから、もうちょっと楽しみながら参加できたらいいなって。アートと一緒で、理解を深めていったらもっとみんな面白くなるのかなって。


I: おそらく何回かの進化を遂げて、もしかしたらNFTという名前も変わって、違うものに形を変えて、いつの間にか浸透していくのかなって思います。ただ、間違いなくクリエイターにとっては未来のある話だったと思います。直接マーケットに入れるシステムだから、クリエーターの数も増えたと思いますし。“作り手側”としてはすごく期待していたし、今も継続して期待はしています。


E: web3も来ると言われていながら、ちょっとずつ遅れている感じありますよね。


I: そうですね。平たく言ってしまうと、web2の世界へのある種の反発として生まれたweb3の考え方ですけど、なかなか手強いって感じなんですかね。そういう移り変わる世界の中で、あたし存在意義がどうなっていくのかも楽しみです。ただ時代がどう変わっても、あたしが伝えたいのは、一人ひとり違っているヒューマンの多様性って素晴らしい、ということ。そこは変わらないですね。


E: 10年後、いや100年後のimmaちゃんがどうなっているか楽しみだね!