写真家・石川直樹さんの大規模個展が開催に。新刊3冊も同時刊行!

ヒマラヤの高所やポリネシア、北極圏――。作品を通して世界の様々な在りように触れられる3冊が同時刊行

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石川県金沢市にあるギャラリー、SLANTから発行されているヒマラヤシリーズの6冊目として新たに発売される『Ama Dablam』。他『Lhotse』、『Qomolangma』、『Makalu』、『Manaslu』、『K2』がある。(SLANT/3,000円・1月11日発売) <H280mm×W300mm>  全48頁

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(右)カバーを取って広げるとポスターになる仕掛けが。『THE HIMALAYAS』(TOO MUCH MAGAZINE/4,000円・1月11日より700部限定発売)<193mm×270mm> 全272頁 (左)約20年にわたって石川さんが自らの足で旅をしてきた世界が1冊に。『この星の光の地図を写す』(リトルモア/5,500円・1月11日東京オペラシティ アートギャラリー先行発売、29日より全国発売)<210mm×297mm>全368頁

── 個展「この星の光の地図を写す」の東京での開催にあわせて刊行される3冊について、それぞれの見どころを教えてください。

 石川さん(以下敬称略):『この星の光の地図を写す』は、展覧会のカタログ的な意味もある大冊の写真集になります。 2016年12月に水戸芸術館ではじまり全国を巡回してきた展示ですが、ようやく今まとまりました。20年間の旅の軌跡を振り返る写真集なので、ぜひ手に取ってほしいです。武田砂鉄さんや藤田貴大さん(マームとジプシー)、黒河内真衣子さん(Mame Kurogouchiデザイナー)、も寄稿してくれていて、読み物としても面白いです。

THE HIMALAYAS』はこれまでのヒマラヤ遠征の記録をまとめた総集編的な本。これだけ細かくそれぞれの遠征についてまとめた本は今までありませんでした。海外からの反響が特に大きいですね。全編英語ですが、日本語訳の冊子もついています。カバーはポスターにもなる仕様にしていて、永久保存版です。

そして写真集『Ama Dablam』は、今まで冊連続で刊行してきたヒマラヤシリーズの最新作で6冊目の写真集になります。2013年と2018年の2回にわたって登ったアマダブラム遠征で撮影した写真をまとめました。カトマンズから山の頂きまで、遠征を追体験できます。ヒマラヤで最も美しいと言われる山をあらゆる角度から見てください。

 

── なぜ同日に冊も刊行されたのですか?

 石川:初台の展覧会のオープニングに合わせられたら、最高だなあと思って。

 

── 昨年登頂されたアマダブラム(ヒマラヤ山脈にある標高6,856mの山)は、「女神の首飾り」という意味があると聞きました。名前だけ聞くと美しく優雅な山の印象を受けますが、実際に登頂されてどうでしたか?

 石川:山のシルエット通り、急峻でテクニックを要する山でした。難しかったけど、登れてよかったです。

 

── 登頂時に印象的だったエピソードはありますか?

 石川:下山時、ノドが乾きすぎて、最後は「コーラ、フルーツ、コーラ、フルーツ……」と呟きながら下っていました。ベースキャンプで飲んだコーラが最高でしたね。

 

── 今後もSLANTからのシリーズに新刊が加わる予定はありますか?

 石川:ヒマラヤの山に登頂するたびに増えていくと思います。アマダブラムに関してはSLANTと一緒に新作動画も作りまして、初台のオープニング前後に見せられる予定です。

 

── THE HIMALAYAS』は過去に出されていたものの再編集版ということですが、どのような視点で再編集をしたのですか? またなぜこのタイミングで再編集版を出されることにしたのでしょうか?

 石川:前号はとても人気があってすぐに品切れになってしまったからです。前号は、2015年のK2(*注:カラコルム山脈にある山。エベレストに次いで世界第2位の高さを誇る)の遠征までをまとめたものでしたが、その後のカンチェンジュンガ(*注:エベレスト、K2に次いで世界第3位、標高8,586mの山)への下見や2018年のアマダブラム遠征の章を増やしており、今回は本当に読みごたえがあるものになっています。

2016年から全国巡回していた大規模個展も東京でフィナーレ

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「K2」(2015)

── 個展『この星の光の地図を写す』は、2016年の水戸芸術館に始まって新潟、千葉、北九州など年かけて各都市を巡回してきました。都市ごとに展示内容を少しずつ変えているそうなのですが、東京ならではのコンテンツはありますか?

 石川:東京ではかなり大きな作品が数点増えたり、ポリネシアの島々を撮影したシリーズも作品が増えています。ザ・ノース・フェイスのテント内で映像を見る場所も設置したりして、より身体で体感できるような展示になっています。

 

── ご自身の出身地でもある東京・初台で大規模個展のフィナーレを迎えるということに思い入れはありますか?

 石川:すべてを出し切ったと思うので、ぜひ観に来てほしいです。

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「ARCHIPELAGO」(2009)

原動力は世界を身体で知りたいという思い

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「NEW DIMENSION」(2007)

── なぜ世界中を旅することに惹きつけられ、さらにはずっと続けられているんでしょうか?

 石川:好奇心が強いんでしょうかね。世界を身体で知りたいという思いが強いんです。

  

── 石川さんのように世界中を移動することで世界を見つめる人もいれば、ほとんど一生を同じ場所で同じ風景を見つめながら同じ日常を過ごす人もいます。それぞれの視点にはどのような違いがあるんでしょうか?

  石川:違いはないですね。そこで気持ちを揺さぶられる何かに出会えるかどうかが大切です。読書体験などは日常において、旅と同じような出会いを得られると思います。

 

── 盛りだくさんな内容で幕を開けた2019年ですが、今年の目標は何ですか?

 石川:悔いなく生きることですかね。

 

「K2」(2015)
「K2」(2015)

1月12日より写真家・石川直樹さんの大規模個展「この星の光の地図を写す」が東京・初台にある東京オペラシティ アートギャラリーにて開催される。さらに前日の11日には写真集『Ama Dablam』(SLANT)、これまでのヒマラヤ遠征をハードカバーの冊にまとめた『THE HIMALAYAS』(TOO MUCH MAGAZINE)、そして個展の図録でもある写真集『この星の光の地図を写す』(リトルモア)がなんと冊同時に刊行。2019年も全力で作品を発表し続ける石川さんに話を聞いた。

PROFILE

石川直樹(いしかわなおき)1977年東京生まれ。写真家。著書に、開高健ノンフィクション賞を受賞した『最後の冒険家』(集英社)やエッセイ『極北へ』(毎日新聞出版)など他多数。現在、47都道府県の名を冠した47冊の写真集刊行プロジェクト『日本列島』シリーズ(SUPER LABO×BEAMS) も順次進行中。最新刊は6、7冊目となる石川県と山口県の写真集。こちらも実は11日に発売!


■インフォメーション
『石川直樹 この星の光の地図を写す』
会期: 201912日[土]~24日[日]
会場: 東京オペラシティ アートギャラリー
時間: 11:00 ~ 19:00(金・土は20:00まで/最終入場は閉館の30分前まで)
休館日: 月曜日(祝日の場合は翌火曜日)、210日(日・全館休館日)
入場料: 一般1,200円/大・高生800円/中学生以下無料

* 同時開催「収蔵品展065木版画の魅力」、「project N 74 大和美緒」の入場料を含む。

[関連イベント]
開催記念対談
日時:日[土]14:00 15:30
出演: 森山大道×石川直樹
会場: 東京オペラシティビル階会議室
定員: 160名(全席自由)
参加費:無料(展覧会の入場は別料金)、要整理券

* 開催当日11:00よりアートギャラリー入口にて整理券を配布。整理券はひとり1枚のみ。13:40 までに会場(東京オペラシティビル7 階会議室)前へ。

 

アーティストトーク
日時:日[日]15:30 16:30
日[土]15:30 16:30
出演: 石川直樹
会場: 東京オペラシティ アートギャラリー(展示室内)

* 申込不要(参加には当日入場券が必要です。参加状況により入場制限する場合があり)

 

SLANT
http://slant.jp/

TOO MUCH MAGAZINE
https://www.toomuchmagazine.com/

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