Hello Again, Hello Kitty!

45周年 あなたとわたしをつなぐもの
それは、初めて手にした鉛筆だったかもしれないし、ハンカチや、ポーチだったかもしれない。幼い頃からそばにいて、一緒に大人になった。ハローキティとのささやかだけれど、幸福な日々。誕生から45年。もう一度あの頃のきらめきを思い出す、スペシャルなギフトリレーに参加してみませんか?

©'76,'19 SANRIO 著作 ㈱サンリオ

大切な人とのきずなをつなぐ「HELLO AGAIN」ギフトリレー

限定10,000体のキティがあなたと大切な人との懸け橋に! キティとの素敵な思い出エピソードを応募サイトに送り当選すると、思い出を共有したい相手を指名できるキャンペーン。その宛先に、あなたのメッセージとともに、写真のオリジナルのぬいぐるみが事務局から送られる。受け取った人が次に新しいぬいぐるみを誰かに贈る権利を得るというスペシャルリレー企画だ。 応募期間は4月30日まで。詳しくはサイトをチェック!

初めてキティに出会った日—— The day I met Hello Kitty

甲斐みのりさん /文筆家


 かつてサンリオが贈り物のための本として発行していた「ギフトブックシリーズ」の一冊で、1978年発行の『キティのABC BOOK』は、キティと同年代の私が40年の年月をともに時を刻んできた宝物。寡黙な祖父に連れられて出かけたお祭りの途中に、買ってもらった記憶が残る。ページ数は50ページ。文庫本より少しだけ背が高いサイズで一見きゃしゃに見えるけれど、手に持つとハードカバーのしっかりとした作り。それなりに年季が入っているものの、幼少時代から私がどんなに大切に扱ってきたかがうかがえるほど、傷みもなく状態もいい。ページをめくると、簡単な英単語に合わせたキティちゃんや物や景色が、くっきりとした線と色で描かれている。その一つひとつが、眺めるうちに頰が紅潮するほど、たまらなくチャーミング。基本のアルファベット紹介では、Aは「apple」、Cは「cake」、Kは「Kitty」、Rは「ribbon」。数字が並ぶページでは、「eleven ice-cream cones」というふうに11個のアイスクリームが描かれ、モチーフの妙にも心がときめく。子ども時代の私は、絵本としてひたすら絵と文字を眺めることもあれば、学習という意識で英単語を覚えることもあった。さらにはページごと自分で物語を創作したり、写し絵用の紙を重ねて鉛筆でなぞって遊んだこともある。そうして今も、その本とのつき合いは途切れず続く。忙しく過ごす日々の中、ときどき空洞にぽっかり取り残されたような心もとなさを覚えることがあって、そんなとき長年自分を支えるキティの本を開くと、しぼんでいた気持ちがふっくら生気を取り戻す。本が好きで、キャラクターグッズや文房具や小さな雑貨が好きで、夢のような話を創造するのが好きだったあの日の自分が、大人になった自分の中で立ち上がり、丸まった背中をすくっと伸ばしてくれる。


 キティの本をきっかけに、私はどっぷりサンリオのファンになった。『いちご新聞』を愛読し、田園調布に当時あったサンリオショップ「いちごのお家」は憧れの地。ひとつのアイドルグループを応援するように、サンリオのキャラクターすべてを愛していたけれど、その中心は不動でキティ。誕生日や新学期や学校行事の前に、田舎町にひとつだけあったサンリオグッズの販売店で、文房具、ハンカチや巾着、弁当箱などを買ってもらった日は、うれしくて枕元に並べて眠った。小学校中学年の文集では将来の夢に「サンリオでキャラクターグッズを作る人になる」と書いたほどだ。


 20代、初めての海外でフランスを訪れることになり、旅のためにサンリオショップで財布を新調。街中での気軽な買いもの用に、昔愛用していたのと同じ「ハローキティ ビニールウォレット」を持って旅に出た。パリのセレクトショップを巡り、服や雑貨を買い求めるのが旅の目的のひとつながら、言葉の壁が立ちはだかり、緊張で顔がこわばったまま。そんなとき、同年代の女性が働く店で買いものをしようとバッグから財布を出すと、レジ係が感嘆の声をあげ、店中のスタッフを呼び寄せた。なにごとかと思いきや、私が手に持つキティ財布を指さし、「Kawaii!」とピンク色の声が飛び交う。フランスの女性たちが「カワイイ」という日本語を話す様子に驚くやらうれしいやら。カードフォルダに入っていたキティのカードをどうぞと差し出すと、満面の笑みで「Merci beaucoup」と感謝され、その後はリラックスして花の都を楽しんで歩いた。以来、ハローキティ ビニールウォレットは海外旅行に欠かせない旅のお守りだ。
 本も財布も記憶の中でも、キティはずっと私のそばにいてくれる。

Minori Kai
かい みのり●1976年生まれ。静岡県出身。旅、散歩、お菓子、手土産、建築などを題材に、独自の感性で書籍や雑誌に執筆。『クラシックホテル案内』『甲斐みのりの旅のしおり』『地元パン手帖』『歩いて、食べる 東京のおいしい名建築さんぽ』など著書多数。トークショーも開催。

Hello! YouTuberのキティ

誕生から45周年を迎えたハローキティ。これまで「やりたいことは全部やる!」というポリシーのもと、いろいろなことにチャレンジしてきたけれど、時には「仕事を選ばない」なんていう声も。でもそれは、「いつも自分らしくいたい」というキティ自らの意志で選んできた道でした。そして今回は、「世界中の人たちにも、自分らしく生きてほしい」という思いを届けるために、YouTuberにトライ! 自らの言葉で発信中です。ハローキティの公式YouTubeチャンネル「HELLO KITTY CHANNEL」をチェックして。いまだかつて見たことのないキティに会えるかも⁉

SOURCE:SPUR 2019年6月号「Hello Again, Hello Kitty!」
photography: Sodai Yokoyama styling: Arisa Tabata