ファブ5のタン・フランスの自伝が登場! ファッションで人生を変える達人の前向きなメッセージをキャッチ

2018年2月にネットフリックスでスタートして以来、『クィア・アイ 外見も中身もステキに改造』の人気は高まるばかり。フード・ワイン担当のアントニ・ポロウスキ、美容担当のジョナサン・ヴァン・ネス、カルチャー担当のカラモ・ブラウン、インテリア担当のボビー・バーク、そしてファッション担当のタン・フランス、この5人の男性、通称ファブ5が性別や人種、老若男女関係なく、生活スタイルや人生に困難を抱える人をポジティブに変身させるこの番組は、エミー賞で4冠を獲得。日本でもすっかりおなじみとなった。

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ファブ5の5人。左からカラモ、アントニ、ジョナサン、ボビー、そしてタン。他のメンバーの背が高いので小柄に見られるが、「僕の身長は175センチで、英米の男性では平均的な高さ。ほんとうは小柄な方じゃない」(『僕は僕のままで』) photo:Bravo / Getty Images

この11月1日から、5人が来日して4人の男女を変身させた『クィア・アイ in Japan!』も配信スタートし、さらに人気を博している。そんなファブ5で活躍するタン・フランスによる自伝が『僕は僕のままで』。パキスタン移民3世としてイギリス・サウスヨークシャー州ドンカスターに生まれたタンが、自らの生い立ちから、さまざまな仕事を転々とした時期のこと、最愛の夫ロブとの出会いやその暮らし、オーディションを経てファブ5の一員になった話、セレブリティになってからの戸惑いと自信などを赤裸々に書いた、読み応えたっぷりの一冊だ。

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インドのデザイナー、ヴァルン・バールのクルタ(パンジャブ地方で着られている伝統的な上着)で正装したタン。ストリート・スタイルからシックな英国スタイル、そして民族衣装まで見事に着こなす。 photo:Matt Winkelmeyer / Getty Images

番組の中でのタンは、エレガントな身のこなしと、温かくも冷静な意見、落ち着きと冒険をバランスよく取り入れた的確なファッション・アドバイスで知られている。でも、この本を読むと、それだけじゃない、決して完璧じゃなく、人間味に溢れたタンの姿が生々しく伝わってくるから楽しい。一方で、パキスタン系である彼がどれほどの差別を受けてきたかについて書かれた章もあり、読んでいて胸が痛くなる。

夢をきちんと形にしたタンの物語からはたくさん学べる部分があるけれど、既に結婚10年以上が経過したロブとの話は特にそう。相手に無理強いすることなく、きちんとリスペクトしながらも、自分も幸せでい続けるためにどうしたらいいか。「仲がいいのは運に恵まれたからじゃない。努力したから。努力はするだけの価値がある」というタンの言葉を信じて、ぜひ実行したいもの。

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『僕は僕のままで』 タン・フランス/著 安達眞弓/訳 ¥2,100/集英社

本編の合間には、彼によるファッションについてのワンポイントアドバイスや、「ファースト・デートを成功させるコツ」などのコラムも。これが面白くて、すぐに使えるアイディアもいっぱい。『クィア・アイ』を未視聴の人はもちろん、熱心なファンも、ぜひこれを読んでから改めてさまざまなエピソードを観直してみて。「自信があれば美しく輝ける」という彼の言葉に嘘がないことや、彼のファッション哲学が一朝一夕のものではないことがわかるはず!

text : Shiyo Yamashita

 

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