編集部員の"妄想"バレンタイン劇場

「大好きなあの人へチョコを渡したい!」と、SPUR編集部の妄想ストーリーがさく裂。
状況も年齢設定も空想だけど、チョコはホンモノ。相手に合わせたセレクトでハートをつかめ!

編集I → ラッパー 鎮座DOPENESS

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チョコから愛のラップが始まるYO!

 2月14日開催されることになった日比谷野音でのバレンタインフェス。そこに敬愛する鎮座ドープネスさんが出演することを知り、私は、ちんさんにチョコを渡すことに決めました。ラッパーの中でも脱力系キャラとして人気のちんさん。とくにその天才的な反射神経から繰り出されるフリースタイルは圧巻で、私にとって、もはや彼はラブを超越した存在。チョコを渡すのも、愛というよりリスペクトの気持ちで渡したい。というか、できれば匿名でチョコを渡したい。1ファンの私の存在なんて知られたくないんです。
 そこで私はニット帽にチェックシャツを着込み、若い男子ファンのフリをして、客席からチョコを投げることにしました。チョコもあえてコンビニで買える定番チョコに。そして、その日、私は観客にまじって、ステージで歌う彼に、ポーンと投げたのです。いつでも余裕のある彼は、パプニングにも動揺することなく、チョコをパッとキャッチ。
「うおーっ、チョコもらっちゃったよー!」と喜びながらもすぐにラップを始めます。♪チョコ、ドコ、ロコ~~♪ 軽快なフロウで韻を踏んだ ハッピーなラップに観客も大喜び。私のチョコをきっかけに新しいラップが生まれるなんて!! ひそかに恍惚感に浸る私でした。

Minimal-Bean to Bar Chocolate-の板チョコレート
カカオ豆から製品になるまでの全工程を管理するビーントゥバー。産地による違いを食べ比べるのも一興。
(右から)FRUITY BERRY-LIKE¥1,296(税込み)、NUTTY RAW-LIKE¥1,188(税込み)、SAVORY HERBAL¥1,080(税込み)/Minimal 富ヶ谷本店(Minimal-Bean to Bar Chocolate-)

編集N → 戦国武将 真田幸村

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タイムマシンで夏の陣のあの日へ

 我が母は、真田幸村ファンが高じて、自費出版で本を出してしまった筋金入りの「歴女」。そんな母に育てられた私は、気がつけばすっかり幸村ファンになっていました。小数で多勢を倒す巧みな戦略はもちろんのこと、死ぬとわかっていながら、そこに飛び込んでいく……そんな滅びの美学に、すっかり魅せられてしまったのです。どうしても彼に会いたい! そして少しでも力になってあげたい!! そんな思いを募らせた私は、ついにタイムマシンで、バックトゥーザフューチャーすることにしました。
 目指すは、夏の陣のあの日。徳川家康をあと一歩まで追い詰めながらも、無念の撤退。最期は、安居神社(大阪市天王寺区)の境内で傷ついた身体を休ませていたところを敵に討たれた……という情報を信じて安居神社を目指してワープです。彼の気力と体力を甦らせるようなスパイシーなチョコを手に。
 果たして彼は……いました!! 境内で自ら傷ついた体で、味方の兵士の手当てをしていたのです。「幸村さん!!」。突然、目の前に現れた、不思議な服装の私を見ても幸村さんは驚きません。そんなことでは驚かないのが彼なのです。「これ、食べてください!!」。いきなり差し出されたチョコの箱を開けると、物珍しそうに眺めながら口に入れる彼。「うまい。これは南蛮のものか?」「そうです。これを食べて、家康の首をとってください!!」そう意気込む私に、彼は静かにうなづくと、チョコの箱をお守りのように懐に入れて戦場へと引き返していきました。
  幸村が勝てば、歴史は変わるかもれない。そうしたら私という存在もなくなってしまうかもしれない。それでもいい……。そう思いながら、私は彼の後ろ姿を見送ったのでした。

ジョンカナヤのキャレ ドゥ ショコラ
さまざまな効能を有する3種のスパイスとショコラが融合したスペシャルアソート。「ローズマリー」「シナモン」「黒胡椒」と、どれも特徴のある大人の口あたり。お酒とのマリアージュを楽しむのもおすすめ。
¥1,000/ジョンカナヤ

編集G → 第52代横綱 北の富士勝昭

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着物の袂にしのばせた獺祭ショコラ

 私がママをやっている門仲のスナック『あそこ』に、勝昭さんがふらっとやってきたのは半年前。もともと大学時代に相撲研究会に入るほどの相撲好きだった私は、もう大感激。しかも着流し姿がとっても粋で、全身からあふれ出る色気に完全にノックアウトされちゃったの。半ば強引に迫って、今ではすっかり恋仲に。今日も1月場所の解説のために、ウチから出かけて行ったところ♪
 でも、あの人、今日が和装DAYだってことを忘れちゃったみたい。もうっ、おっちょこちょいなんだから。私は追っかけ、彼の着物を持って国技館へ行くことにしたんだけど、そこでいいことを思いついたの。そろそろバレンタインデーも近いでしょう? サプライズで、着物の袂にチョコを入れておくっていうのはどうかしら? ちょうど話題の「獺祭チョコ」を買ったばかりで、これなら日本酒好きな勝昭さんにぴったり。
 国技館の控え室で、私の持っていった着物を受け取り、着替え始める彼。そして着物に袖を通したとき、「ん?  なんだ、これ」とプレゼントに気づいてくれたわ。「開けてみて」と私。「獺祭? 酒か?」「やーね。チョコよ」「ほー。そんなのがあるのか」と言いつつ、ぶっきらぼうに一粒頬張る勝昭さん。「うん、これはなかなかうまいな」。
 そっけない返事だけど、彼がほめてくれるなんてめったにないことだから、間違いなく喜んでくれてる証拠。「今晩終わったら、店に寄るから」とぽつりと言って解説席へ向かったの。「愛している」という言葉はなくても、私はそのひとことで十分。今夜、店で待ってます……。

ショコラティエ パレ ド オールの獺祭ショコラ
「獺祭 磨き二割三分」を使用したショコラは、芳醇な"日本酒感"がはっきりと感じられる。お米の香りが際立つビタータイプと、粗塩をアクセントに加えたまろやかなミルクタイプの2種類。
( 6個入り)¥2,300/ショコラティエパレ ド オール 東京店

編集K → スイーパー(『シティーハンター』)冴羽 獠

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©北条司/NSP 1985

14日は喫茶キャッツアイで待ってます

 高校生になった私が、初めてのバイト先に選んだのが近所の喫茶店『喫茶キャッツアイ』。たまたま店先の「店員募集」の張り紙をみつけたのがきっかけだけど、今では放課後が待ち遠しくなるほど、バイトが楽しいんです。オーナーの海坊主さんは、スキンヘッドにサングラスという強面のおじさんだけど、私にはやさしくて紳士的。それによく来るお客さんですごく素敵な人がいて……。
 りょうさんっていう探偵みたいな仕事をしてる人で、背が高くて男前なんです。私のことも「キミ、女子高生!?」「セーラー服だよ、おい!」って鼻血出しそうなくらい喜んじゃって。ふざけたことばっかり言ってるけど、仕事の話になると真剣で、ホントはとても熱い人。まさに私の理想の男性です!
 浮気性だから、恋人の香さんには、「もっこりするな!」って、ハンマーでよく殴られてるけど、本当は、すごく愛し合ってる。そんな二人の関係もとっても素敵。だからバレンタインデーでは、「好きです!」っていう告白はなくて、「憧れてます!」という意思表示で渡すつもり。
 2月14日、いつものようにみんなでわいわい話してて、そろそろ閉店ってときに、「あのこれ、食べてください」って。へんに誤解されるとイヤだから、あえて香さんのいる前で。カモフラージュに海坊主さんにも渡します! りょうさんに渡すのは、彼の好きなバーボンが入った、ちょっと大人のボンボンチョコ。「マジ!?」「超うまい!」と豪快に頬張るりょうさん。「おじさん、その気になっちゃうよ~!」と大はしゃぎしてると、また香さんがハンマーで天誅をくだす。それを見ながら、みんなで大笑い。私もいつかりょうさんみたいな彼氏ができるといいな……。

ショコラティンのショコラアソート
アメリカ・シカゴ発のブランドによるアソートは、きらめくダイヤモンドやサファイアなどの宝石モチーフが芸術的。シャンパンやジンといった洋酒やラベンダーなど、大人好みの通なフレーバーは、一粒ずつ丁寧に味わいたい。
(4個入り)¥5,000/日本橋三越本店(ショコラティン)

SOURCE:SPUR 2017年3月号「編集部員の"妄想"バレンタイン劇場」
illustration:Mayo Akao edit:Hiromi Sato

2019年3月号にもチョコレート記事あります!

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