シアーシャ・ローナン × グレタ・ガーウィグの独占対談@PARIS「わたしたちのシスターフッド!」

前作『レディ・バード』に続き、フェミニズム的解釈も話題の新作『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』で再タッグを組んだシアーシャ・ローナンとグレタ・ガーウィグ監督。プライベートでも大の仲よしのふたりが新作のこと、結婚観など、“姉妹”トークをSPURだけに披露する!

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シアーシャ・ローナン1994年生まれ、アイルランド出身。『つぐない』(’07)でアカデミー賞助演女優賞にノミネート。『ラブリーボーン』(’09)、『ブルックリン』(’15)、『レディ・バード』(’17)などで演技派の地位を確立。若手世代のオピニオン・リーダー的な存在でもある。

グレタ・ガーウィグ1983年生まれ、アメリカ出身。女優として活躍する一方、自伝的物語の『レディ・バード』で単独監督デビューし、アカデミー賞作品賞ほか、5部門でノミネート。ノア・バームバック監督の公私にわたるパートナーでもあり、昨年男児を出産。

自分ならではの視点を込めたかった。たとえば、結婚の描き方

 パリの瀟洒なホテルの一角にある、静かなバーに現れたシアーシャ・ローナンとグレタ・ガーウィグ。朝イチだというのに、顔を合わせた途端、おしゃべりを始めたふたりは、まるで姉妹のよう。5年に及ぶ、公私にわたるつき合いについて話が弾んだ。

シアーシャ) 初めて会ったのは、2015年のトロント国際映画祭だったよね。『20センチュリー・ウーマン』(’16)の準備のために、グレタが赤い髪だったのを覚えている。
グレタ) そうだ! あのときは『マギーズ・プラン-幸せのあとしまつ-』(’15)のプロモーションで行って、ホテルの部屋で『レディ・バード』の脚本を読んでもらったよね。最初から、直感的にウマが合うと感じたよ。たとえば共同作業をするとき、相手が同じようなセンスを持っているとか、世界を同じように見ていると感じられることがあるじゃない? シアーシャとはそんな感じ。意見が合わないということは決してない。とてもまれな関係。
 それに『レディ・バード』のプロモーションで約1年ずっと一緒に行動したから、『ストーリー・オブ・マイライフ』が始まるときにはもう、ふたりのリズムができ上がっていたよね。
 この脚本は『レディ・バード』よりも前に書いていたけれど、その頃は自分で監督できるかどうかもわからなかった。ただキャラクターのことだけを考えて書いていたな。でもシアーシャはセリフを重視してくれるし、俳優として限界がなくどんな役でも演じられるから、何も心配していなかったよ。
 役者に合わせて脚本を変えたりすることは、必要ないと思う。俳優はまず、このキャラクターを演じたいというところから始まるものだし。この脚本を読んだとき、ジョーにとても共感した。彼女は作家として才能にあふれ、自分のやりたいことがわかっていて、家族の支えもある。でも映画の後半になって、自分がとても孤独だと気づく。大胆なのに迷いや疑心もあって、果たしてこれでいいのかと悩んでいる。そんな彼女を表現するのは、とてもやりがいがあった。チャレンジングだったけれど、グレタが監督なら絶対にいいものになるはずだと思っていたよ。
 原作を脚色するときに心がけたのは、過去何度か映像化されてきたなかで、ほかの監督がもたらさなかったものをもたらしたいということ。自分ならではの視点を込めたかった。たとえば結婚の描き方。大抵の映画は、結婚したらそのキャラクターはもうそこで物語が終わってしまう。彼女にとって結婚は終着駅で、それ以上は語られない。でもこの原作の素晴らしいところは、たとえば長女のメグは結婚したあともそのストーリーが語られていること。彼女は愛する人と望む結婚をしたにもかかわらず、実際はお金がなく子育ても大変で、すべては崩壊寸前。原作を大人になって読み直したとき、これこそこの本の面白いところだと思った。
 確かに。

シアーシャ・ローナン × グレタ・ガーウの画像_2

1 作家志望の次女役シアーシャを中心にし、長女にエマ・ワトソン、末のふたりにフローレンス・ピューとエリザ・スカンレン、ジョーに恋する幼なじみのローリー役にティモシー・シャラメと、今もっともノっている若手俳優が揃う
2・5 ジョーに思いを寄せるローリーだが、作家として自立することで頭がいっぱいのジョーは、彼の思いをはねつける
3 まるで姉妹のようなふたりは大の犬好きという点も同じ。愛犬の話をし始めると止まらなくなるとか
4 憧れのニューヨークを初めて訪れたジョーは、思わず長いスカートをたくし上げて疾走。シアーシャにはおてんばぶりもよく似合う

誰かのまねじゃなく、自分なりに真実を生きることが大事

 この映画の姉妹たちは、それぞれに異なる結婚観を持っているけれど、シアーシャは結婚についてどう思う?
 この人だと思える相手がいるなら、結婚はいいことだと思う。パートナーシップというのはいいものでしょう。でも私の知り合いは、結婚してもしなくても、あまり変わらないという考えを持っている人が多いみたい(笑)。
 ただ派手なパーティがしたいからっていう理由で結婚に惹かれる人がいたりね(笑)。でもそれなら結婚式じゃなくてもできそうだけど。
 そういえば知り合いで、何年も長続きしているカップルがいて、秘訣は?と聞いたら、ひとりじゃ離婚したくないから、誰かが離婚するタイミングを待っているって言っていた(笑)。
 この映画を作りながら、結婚というものがどんな形で存続し得るか考えさせられた。結婚とはジャーニーの始まりで終わりじゃない。もしも結婚がエンドだとしたら、そのあとの結婚生活はよくないってことだよね(笑)。
 私ぐらいの年齢の女性たちで、結婚を恐れている人は少なくないと思う。それは結婚がまさに、人生のファイナル・ステップのような先入観があるからじゃないかな。だからもっと自分なりの視点で結婚を考える必要がある。リライトの必要があるよね(笑)。
 誰かのまねじゃなく、自分なりに、真実を生きることが大事だと思う。それがこの作品と、キャラクターたちが訴えるテーマね。

この後ふたりは撮影に移り、話題は愛犬のことからサステイナブルな日常生活にまで広がった。

 プロモーションで旅が続くと、愛犬のウィザードのことがすごく恋しくなる(笑)。私は大の犬派だから。
 私も! 犬って猫よりも人懐っこいじゃない。私の愛犬のフランはキスしようとすると、ちゃんと頰を差し出してくれるんだよ(笑)。
 ウィザードは、前足を私の足に乗せて、じっと見つめるよ。そんなときは、もうどこにも行きたくなくなる(笑)。ところで、最近サステイナブルなことって何か心がけている?
 私は常にマイボトルを持ち歩くようにしている。ドライブのときなんかも。あとは部屋の電気をつけっぱなしにしないとか、歯を磨くときに水を出しっ放しにしない。
 私もマイボトルを持ち歩いている。車は持っていないから、それもエコだね。ニョーヨーカーは人も犬もよく歩くんだよね(笑)!

『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』世界的ベストセラー『若草物語』を、ガーウィグが自ら脚色。次女ジョーを中心に、4人姉妹がそれぞれの生き方をつかみ取っていく姿に、監督のメッセージが込められている。コスチュームやカラフルな映像美など見どころ満載。(初夏公開予定)

スペシャルインタビュー

<キャスト編>

<監督編>

SOURCE:SPUR 2020年4月号「わたしたちのシスターフッド!」
interview & text: Kuriko Sato photography: Masaru Mizushima

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