フランス語のアペリティフ(食前酒)が変化して、「一杯、どう?」というような気分を表す言葉として定着しつつある"アペロ"。「軽い一杯を楽しむための料理なら、酸味やスパイスをきかせつつ、手間をかけずにシンプルなものを。ボリュームもあえて小ぶりにして何皿か並べると気分が盛り上がります。ベランダがなければ、近くの公園でピクニックのアペロでも」。初夏の澄んだ空気は何よりのごちそう。アペロのもたらす幸福をぜひ味わって。
スプリッツァーでアペロ
木漏れ日の下のアペロは、お酒も料理もぐっと軽やかに。「作り置きもしやすく、外でのアペロにおすすめのメニュー」
1.グリーンオリーブのケークサレ
「牛乳の代わりにアーモンドミルクで軽い食感に。紙の型を使うとより手軽です」
材料(17×7.5×6㎝のパウンド型1台分)
薄力粉…250g、ベーキングパウダー…10g、グリーンオリーブ(種抜き)…約80g、くるみ…約50g、粉チーズ…20g、アーモンドミルク(無糖)…300㎖、オリーブ油…大さじ2 、てん菜糖…大さじ1 、塩…小さじ1/4、サワークリーム・ドライブルーベリー…各適宜
作り方
❶薄力粉とベーキングパウダーは合わせてふるい、ボウルに入れる。グリーンオリーブは1個を3等分する。くるみは粗みじんに刻む。
❷アーモンドミルクにオリーブ油、てん菜糖、塩を加えて混ぜ合わせる。
❸①の粉のボウルに粉チーズを加えて混ぜる。②を加えてゴムべらで手早くまとめ、粉気がなくなったら、①のオリーブとくるみを散らして混ぜ合わせる。オーブンを180℃に温める。
❹型に合わせてベーキングシートを敷き、③の生地を詰める。表面を軽くならしてオーブンへ。約40分ほどこんがりと焼き、型からはずして粗熱を取る。カットして、サワークリーム、ドライブルーベリーを添える。
2.きゅうりとズッキーニの浅漬け
ハーブの香る洋風浅漬け。「一日たつと塩味がしっかりついてそれもおいしい」
材料(約750㎖の保存瓶1個分)
きゅうり… 2 本、ズッキーニ(黄)…小さめ1 本、ディル… 3 本、水…800㎖、塩…15g
作り方
❶鍋に水を入れ、煮立ったら塩を入れて混ぜながら煮溶かす。火からおろして粗熱を取る。
❷きゅうりは両端を切り落とし、ピーラーで筋状に皮をむく。長さを4 等分し、さらに縦に2
等分する。
❸ズッキーニは両端を落とし、1 ㎝くらいの輪切りにする。ディルは適当にちぎる。清潔なガラスなどの耐熱容器にきゅうりとズッキーニ、ディルをバランスよく詰める。そこに①の塩水を注ぎ、蓋をして3時間以上おく。
3.トマトとアンチョビソースのサラダ
「トマトは切るだけ。アンチョビやパセリ、松の実のソースをかけて」。ワインが進む!
材料(2人分)
アンチョビ… 4枚、パセリ… 2本、松の実…大さじ山盛り1 、オリーブ油…100㎖、塩…少々、フルーツトマト… 2個、レモン…1/4個
作り方
❶ソースを作る。まな板にアンチョビとパセリの葉をのせ、細かくなるまで包丁でたたく。ボウルに入れ、松の実、オリーブ油と塩を加えてよく混ぜておく。
❷トマトは小さめのナイフでヘタの部分をくり抜き、横に4等分くらいにスライスする。器にトマトを並べ、①のソースを適宜のせる。好みでレモンを搾りかける。
4.シチリアのロゼワインのスプリッツァ-
ルビー色の爽やかなロゼワインを炭酸で割って、より口当たりよくフレッシュに
スプリッツァーは、ワインをトニックウォーターや炭酸水で割ったカクテル。アルコール度数も低く、軽いアペロのおともにぴったり。「少し贅沢だけれど、いいワインで作ると飲みやすくなるだけでなく、味わいも深くてやっぱりおいしい」。今回選んだのはイタリアのロゼワイン、ラモレスカ・ロザート。「酸味のある野菜料理や軽いケークサレによく合います。1杯目は食前酒としてスプリッツァーで、2杯目は料理と合わせてそのままでも」。トニックウォーターは、ナチュラルメイドなフィーバーツリーのもの。
ビールでアペロ
最近は輸入品を中心に、作り手のこだわりが感じられるクラフトビールにも注目が集まっている。「個性に合わせて、料理との相性を楽しんで」
フルーティなホワイトビールと
シードルやフルーツカクテル感覚で飲める白ビールはクリーミーな味つけと相性抜群。
マッシュルームのクリームサラダ
「多めのオリーブオイルが味の決め手。食べる直前にさっと作るのがおいしい」
材料(2人分)
マッシュルーム…約10個、オリーブ油…大さじ2 強、塩…少々、生クリーム…100㎖、レモン汁…小さじ1 、パセリのみじん切り…少々
作り方
❶マッシュルームは土を刷毛ではらい落とし、軸をつけたまま縦に薄切りし、ボウルに入れる。
❷①にオリーブ油を回しかけ、塩をふってオイルを全体にからめるように手早く混ぜ合わせる。生クリームとレモン汁を回しかけ、パセリのみじん切りを加え、一緒にからめる。
鶏胸肉のマスタードバター
マスタードバターの辛味とコクが鶏胸肉と好相性。「ゆで汁はこしてスープにしても」
材料(2~3人分)
鶏胸肉…小さめ1 枚、塩…少々、砂糖…少々、白ワイン…50㎖、無塩バター…大さじ3 、練りマスタード…大さじ1 、粗塩・黒こしょう…各少々
作り方
❶鶏肉は皮や余分な脂を除き、塩、砂糖を軽くふって10分おく。鶏肉から水気が出たら洗い流す。
❷鍋にたっぷりの湯を沸かして白ワインを入れ、①の鶏肉をゆでる。鶏肉にキッチンペーパーをかぶせて表面が乾かないようにし、軽く煮立つ程度の火加減で12~13分ゆでる。竹串を刺してすんなり通ればゆで上がり(指で押して柔らかければ、ゆで足りない)。粗熱を取り、端から薄切りにし、食べる分を皿に盛る。
❸室温において柔らかくしたバターに練りマスタードを加え、よく練り合わせる。②の鶏肉にのせ、粗塩、黒こしょうふりかける。残った鶏肉はゆで汁につけて冷蔵し、1週間程度で食べ切る。
ジャスミン茶入りビールと
珍しいジャスミン茶入りのクラフトビールにはエスニックなひと皿を合わせて
ヤリイカとハーブのサラダ
酸味や辛味、ハーブの香りでお酒が進むサラダ。「イカはゆですぎないのがコツ」
材料(2~3人分)
ヤリイカ… 2杯、米酢…大さじ3、てん菜糖…小さじ2、ナンプラー…小さじ1、塩…少々、香菜… 2~3株、ディル… 3~4本、ペパーミント… 1 パック、ごま油…小さじ1、赤唐辛子粉…ひとつまみ
作り方
❶イカは皮をむき、内臓を引き抜く。足の部分を切り分け、胴体はさっと洗って細めの輪切りにする。鍋に湯を沸かし、沸騰したら2~3回に分けて湯通し程度にイカを軽くゆでる。流水で急冷し、水気をきってボウルに入れる。
❷米酢、てん菜糖、ナンプラー、塩を合わせ、①のイカにかけてマリネし、冷やしておく。
❸香菜、ディル、ペパーミントは葉を摘む。香菜の茎を1㎝強に刻み、葉と合わせて大きめのボウルに入れる。②のイカの水気を軽くきって加え、残った漬け汁も適宜加えてあえる。器に盛り、軽くごま油を回しかけ、赤唐辛子粉をふる。
ラム肉のサテ
「お肉は串が見える程度に残して刺すと、見た目も量もアペロらしいバランスに」
材料(6本分)
ラム焼肉用薄切り…約250g、クミンパウダー…約小さじ1/4、塩…少々、植物油(米油、太白ごま油など)…約小さじ1/2、赤唐辛子粉…適量
作り方
❶ラム肉は大きければ2~3等分し、竹串にジグザグに刺して計6本にする。バットに並べ、クミンパウダーと塩を表裏全体にふりかけておく。
❷フライパンに植物油を温め、①の串を並べ入れ、強火で途中上下を返して焼き、器に並べる。仕上げに赤唐辛子粉を多めにふりかける。
赤ワインでアペロ
「気温が上がるこの季節は赤ワインもよく冷やして。スパイスや野菜で爽やかさを添えた、重すぎないチーズ料理と合わせるのが気分」
スパイス風味のチーズとゆで野菜
チーズにスパイスをまぶすだけで洒落た一品に。「クミンシードやキャラウェイでもおいしい」
材料(2~3人分)
カマンベールチーズ… 1 個、粗挽き黒こしょう…約小さじ1/2、フェンネルシード…約小さじ1、そら豆…約100g、アスパラガス… 3本、塩…適宜
作り方
❶カマンベールチーズは10等分程度に切り分ける。黒こしょう、フェンネルシードを混ぜてバットに散らし、チーズの切り口を軽く押しつける(まだらにつくくらいでOK)。いったん冷蔵庫へ。
❷そら豆はさやから出す。アスパラガスは根元の皮をむいて3等分に切り分ける。鍋に湯を沸かして塩少々を加え、そら豆とアスパラガスを2分くらいゆで、軽く塩をふって冷ます。①のチーズと一緒に盛りつける。
ブルーチーズのスクランブルエッグ
「卵は弱火で、ゆるく固めるのがコツ」。とろけたブルーチーズの風味がたまらない!
材料(2人分)
卵… 2個、塩…少々、牛乳…大さじ1 、オリーブ油…小さじ1 、ブルーチーズ…約50g
作り方
❶卵をボウルに割り入れ、塩と牛乳を加えて泡立て器でほぐす。フライパンにオリーブ油を温め、弱火にして卵を流し入れる。弱火のまま、火が通りすぎないように気をつけながら菜箸でゆっくりと混ぜ、ゆるく固まってきたら器に移す。
❷温かいうちにブルーチーズをちぎって散らし、好みのパン(分量外)を添える。
COLUMN 自宅で作れる!カクテルレシピ
長尾さんからのリクエストを受け、カクテル作りが趣味のフォトグラファーSが自宅で気軽に作れるとっておきのカクテルを伝授!
みょうがのジントニック
愛らしいピンク色の正体はなんとみょうが。キリッと爽やかな口当たり。
作り方
みょうが2〜3個を粗く刻み、ボウルに入れてライム1/4個の搾り汁とともに棒などでつぶし、こして搾り汁を取る。ジン45㎖をグラスに入れてトニックウォーター100㎖で割り、みょうがの搾り汁を加えてステアする。
カモミールティーと柑橘のカクテル
カモミールティーの代わりに緑茶やレモングラスティーを使ってもおいしいそう。
作り方
お茶を通常の2倍の濃さに抽出し、冷やしておく。グラスにコアントロー40㎖、グレープフルーツジュース20㎖、カモミールティー30㎖、トニックウォーター40㎖を入れ、ライムの搾り汁1/4個分を加えてステアし、セージを飾る。
SOURCE:SPUR 2021年6月号「初夏は自宅で、幸せな一杯を ベランダでアペロ」
photography: Masahiro Sambe styling: Miwako Tanaka edit: Kaori Okuda