これからの鍵は知性にある「さぁ、風の時代へ」

新たなフェーズが幕を開けた。それは、西洋占星術において“形のないもの”へと価値観のシフトが起こる約200年といわれている。今はまだ強風が吹いているような困難が多くても、望む未来をつくるために。占い師・水晶玉子さんの言葉に、「風の時代」を体現する春名風花さんのイメージを添えて。

大きな自由を求めて、羽ばたくとき

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ベスト¥500,000、トレンチコート¥275,000、オーバーオール¥210,000、中に着たボディスーツ¥80,000、ブーツ¥325,000(すべて予定価格)/バーバリー・ジャパン(バーバリー)

interview with TAMAKO SUISHO

風は気まぐれ。そよ風が吹いたかと思えば突風になったり、急に止んでしまうこともある。そして今、私たちには、嵐のような強風が吹き続けています。
 西洋占星術では昨年末、約200年に一度の時代の転換期、グレート・ミューテーションという現象が起こりました。これを機に世界は、物質主義の「地」の時代から、言葉や知性など、形のないものにスポットが当たる「風」の時代へと移行していくといわれています。
 グレート・ミューテーションは、約200〜240年単位で、木星と土星が「火・地・風・水」という4つのエレメントを移動しながら会合する現象です。では約800年前の、前回の「風」の時へのグレート・ミューテーションはどうだったのかというと、日本は平安時代から鎌倉時代へと移り変わった頃。中央から地方へと文化は広がり庶民が和歌を詠んで情緒を育み、文のやり取りで心を通わせていた時代。目に見えない言葉のやり取りが人と人をつなぎ、物事を動かしていました。
 新しい「風」の時代では、紙に代わって電波が言葉(情報)を世界中に飛ばし、状況をスピーディに変えていくでしょう。SNSに上げた一言が局面を変える、恋の始まりや人との出会いも、相手の言葉や考え方への共感がきっかけになる。力を持つ言葉が猛スピードで世界中を飛び交い、自らの発信力も、他者への影響力も増すからこそ、これまで以上に言霊を意識することはとても大切です。自分が口にした言葉は必ず自分に返ります。“心で思うことと、口にすることは違う力を持つ”ということを忘れず言葉を使っていきたいと、私も思っています。
 その一方で、望まぬ方向へ飛ばされてしまう怖さも生まれそう。強風にあおられたとき、本当に行きたい場所や望むルートを照らし出してくれるのが、揺らぐことのない自分の軸、アイデンティティです。これまでの「地」の時代は、生まれた国や環境など、与えられたものが自己を構築してきましたが、「風」の時代にはそれすらも自分で見つけ、決められるようになる気がします。枠にとらわれない「風」には、自分を縛りつけていたものから解放し、無理と思っていたことを可能にする力があります。“ここからは自分たちで新しい常識をつくる”、そんな気持ちでより大きな自由を求めていくべきなのでしょう。
 だけど、吹き飛ばされそうになったら、家族や仲間とつながり、手をとり合って嵐が過ぎるのを待つこと。シェルターに入るように、その場所から避難するという方法もあります。風はいつか必ず止みます。その少しの間、誰かを頼り、何かにすがるという選択肢があることも忘れないで。
 現在の混沌は、火星が「地」の星座の牡牛座に止まっている3月頭くらいまで続きそう。そして、物事があるべき場所に収まり始めるのは、破滅と再生を表す冥王星が「地」の星座の山羊座を抜けて、改革を表す天王星が同じく「地」の星座の牡牛座を抜ける2026年頃。そこでやっと、「地」の時代に本格的な終わりが告げられるというメッセージが読み取れます。
 といっても、これまでのことがすべてリセットされるわけではありません。新しい「風」の時代は、「地」の時代の先に生まれていきます。たとえば“物質を循環させる”という考え方は、「地」の時代の物質社会・消費社会が行きつくところまで行ったことを受け、「風」の時代が生み出した優れた知性です。こうしたかけがえのないものをよりよい形でつないでいくための新しい仕組みや知恵は、今後さらに注目を集め、増えていくはずです。
 今を生きている私たちは、約200年続く「風」の時代のプロローグしか見ることができません。それでも私は、今吹き荒れている逆風が、200年後の人々がもっと快適で、進歩的で、幸福になる過
ごし方を見つけるための知性を得るきっかけになると信じたい。だから私たちはそんな未来に向けて、古い価値観、受け身だった自分など、心の鎧を脱ぎ捨てて身軽になりましょう。物や場所、ひとつの枠組みに縛られず、心の自由を手に入れられる「風」の時代に、空高く舞い上がるために。

 

「役者としての幅を広げるように、挑戦できたら」(春名さん)

今年、20歳を迎える女優・声優の春名風花さん。まとったのは、バーバリーの2021年春夏コレクション。今季、生命の循環や自然の再生など“環”をキーワードに掲げた。真っ青なコートに重ねたのは、輝くクリスタルネットのベスト。きらめきが呼応する瞳が、風の軌道をつかもうと挑む。「爽やかさと強さがあるこの服から、まさに『これからの時代を生き抜いていくぞ!』という意志を感じました。私は0歳から芸能活動をしていて、今は演技を学ぶ短期大学に通っています。この仕事をずっと続けると思いますが、20歳を迎える水瓶座の身としては、何か新しい挑戦も! というお告げなのかも、とも感じます(笑)。“風の時代は、より自由になっていく”と聞くと、ルールに縛られない、ということをイメージしますが、その分広い視野で物事を捉えられる人が増えたらいいですよね。今年、成人式の開催の是非についてもさまざまな意見があったのですが、事情も状況も人それぞれ。あらゆる視点から考えてから言葉を発することが大切だと思います。私の家庭では子どもの頃からニュースを見て、くだらないことも、建設的な意見もアレコレ言い合う日常でした。それが、物事に直面したとき、まず自分なりに向き合ってみるという今の姿勢につながっているのかも」。

FUKA HARUNA
2001年2月4日、神奈川県川崎市生まれ。0歳から芸能活動を開し、「はるかぜちゃん」の愛称で知られる。現在は、桐朋学園芸術短期大学芸術科演劇専攻にて学びながら、女優・声優として作品や舞台に出演する。YouTubeチャンネル「春キャベツ王国」も更新中。

TAMAKO SUISHO
幼い頃から占いに興味を持ち、東洋・西洋の枠を超えて、数々の占術を研究。「オリエンタル占星術」は多くのファンを持つ。公式FacebookやTwitter(@Suisho_Tamako)で発信する日々の占いも人気を博す。本誌巻末でも「水晶玉子の2021年"つながる"占い」を連載中。

SOURCE:SPUR 2021年4月号「これからの鍵は知性にある さぁ、風の時代へ」
model: Fuka Haruna photography: TAK SUGITA〈Y’s C〉 styling: Tomoko Iijima prop styling: Shizuka Aoki hair: Keiko Tada〈mod’s hair〉 make-up: fusako〈ota office〉 interview & text: Noriko Kamiyama