2021.11.23

世界的アーティストと、集う才能たち TOMIHIRO KONOは、何者だ?

ヘア&ヘッドプロップ・アーティスト、ウィッグメーカー、さらにイベントなどのキュレーションと、複数の領域を行き来するアーティスト、河野富広。世界中のブランドやセレブリティからオファーの絶えないその「頭の中」をのぞくべく、これまでたどった道のりや幅広い活動内容を紹介。主催するポップアップに参加する各国のアーティストにもインタビューを試みた

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誰でもワンタッチで装着でき、イメージチェンジを楽しめる、河野さんが制作したウィッグ「愛のエクステ」1点¥8,000〜。販売はkonomad.comにて

 

TOMIHIRO KONOがたどった道

アーティスト河野富広が歩んできた道のりを作品とともに振り返る

 

すべてが停止したロックダウン下、手元にあった111の写真

ヘア&ヘッドプロップ・アーティストという領域から拡張し多面的に活躍する河野富広さん。プロジェクトごとに名前を変えて、複数の人格(ペルソナ)で表現を続ける異才の持ち主だ。彼が制作し、販売する「愛のエクステ」(写真上)にも独自のアイデアが光る。それは、自分の髪やアイデンティティを隠さず、むしろ地毛とのバランスを楽しむアクセサリー感覚のエクステンションだ。独特の形と手染めのカラーが、想像力を刺激する。そのユニークなスタイルは、ファッション感度の高い若者から多くの支持を集めている。

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1 最初のプロジェクト「NEON O’CLOCK WORKS」で2007年に出版した作品集『KRAGENEIDECHSE』
2 ジュンヤ ワタナベ コム デ ギャルソンの2015年春夏ショーのヘッドプロップのプロトタイプ
3 2019年、渋谷で開催した展覧会
4 ピーター・リンドバーグが撮影した2019年10月号の『ヴォーグ・アラビア』
5 ウィッグ作品集『PERSONAS 111』

「このエクステが生まれたきっかけは僕の個展(3)での記録写真。ウィッグ装着前にモデルの髪をジェルで固めてまとめるのが大変だから、本人の髪が見える状態でウィッグを簡易的にのせてみたんです。志村けんさんがあえてずらしてかぶっていたように、地毛を見せたり。すると本人の地毛との相互作用で新しい見え方になり、それが意外に好評で。惰性と偶然から生まれたんです」

笑いながら話すが、根は完璧主義。これと決めたら徹底的に追求する彼は、大阪、東京、ロンドン、NYと4都市を渡り歩いてヘアアーティストの道を極めてきた。インスタグラムのフォロワーは現在8万人以上。一躍注目を浴びたのは、2020年に出版したウィッグ作品集『PERSONAS 111』(5)だ。当時の拠点はNY。ブックローンチ直前の昨年3月22日、新型コロナ感染拡大でロックダウンが決まった。刷り上がったばかりの本が自宅に積み上げられ、ファッション界でも撮影がすべて中断になり、途方に暮れた。

「何もポストするネタがないときに僕には『PERSONAS 111』に収録した111体分のウィッグとその写真があった。毎日一点ずつの、作品の着想源を含む投稿を楽しんでくれる人が多くいて。もっと何かできないかと考え、写真からウィッグ部分を切り抜き、インスタグラムのARフィルターを作ったんです」

カメラをかざすと、自分がウィッグをかぶっているところを再現できる。このARフィルターが大反響を巻き起こし、結果的に写真集も完売し、増刷した。本の装丁は、性別も国籍もわからない人の後ろ姿からなる。表紙を見たときに、誰もが自分に置き換えられるようイメージした。

 

確固とした基礎から無限に広がるクリエーション

愛媛で育ち、美容師を目指して大阪で修業。原宿の美容室で働くため上京した。そこは、イギリスの流れを汲み、カッターとカラーリストを分ける先駆的サロンだった。
「ここで基礎を叩き込まれた経験は今にも生きています。ベーシックがあれば応用がきくから、展開の仕方は無限に広がるんです」

憧れのヘアサロンで働く傍ら、さらにトップの技術を見たいと、ヘア業界誌のフォトグラファーに師事。一方で日本髪の手ほどきも受けるなど、同時に多面的な自己表現を試みるように。その頃出会ったのが、ほとんどすべての活動をともに行うこととなる、アーティストで写真家の丸山サヤカさんだ。二人は「NEON O,CLOCK WORKS」(1)を始動した。これは、写真や映像、インスタレーションなどの手段で、多面的にビジュアルを追求するプロジェクト。当時の作風はシュールレアリスム映画などに影響を受けた、耽美でダークな世界観だった。
「美容師業の傍らモデルハントに行きつつ、渋谷パルコ地下の書店やオン・サンデーズで、洋書を読み漁っていました。寝る間を惜しんでビジュアル作りを追求していました」

衣装については、古着店SÜB(現在は「THE SECRET MUSEUM」)のオーナー、塚本真理子さんに相談していた。
「展示する場所も探していて。そうしたら塚本さんが『ここで個展をやってみる?』と、お店をギャラリーに変えてくれたんです」

そこで行われた初個展で、出版社の編集長から声がかかり、本を出すきっかけに。この本がアーティストとしての扉を開くこととなる。
「ひとつのプロジェクトが終わるたびに本にまとめると、自分の中で消化できるし、次に名前を変えてまた新しいことに取り組めるんです」

2007年、2度目の個展を開催したのち、ロンドンへ拠点を移す。知人の紹介もなく、誰のアシスタントにもつかなかった。ロンドンには「クレア・ド・ローエン」という、ファッション業界の人々が足繁く通い、個展も開催する書店がある。「そこに、自分の本を売り込みに行ったんです。そうしたら翌月に個展を開催できることになって。そこで売った本を見て、アーティストとしての作品制作の依頼が来るようになりました」

レディー・ガガ全盛期の当時、頭上でできるファンタジーやコンセプチュアルな方向を目指し、「ヘッドプロップ・アーティスト」というオリジナルの肩書で実験を重ねた。『Dazed & Confused』誌で受けた最初のインタビューでは、「いつか仕事をしたいブランドはコム デ ギャルソン」と答えている。

2012年、東京に一時帰国。翌年からは、拠点をロンドンからNYに移すことに。そんな中、ジュンヤ ワタナベ コム デ ギャルソンから声がかかり、2014年秋冬からショーのヘアを担当することになる。当時のヘッドプロップは後に作品集『Head Prop』(2)として一冊にまとめられた。一方でNYではヘアスタイリストとして、ビッグメゾンの広告や雑誌の表紙にも声がかかるように。当時NYで求められたのは、ナチュラルなヘア。「今までしてきたこととは逆のことを追求していました」

NYで最も印象的だった撮影のひとつは、ピーター・リンドバーグが撮り下ろした『ヴォーグ・アラビア』のカバー(4)。宗教的な理由で髪をさわることができないモデルだったため、ヘッドプロップを得意とする河野さんに白羽の矢が立った。
「週末で大混雑のタイムズ・スクエアでの撮影。ピーターは声をかけてくる街の人にも、ジョーク交じりで返事をする。昔パルコで見ていた写真集の大御所と仕事ができたという喜びもあるけれど、彼のつくる現場の穏やかで自然な空気が、写真ににじみ出ていることに感動しました」

昨年の夏、NYから帰国。現在はビョーク(6)をはじめとする著名人やコリーナ・ストラーダ(7)や、YUEQI QI(8)といった気鋭ブランドとリモートで協業している。

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6 ビョークとのコラボレーション
7 コリーナ・ストラーダに制作したウィッグ
8 上海ブランドYUEQI QIに提供したウィッグ

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1980年、愛媛県宇和島出身。美容師として経験を積んだ後ロンドン、NYを経て、現在は東京を拠点にヘア&ヘッドプロップ・アーティスト、ウィッグメーカーとして活躍する。現在はプロジェクト「konomad」を丸山サヤカさんと主宰。Instagram: @tomikono_wig

 

TOMIHIRO KONOの頭の中

河野さんの脳内は一体どうなっている? 着想源の映画や本、思い入れのある"宝物"など私物を紹介

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1 YUEQI QIの2021年秋冬コレクションのために制作したウィッグ「愛のエクステ」。アトリエで育てる植物の横に並べて
2 蟹をモチーフに「キャンディークラブ」と名付けたウィッグ作品。「深海や自然の生き物をテーマにすることも多いです」
3 パリのクリニャンクール蚤の市で見つけたきのこの模型。学術的なアイテムばかりを集めた専門店でコツコツと購入したそう

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4 「図鑑やカタログのようにイメージが羅列された本が好き」という河野さんの愛読書。ドイツの植物学者であり写真家のカール・ブロスフェルドの写真集や、魚や食虫植物の図鑑など、自然の造形が彼のインスピレーションを刺激する
5 篠山紀信が撮り下ろした『三島由紀夫の家』、砂や藁など多様な素材を織り交ぜ巨大な作品を発表するドイツのアーティスト、アンゼルム・キーファーの作品集、水木しげるの『東西妖怪図絵』など、お気に入りの書籍。『ロンドン・ブック』のようなストリートスタイルには10代の頃から影響を受けている

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6 大阪の美容室での修業時代に、初任給で買ったトリッカーズのブーツ。「当時は、レコードを集めていたり、1950年代から出てきたようなファッションを貫く先輩がいたり、自分のスタイルが確立している人に囲まれていました」
7 お気に入りの映画DVDのコレクション。1900年代初頭フランスのパテ社による手彩色のカラー短編映画をまとめた『フェアリー・テイルズ』の色使いは、河野さんが得意とするパステルカラーにも通じる。ほかにも、セルゲイ・パラジャーノフ、ウォン・カーウァイといった監督特有のカラーが光る作品から、ジャン・コクトーやヴィム・ヴェンダース、黒澤明、勅使河原宏などの作品が並ぶ
8 尊敬する映画監督の一人、伊丹十三が編集長として発行した『モノンクル』。1981年からわずか6号で休刊してしまった幻の雑誌。「伊丹氏が妥当と考えたスタッフへのギャランティが非常に高額だったことが休刊の理由だとか」

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9 「基本的に自宅には自分たちが制作したアートか、友達が作った作品しか置いていません。アーティストの特権で、お互いの作品を交換することも」。丸いペインティングは、河野さんの地元の風景をパートナーの丸山サヤカさんが描いたもの
10 飼っている熱帯魚のベタ。名前は「ブー」
(左)  品川区荏原に構えるアトリエで開催されたkonomadポップアップ第一弾の様子。

 

個の時代に始めた才能が集うポップアップ

「コロナ禍になって、パーソナルワークの時代へ変わりました。毎日コツコツと作品づくりを積み上げてきた人へ光が当たるようになった」

NYでは、誰とどんな仕事をしたかを勲章のように思っていたこともあったが、コロナ禍に、それはどうでもいいことだと気がついた。拠点を東京に移した彼が今、夢中になるプロジェクトのひとつが、主催するkonomadのポップアップ。河野さんが注目するユニークなアーティストが彼のアトリエに集い、個々の作品を発表する。10月に行われた第2回では、10名以上が参加し、作品や植物や骨董などを展示販売した。
「個人で何かするには限界があるけれど、自分が着手していない素材を扱うアーティストから、インスピレーションを受けられる。参加者たちと共鳴する感覚です」

イベントが終盤に近づくと、売れ残ったアイテムを、参加者同士が交換し合うシーンが自然と生まれた。
「僕も出品していたアートブックを参加してくれた骨董店の方と物々交換しました。自分の中で通り過ぎた本が、相手にとっては刺激的だったようで、欲しいと思った花瓶とトレードしました。お金ではなく各々の価値で物々交換する感覚が新しいと感じます」

長年ともに活動するパートナー、丸山サヤカさんは河野さんに対して、「ヘアは二番目に得意なことなのかもしれない」と言う。実際河野さんは、ヘアの世界に留まらず、キュレーションやディレクションなど表現方法を拡張してきた。
「人格(ペルソナ)は、表現する作品ごとに違ってよいと思っています。ポップアップを通して、自分の職業とは別の、やりたいことを疑似体験しています。そうやってセカンダリーな領域を広げていきたいんです」

 

TOMIHIRO KONOに集う世界のアーティスト

10月に主催したポップアップ「konomad pop-up Vol.2 "PRETTY VACANT"」へ参加した4名のアーティストへインタビュー

Hana Yagi(Fashion Designer)

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(右)河野さんと共同制作したファンシーウィッグを施したフード
(中)昨年開催された個展のために撮り下ろしたビジュアルより
(左)これまでの作品の中でも、特に思い入れのあるドレスのルック

八木華の服作りは素材との出合いから始まる。ドレスの処分市や骨董店、リサイクルショップを巡り、晴れ着や古布を収集しアイデアを広げる。
「パターンを引いて、平面の布を立体にするのではなく、ハギレをつなぎ合わせた素材の巡り合わせありきのデザイン。5年前に偶然見つけた布を使って作品作りを始めました。一度しか作れないこの方法が性に合っているんです」。
アートピースのようにドレスを作る彼女だが、服で表現する限りは、アーティストではなく「ファッションデザイナーとして認めてもらい、こういうファッションのあり方もあると知ってもらいたい」と話す。
今回はポップアップの開催に合わせ、河野さんと共同制作に挑戦。
「長野県の靴下工場から譲り受けた糸くずを素材にしてフードを作りました(写真右)。水溶性シートとフードの間に糸を挟みミシンで叩きつけ、テクスチャーをつける初めての試みです」。
河野さんにとって実験的なもの作りは、「昔NEON O’CLOCK WORKSとして制作していた作品にも通ずる、何か独特なものを感じる」という。服をデザインする上で心がけていることについては「いろんなルーツのある素材を合わせたい。それが多様性だと思うから」と八木さん。

東京生まれ。都立総合芸術高校を卒業後、ここのがっこうに進学。2019年、欧州で「International Talent Support」ファッション部門に最年少19歳でノミネート。今秋には南青山のショップ「GIGINA」で新作を発表予定。Instagram: @hannah.yagi

Laura Chautin(Artist)

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(右)ぶどうの木を描いた花瓶
(中)花の写真や「メトロポリタン美術館」の歴史画、陶器も着想源
(左)彼女らしく色鮮やかでドリーミーなポップアップ出品作

「手描きの筆使いに惹かれ、日本で作品を紹介するタイミングを探していました」と話す河野さんと、ローラ・チャウティンとの出会いはNYだという。今回konomadポップアップに出展した作品のテーマについて彼女に尋ねた。
「コロナ禍の自粛期間中、自宅にこもり、外に一歩も出られない日々が続きました。そんなときに夢見た風景は少しトリッピーな世界。旅をしたい夢の国を描きました」  

イラストレーターとしてキャリアをスタートした彼女が、今夢中になっているのがポーセリン(磁器)。手びねりで成形し、淡く繊細なイラストを施す。
「粘土には独自のマインドがあるように感じます。なめらかで柔らかな質感も魅力的。表面に絵を描くために、あらかじめ紙やすりで研いで完璧なキャンバスに仕上げる工程が気に入っています」。
陶芸もイラストも、制作過程は手に委ねる。最終的にはイメージとはまるで異なるものが完成することもあり、それも醍醐味だ。日々大切にしているのは自宅からスタジオまで歩く約40分の道のり。
「自分に向き合い、脳内でブレインストーミングするだけでなく、マンハッタンの景色からひらめきが浮かびます」。目標は個展の開催。大きな作品へのアイデアを巡らす。

英国出身。NYを拠点にイラストレーター、セラミックアーティストとして活動。植物や食べ物をモチーフにしたドリーミーな作風が人気。現在はカップやお皿などクリスマスアイテムを制作中だ。Instagram: @laurachautin

Rogneda(Artist)

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(右)ポップアップに出品したイヤリングの数々。見るほどに惹き込まれる「キモカワ」なモチーフ
(左)「ネガティブな形をポジティブな意味に解釈しています」

ログネダにとって、絵を描くという行為は、「頭の後ろに取りつけられた見えないチューブから何かを取り出すようなこと」。それは、同時に魔法のようでもあると言う。ソビエト連邦時代のアニメや、幻想的でシュールな作風で知られるスーザン・ピットなどに影響を受けつつ、悪夢や自分の部屋のベビーピンクの壁紙からもアイデアを得て描いてきた(写真中)。

一方で、長い間身につけられるお守り、自分の存在を証明するものとして、ジュエリーや洋服作りにも興味があったという。転機は昨年末だった。
「アレルギーで使うたびに目がかゆくなるアイシャドウを、何かほかの用途に活かせないかなとポリマークレイと混ぜたことがきっかけ」でイヤリングの制作を始めた。インスタグラムに載せたユニークな作品がたまたま河野さんの目に留まり、ポップアップ出展に声がかかった。創作活動の始まりは、自身のコミックを作ることだったというが、「本が完成するより早く、物語を伝えたいという思いに触発され、絵やイヤリングが生まれました。一つひとつが作品の登場人物やシーンとして、ストーリーを展開する種になるんです」。
今後は人形やスカルプチャーも制作予定だ。

モスクワ在住。毎朝の日課は「心に浮かぶことをすべて書き出すこと。思考がクリアになり、想像力がより鮮明になるんです」。エストニアのアニメ作家、プリート・パルンの作品に夢中だという。Instagram: @rogneda_earr

Upa(Artist)

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(右)台湾の自然を彷彿とさせるペインティングは昨年の個展から
(中)陶磁器を用いた新作シリーズ
(左)手彫りとマシンを織り交ぜたタトゥー。テーマは「カオス」

ときに子どもの頃のお絵描きのようにピュアで、ときに緻密で繊細に。ドローイングと絵画を出発点に、タトゥーや陶器でも表現するようになったウパの作品には、あらゆる感情が渦巻く。「着想源はパートナーと話す昨夜の夢や映画の話。あるいはあてもなく彷徨し、山や滝へハイキングに行くこと。常にクリエイティブで吸収できる状態にしておくことが、私にとって重要なことなのです」

彼女は4年前から、タトゥーアーティストとしても活躍している。詩的で抽象的なデザインとカラーリングに、国内外にファンを持つ。「動くペンで、体にドローイングを施すような流儀が、とても興味深くて。YouTubeを見たり、伝統的な刺青工房で見習いとして働くことで技術を学びました」

河野さんは線と色で構成されたタトゥーデザインに感銘を受けたという。ポップアップでは、セラミックの新シリーズ「How to Write"Dao"」から作品(写真中)を展示。『老子』の第68章にある不争の徳から着想を得て、「東洋の哲学と伝統芸術と見なされる陶磁器を組み合わせました」。トラディショナルなものへの理解から、彼女の独自のフィルターを通して、新たな価値を生み出している。

台北出身。ドローイングをはじめ表現方法は多岐にわたり、2017年より、タトゥーアーティストの活動を開始している。2019年には作品集、ポストカードをリリース。11月には新刊の出版、来年には個展を開催予定。Instagram: @lonelyupa

SOURCE:SPUR 2021年12月号「世界的アーティストと、集う才能たち TOMIHIRO KONOは、何者だ?」
interview & text: Mari Fukuda hair: Tomihiro Kono photography: Sayaka Maruyama model: Tiara

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