Raveena 幸せな歌声にのせて。ハッピー・バイブスが生まれるところ

ラヴィーナの存在を知っていますか? インド系アメリカ人のシンガーソングライターが歌い上げるサウンドは、聴く者の心を温かなオーラで満たしてくれる。彼女のハッピーの源に迫るべくLAにてファッション撮影とインタビューを試みた

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Profile
Raveena
インドにルーツを持つシンガーソングライター。2017年に自主制作のEP「Shanti」でデビューした。聴く人を癒やすスウィートなR&Bが特徴。現在はニューヨークとLAを拠点に活動する。最新EP「Tweety」、アルバム『Lucid』が発売中。

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ボディスーツ・ドレス/Tao Tao イヤリング$78/alexandra IPA 帽子/LEEANN HUANG 靴/NICOLE SALDAÑA その他/スタイリスト私物

調和するマキシマリズム
チェック柄ボディスーツに、異なるチェック柄のドレスを重ねて。「カラーと柄、すべてがマキシマリストでありつつ美しい調和を放っているスタイル。スタイリストと相談して、意識して作っていきました。たくさんの要素があるけれど、完璧にまとまっているでしょう?」。

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セーター$280/Lirika Matoshi パンツ$392/COLLINA STRADA イヤリング¥7,150/マーク ジェイコブス カスタマーセンター(Heaven by Marc Jacobs) ネイル/STUDIO AOKO その他/スタイリスト私物

抱きしめられ、包まれるような音楽を
「私は子どもの頃すごく内気だったんだけど、音楽が親友みたいなものだった。自分が守られていたように感じたし、導かれ、歌詞を聴けば理解されていたように感じた。だから私の曲を聴いた人が、同じように抱きしめられるような気持ちになってくれたら。自分の音楽が、心の安らぎを与えられたらうれしい」。ハート形のカットアウト部分から彼女の幸せなバイブスが放たれる。

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ブラトップ・蝶のリング$196/alexandra IPA スカート$300/Max Mulder タイツ$90/MAISON SOKSI アームウォーマー$280/Lirika Matoshi イヤリング/melted potato 靴/untitlab その他/スタイリスト私物

気まぐれな妖精がガーデンに佇む
「その日になりたいキャラクターを毎回、ファッションで体現するように心がけています。たとえば今日の服は、自分の中の童心を表現しているんです。喜びにあふれていて、気まぐれなところもあって、エイリアンの妖精がガーデンにいる、みたいなイメージ(笑)」。

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ジャケット/LEEANN HUANG トップス$400/Lirika Matoshi スカート¥200,000/サザビーリーグ(The Elder Statesman) ヘアクリップ/melted potato ネイル/STUDIO AOKO 靴$60/CURRENT MOOD その他/スタイリスト私物

毎日必ず、感謝し瞑想する時間を持つ

「ハッピーでい続ける秘訣は、脳をポジティブにマインドセットすること。自己肯定し、毎日必ず自分が何に感謝しているのかを思い起こし、数分間息を止めて、それを忘れないようにしています。そうすれば過去を振り返って悔んだり、未来に不安を持ち続けたりしなくなるんです」。ラヴィーナにとって特別な色だというオレンジを基調にしたスタイリング。

Interview with Raveena

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幸せの源は、インドに根差したスピリチュアルな習慣

今回の撮影で、オレンジ色の服を印象的に着こなしたラヴィーナ。
「オレンジは、セイクラルチャクラ(第二チャクラ)の色。ここは、クリエイティビティにすごく関係しているし、センシュアリティ(官能性)にも関わっています。私のセイクラルチャクラはすごく強くて、自分にとってはとても大切なんです」と、今回のファッション撮影のテーマについて話す。インド系アメリカ人のラヴィーナは、ふんわりと穏やかに語り、見ているだけで周囲を幸せな気分にさせてくれる。彼女のファーストアルバム『Lucid』も、深くスピリチュアルで、癒やしと、ポジティビティと、幸せなオーラを放っている。それは彼女のルーツであるインドのカルチャーに大きく影響を受けているようだ。
「私は子どもの頃からレイキヒーラーに育てられてきました。すごくスピリチュアルな環境で、神に通じている人たちに囲まれて育ってきたんです」

彼女自身はアメリカ東海岸生まれだが、家族はインドからの移民で、インドの長い歴史と豊かなカルチャーが彼女のクリエーションのみならず日常の基盤となっている。
「瞑想はとても大切。ニューヨークに住んでいた頃は、壁をミントグリーンに塗った、小さな瞑想室もありました。毎日朝起きると20分間瞑想して、チャイを飲みにいくのが日課。今はLAに引っ越ししたから、1日おきに自然の中をハイキングして、歩きながら瞑想をしています。ホットヨガも健康維持のために行っているし。昨日の夜は、女友達を家に集めて満月の祭壇を作り、お花やクリスタル、キャンドルを飾って、みんなで精神を統一し、瞑想したんです。すごく美しかった。普段から、宇宙や自然との結びつきを感じるんだけど、インドのスピリチュアリティに関係していると思う」

彼女の音楽は、そういったインドの歴史とスピリチュアリティ、コンテンポラリーな西洋のR&Bを融合させた交差点のようなサウンドだ。ここから、今の時代へ響かせる、新しい曲を生み出しているのだ。
「子どもの頃から、ボリウッド音楽と、自分が好きだったR&Bや、エラ・フィッツジェラルド、ニーナ・シモンなどを並行して聴いてきました。だから、東洋と西洋を融合させて、私なりに今のサウンドにするのが大事だと思っています。とりわけ今は世界が分断されているように感じるから、音楽が、団結をもたらすインスピレーションになるような気がする。音楽ってユニバーサルな言語で、スピリチュアル。世界を結合する力があるし、それが役割でもあると思う」

彼女の曲はポジティブさであふれているけれど、実は彼女の家族も自身も、過去にはつらい体験をしている。家族は、インドで起きた暴動から逃れるためにアメリカに移住してきた。彼女も虐待などを受けた過去がある。
「デビュー作を作る前は、恐怖や苦痛から音楽を生み出していて、もっとネガティブな曲だった。でも悲痛なことを経験している最中にも、痛みからではなく、癒やしの場所から音楽を表現したいし、リスナーの心が上向くような曲にしたいと思ってきたんです。音楽に包まれて抱きしめられているような、安らぎを感じられるようなものであってほしいとね。それにポジティブな歌を歌うことで、自分自身が癒やされたから、人も癒やせるはずだと思っていた。でも、苦痛を癒やしに変えて表現できるまでには長い時間がかかって。私のキャリアが始まったのが23歳から24歳にかけてとわりと遅かったのは、そのためなんです」

「Temptation」という曲を発表した際に、バイセクシャルであることを公表した彼女は、自分が属するコミュニティでもある社会的弱者とされる人々を、音楽だけでなく、ほかの方法でも助けたいと思っているようだ。
「私がチャリティ活動を始めるときに真っ先に頭に浮かんだのは、DVの被害を受けた人たちを助けること。とりわけ、黒人やインド人の女性やクィアの人たちが、よりよい生活ができるように、可能な限り何でも行いたい。社会の中で最も抑圧されている人たちだと思うから。実際、そういった背景のミュージシャンのために助成金を集める活動も行なっています。私の力が及ぶ限り、このコミュニティの力になりたいんです」

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「Tweety」
初恋に落ちていく気持ちを歌ったシングル。ゆったりとしたビートにのせた甘やかなボイスに癒やされる。サイケデリックなMVにも注目。/12Tone Music

SOURCE:SPUR 2022年2月号「Raveena 幸せな歌声にのせて ハッピー・バイブスが生まれるところ」
model: Raveena photography: Matthew Cowen styling: Kaamilah Thomas hair: Preston Wada 〈Rare Creatives〉 make-up: Zara Kaplan, Kitty (rhinestone art) coordination: Yasuyo Hibino 〈fish*co.〉 interview & text: Akemi Nakamura cooperation: Tsutomu & Tristy garden
※$1=約113円(2021年12月3日現在)。※価格表記のない商品はすべて参考商品となります。

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