【BE:FIRST JUNON】モードな音楽愛。「だから、この道を選んだ」

数々の記録を打ち立てる人気グループ、BE:FIRST。メンバーのJUNONはその中でも、美しいハイトーンボイスで多くの人を魅了する存在だ。音楽に囲まれた環境で育ち、歌い続けることを選んだ彼が、ハイモードとともにSPURに初登場!

JUNONプロフィール画像
ミュージシャンJUNON

1998年生まれ、東京都出身。ミュージシャン。7人組ボーイズグループ、BE:FIRSTのメンバー。2021年8月に結成し、11月に「Gifted.」でメジャーデビューを果たした。ドキュメンタリー映画『BE:the ONE』が8月25日より全国公開。

「音楽は娯楽」。鍛錬の日々も愛に変えて

183㎝の長身と抜群のスタイルを生かし、モデルとしても活躍するJUNON。だがここまで多くのルックを着こなすシューティングは初めて。終始目を輝かせて撮影に臨んでいた。

「7人での撮影だと1人1ブランドずつを着用することが多い。今日はいろいろな服を着ることができて、本当に楽しかったです。風船ガムを膨らませたり、アンプに座ったり。新鮮な体験ばかりでした」

「部屋に服があふれているから引っ越したい」と語るほど、大のファッション好き。それぞれのアイテムにも興味津々で、デザインの細部に至るまでチェックしていた。

SPUR9月号 BE:FIRST JUNON
コート¥1,023,000・シャツ¥132,000・ショートパンツ¥176,000(すべてヴァレンティノ)・ネクタイ¥60,500(ヴァレンティノ ガラヴァーニ)/ヴァレンティノ インフォメーションデスク その他/スタイリスト私物

のちにモッズスタイルへと進化していく、英国50年代の"テッズ"なムードを現代的なタイの着こなしで表現。「コートの重量感に驚きました。自由にポージングをしても、型崩れせずクールなまま。こんな佇まいに憧れますね」(JUNONさん・以下同)。フォーマルなスタイルにあえてショートパンツを合わせて、気ままなマインドを加えたい。

SPUR9月号 BE:FIRST JUNON
パデッドコート¥412,500・トップス¥75,900・パンツ¥143,000/ドリス ヴァン ノッテン チョーカー¥18,150・ピアス¥10,450・イヤカフ¥7,700・ヘアクリップ(セット)(参考商品)/THE WALL SHOWROOM(ジュスティーヌ クランケ)

「去年はダウンジャケットにはまっていたんです。このコートはパデッドタイプですが柄がとても可愛くて、欲しい! と思った一着でした」。リズミカルなパターンが縦横無尽に躍るアウターは、レイヴカルチャーの一体感あるエネルギーからインスピレーションを得た。サイドのスリットを開ければ、レイヤリングの可能性も広がる。

子ども時代を振り返ると、必ず音楽が鳴っている

SPUR9月号 BE:FIRST JUNON
ジャケット¥445,500・ダブルフロントパンツ¥317,900・靴(参考商品)/バレンシアガ クライアントサービス(バレンシアガ)

しなやかな長身でこそ着こなせる、オーバーサイズかつクチュールライクなデニムのセットアップ。フューチャリスティックなシルエットをしなやかにまとった。「10㎝超えのピンヒールを履いたのは人生でも初めての体験! さらにボトムはデニムのパンツを重ねてはいたような設計なのですが、実際に着てみるとシルエットがきれいなところにも驚きました」。

澄んだ青空のように、どこまでも突き抜けていく高音。類いまれな歌声の持ち主であるJUNONは、BE:FIRSTのボーカルを牽引する存在だ。そんな彼の人生は、常に音楽とともにあった。

「子どもの頃の記憶って、普通はうろ覚えじゃないですか。でも僕が思い返すシーンには絶対に音楽が鳴っているんです。クリスマスにケーキを食べるときにはMISIAさんが流れていたり……。父がバンドをやっていたので、家にはあらゆる楽器が揃っていて。中高生のときには、僕がベース、妹がアコースティックギターを弾いて、自宅で好きなバンドの曲をセッションしたこともありましたね」

大学生の頃、音楽の道を志して一度韓国に渡るも、帰国。周囲と同じく就職活動を行い、企業の内定も得ていた。しかし「これが最後の挑戦」と奮起して参加したのがオーディション「THE FIRST」。そこで夢をつかみ取り、大活躍の今がある。

「『THE FIRST』で落ちていたら、普通に音楽を娯楽として楽しむ人生を送っていたと思います」と語るJUNON。ふと、彼の口から「音楽は娯楽」という言葉が何度も出てくることに気づく。音楽は楽しむことが一番大事。そんな彼の信念を言い表しているかのようだが、どんなに好きな音楽でも、生業となると純粋に楽しめない瞬間もあるのではないか。そう聞くと、少し考え込むも「音楽でつらくなることはないですね。うん。常に楽しめています」とサラリと答え、「それが本当にすごいと思います」と、自分でも感心したような様子でつぶやいた。

「自身の"音楽愛"を象徴する一曲は?」という質問には、テヤンの「EYES,NOSE,LIPS」を挙げるが、その理由は「韓国にいた頃にすごく練習した曲だから」。またBE:FIRSTで思い入れが深い曲は、「Shining One」。これも「『THE FIRST』の課題曲で一番練習した曲であり、今後も必ず進化していくから」だという。音楽における鍛錬は、彼にとって苦ではなく、深い愛を積み上げていく行為なのかもしれない。

アーティストとしての方向性が見えてきた

SPUR9月号 BE:FIRST JUNON
シャツ¥205,700・ベスト¥116,600・パンツ¥188,100・靴¥225,500・チュールグローブ・チェーン(ともに参考商品)/マルジェラ ジャパン クライアントサービス(メゾン マルジェラ)

シャツは、メゾン マルジェラとペンドルトンがコラボレーションしたもの。前後逆で着用して遊び心たっぷりに。そこにいたずら書きのようにチェーンや刺しゅうをちりばめたニットベストを重ねて。「メゾン マルジェラのパンクなアイデアにも脱帽です。このルックではチュールの手袋をつけているんですが、ちょっとサラサラしたつけ心地で意外と気持ちいいですね」。

BE:FIRSTが結成され、プロとして歩み始めてからもうすぐ2年。努力家として定評があり、未経験だったダンスも今やほかのメンバーに引けを取らない実力となったJUNON。グループとしても昨年から1stツアーで全国を回り、幅広い活動を積み重ねてきた。その中で、アーティストとしての視座もどんどん高くなっているようだ。

「僕はメンバーの中でも経験が少なかった。ツアーでたくさんステージに立って、自分というひとりのアーティストの方向性がわかってきた気がしています。憧れの人に近づくのではなく、自分なりのオリジナリティを生み出したい。その一歩目が少し見えた感覚がありました。今後も場数を踏んで確立させていきたいですね」

好きなアーティストの楽曲を聴く際もボーカルの研究を欠かさない。作詞作曲に強い関心を持ち、思い浮かんだフレーズはメモをする習慣をつけている。JUNONは自分の表現を深化させ、音楽を通じてどのような思いを届けたいのか?

「人それぞれ曲から得る感情は違うと思うので、好きに受け取ってもらいたいです。『Smile Again』を切ない曲だと受け取る人も、爽やかな曲だと感じる人もいますよね。聴く人に幸せになってもらえればうれしいです」

受け手に委ねる姿勢は、自分の表現への自信の表れでもあるのだろう。JUNONはこれからも楽しみながら音楽と歩み、貪欲に高みを目指し続ける。

SPUR9月号 BE:FIRST JUNON
コート¥862,400・ブルゾン¥651,200・シャツ¥92,400・ネクタイ¥25,300・リング¥100,100・ブーツ(参考商品)/ボッテガ・ヴェネタ ジャパン(ボッテガ・ヴェネタ)

「実は、履いているブーツは足のつけ根まであるロングタイプ。すごく印象的なスタイルが完成しました。このルックが一番好きかも」。JUNONさんも絶賛のスタイリングは、シャギーなモヘアに包まれたコージーなアウターと、モダンなサイハイブーツとのコンビネーション。ブーツの艶にグラマラスなロック魂を忍ばせて。

SPUR9月号 BE:FIRST JUNON
SPUR9月号 BE:FIRST JUNON
リバーシブルジャケット¥1,144,000・ニット¥181,500/フェンディ ジャパン(フェンディ) ネックレス¥52,800/トムウッド プロジェクト(トムウッド)

80年代のディスコティックなムードが漂うフェンディの秋冬コレクション。シーズンを象徴するワンショルダーのニットトップスに初挑戦。「ジャケットと合わせると、意外とメンズでもアリ! いつもよりもヘアを緩くスタイリングしたので、リンクするようなやわらかいムードがいいですね」。

音楽をめぐって、JUNONにQ&A

SPUR9月号 BE:FIRST JUNON
ニット¥89,100・パンツ¥89,100・靴¥71,500/JW ANDERSON伊勢丹新宿店(JW アンダーソン) シャツ¥52,800/THE WALL SHOWROOM(PROTO TYPES) アイウェア¥51,700/ケリング アイウエア ジャパン カスタマーサービス(ボッテガ・ヴェネタ)

「僕は青が好きなので、このニットも靴も同系色でまとまっていて、いいですよね。ラフなパンツを合わせてオフの日の私服にしたい。カエルの靴にも目が奪われますね!」。JW アンダーソンのフロッグスリッパは思わず見る人を笑顔にするキラーアイテムだ。

Q これまでに音楽を嫌いになったことはある?

A 人生で一度だけあります。僕が大学受験の勉強をしている頃、妹が音楽の専門学校に入ったんです。家でアコースティックギターを弾く音が本当にうるさくて……それで一時期嫌になりました(笑)。

Q 自分のボーカルの魅力を分析すると?

A 「これがJUNONだ」と言えるのは、やっぱりファルセット。あと、どんな曲の世界観でも、そこからはずさず歌えて、だけど自分の個性が削がれることもないというのは強みと言えるかもしれません。

Q 「Smile Again」で苦労した点は?

A 高音をスコンと出すのは難しかったですね。でも出だしのAメロなどは自分に合ったキーで歌わせてもらっているので、自然に表現できている気がします。難しくなさそうに見える曲かもしれないですが、ラストの締めのパートに差し掛かってくると少しハードなんです。

Q 昔から自分の歌に自信があった?

A カラオケでそれなりの点数が出たから下手ではなくとも、特にうまいとは思ってなかったんです。高音が得意とも認識していなかったので、「THE FIRST」でその点を評価していただいてびっくりしました。実は一時期、意識してちょっとテンションを上げてしゃべるようにしていたんですよ。それで地声が高くなったかもしれません。

Q これまでのBE:FIRSTの活動の中で思い出深かったのは?

A やっぱり2022年の「NHK紅白歌合戦」と「日本レコード大賞」。誰もが一度は見たことがある番組に出演できたことは本当に印象深かったですね。その経験があったからこそ、「頑張ってまた出たいな」という気持ちが強まって、努力する糧にもなっています。

Q 原点といえるアーティストは?

A AAAさんです。中学生の頃友達に教えてもらって、「音楽って音だけじゃなく視覚でも楽しめるんだ」と。ダンス&ボーカルというアーティストの形を初めて認識しました。「THE FIRST」でSKY-HIさんといざ対面したときはプレッシャーがすごかったです(笑)。褒めていただいてホッとしたし、「いい記念になった。もう受からなくてもいいや」と思いながら帰りました。

Q 今、憧れるアーティストは?

A keshiさん。ファルセットとローな地声を合わせた楽曲も、ご本人の雰囲気もすごくカッコいいんです。声の幅が広くて最初に聴いたときは2人組だと思ったので、ソロだと知ったときはとても驚きました。自分もそんなふうにいろんな声色を出せるアーティストになりたいです。

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