激動の時代をしなやかに歩みながらも、まっすぐに自分らしい表現を貫き通す。唯一無二のパフォーマンスで、世代や性別を超えて支持を集めるあのさんがSPUR初登場!ハイファッションとの化学反応を切り取りながら、ニューアイコンの魅力に迫る
激動の時代をしなやかに歩みながらも、まっすぐに自分らしい表現を貫き通す。唯一無二のパフォーマンスで、世代や性別を超えて支持を集めるあのさんがSPUR初登場!ハイファッションとの化学反応を切り取りながら、ニューアイコンの魅力に迫る
あのさんのプロフィール
9月4日生まれ。2020年にano名義でアーティスト活動をスタートし、’22年にメジャーデビュー。’23年末にはTV アニメ「チェンソーマン」第7話エンディング・テーマ「ちゅ、多様性。」で「NHK紅白歌合戦」に出場した。俳優、タレント、モデルとしても活躍中。
あのちゃんは一言でいえば、ロックスター。自分をしっかり持って、歯に衣着せず、正直に発信していくスタンスは、往年のロックスターのような魅力を感じます。反骨精神もありますしね。でもただ反発しているわけではなくて、ベースには元から持つ優しさがあるから、多くの方に受け入れられているのだろうなと思います。デジタルネイティブ世代らしくネットの使い方も上手で、自分に求められることがよくわかっているけど、一方で嘘がつけない性格。歌詞にもそんな内面がにじんでいるし、独特のワードセンスが発揮されているから、みんな彼女の音楽に惹かれるんでしょうね。ここ数年の世間は、あまりにも上っ面なもので満たされていたから、あのちゃんのような個性をみんなが求めていたというか。彼女の立ち居振る舞いに、多くの人が真実を感じているのだと思います。
1980年生まれの漫画家。代表作に『ソラニン』『おやすみプンプン』など。現在『MUJINA INTO THE DEEP』を連載中。劇場アニメ化された『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』では、あのさんが主人公の一人、おんたん役を演じた。
嘘をつかず、 自分に正直でいる。そういう生き方しかできないから
自分を見失わないために目的意識を大切にする
アイドルグループに所属していた頃から高いファッションセンスと個性あふれるパフォーマンスで多くのフォロワーを獲得していたあのさん。ソロアーティストとしてデビュー以降はその魅力が増し、世代や性別を超えて愛される理想のアイコンとして熱い視線を受けている。そのことについて話すと「自分は全然ちゃんとしていないのに、なぜ憧れてもらえるのかはわからないんですけど(笑)。めちゃくちゃうれしいですね」と、飾らない口調で語った。ファッションやビジュアルはもちろん、自分のスタイルを貫く姿勢も、老若男女に愛される要因だ。
「理想像はなく、『こういう姿勢で生きていこう』ということも意識しないまま来たんですけど、嘘をつかず、自分に正直でいるところは昔から変わらないですね。そういう生き方しかできないので、必然的に。ファン層が広がっていることはすごく実感します。小さなお子さんがぼくの音楽を聴いてくれたり、ライブにおじいちゃんやおばあちゃんが来てくれたり。うれしい気持ちが大きいけど、発言や振る舞いに責任を持たなきゃいけないな、と思うことも、昔より増えました」
アーティストとして活動する傍ら、バラエティ番組への出演、俳優や声優としての活動、ブランドのモデルに至るまでマルチに才能を発揮。その姿を見ない日はない活躍ぶりだ。息抜きをする暇もないほど目まぐるしい日々の中で、“自分らしさ”をどのように保っているのか。「目的意識を大事にしています。『今日のこの仕事を、自分は何のためにやるのか』と、できるだけ毎回考えるんです。そうしないと『なんでやっているんだっけ?』『なんでここにいるんだっけ?』と、わからなくなっちゃうから。自分の意思を都度確認することで、一つひとつのお仕事に対してやりがいが増すし、自分自身を見つめ直すことができます」
“届ける”という意識が今は高まっている
8月21日にリリースする新曲「愛してる、なんてね。」は、自身初のラブソング。切ないメロディに、胸を締めつけられるようなリリックを乗せた楽曲だ。作詞はあのさんが担当、尾崎世界観さんが作曲、ケンモチヒデフミさんが編曲を手がけた。多忙な日々の中、撮影の合間を利用して歌詞を書き進めていき、悩みながら完成させた。
「ラブソングを書くのは珍しいことなので最初は不安だったけど、後半はすごくスムーズに書けて楽しかったです。Aメロ、Bメロは少し攻撃的でトゲのある詞ですが、サビでは言葉にするのが恥ずかしいような感情をストレートに書きました。その対比も意識しましたね。尾崎さんのファンなので、いただいた曲に詞を乗せることにプレッシャーを感じつつ、尾崎さんの歌詞の持ち味である言葉遊びに今回ぼくもチャレンジして。母音の置き方とかすごく勉強になりました。そしてケンモチさんのアレンジが入ることで曲の雰囲気ががらっと変わって、ポップになったんですよ。尾崎さんもケンモチさんも個性が強いので、掛け合わさることで新しいものが生まれた感覚があります」
以前は自分の中から湧き出てきたものを作品に反映していたが、タイアップ曲やテーマが提示された楽曲も手がけるようになり、曲の作り方に変化が生まれた。
「これまで通り自分の中から湧き出てきたものと、テーマに沿わせることを融合させるようになりました。架空の物語の主人公を一人描いて、自分とその人が二人で並走しているイメージというか。違う人格を持つ別の一人を軸として立てることで、幅が広がる感覚があるんです。自分がいいと思うだけじゃなく、共感してもらえる作品にしたい。“届ける”という意識は、昔よりもすごく高まっていますね」
周囲の期待にこたえるように、アーティストとして進化を続けるあのさん。快進撃の先に目指すのは、どんな場所なのだろうか。
「演出面はもちろん、サウンドも含めて世界観を突き詰め、理想のライブを作り上げたいですね。それによって、“あの”という存在が唯一無二になると思うんです。バラエティも演技も、今日のようなファッションのお仕事も、全部そこにつながっていくと思うし、やって無駄なことはない。大変は大変だけど、全部できるのが自分かなと思うので、引き続き挑戦していきたいです」
やわらかく甘く響く声と、ゆったりとした語り口。その奥には、新時代を担うアイコンとしての、揺らぐことのない信念が存在した