【2024年人気記事プレイバック・カルチャーコラム編】年末年始の読書にも! SPURエディターが本当におすすめしたい本5選

2024年にSPUR.JPで公開したエディターコラムから、「本」に関する人気記事を厳選! 年末年始、ゆっくりと読書に耽る時間を計画中のあなたに、エディターおすすめの5冊をお届け。

2024年にSPUR.JPで公開したエディターコラムから、「本」に関する人気記事を厳選! 年末年始、ゆっくりと読書に耽る時間を計画中のあなたに、エディターおすすめの5冊をお届け。

カフカの“断片”に出合う【カフカ断片集】

カフカ断片集

「あらゆることに、わたしは失敗する。いや、失敗することさえできない」ーーそう書かれた本の帯に惹かれ、エディターMICHISHITAが手に取った一冊の本。

それが『カフカ断片集』(新潮文庫・¥693)。
かの高名な作家であるカフカが、手記や日記、創作ノートなどに残した言葉を集めた断片集です。編訳を担当された頭木さんが「断片こそ、カフカ!」と語るほど、魅惑的な言葉の数々。それらは物語として完結している訳ではなく、日常のモノローグのようでもあり、詩のようでもあり、祈りのようにも感じられます。

カフカというと、どうしても難解で不可解な作家というイメージがあったのですが、この本の中に現れる姿は、彼の人間性も透けて見えるよう。
表紙に書かれた「海辺の貝殻のようにうつろで、ひと足でふみつぶされそうだ」という言葉からは、あまりに儚く繊細なガラス細工のような、美しさを感じます。まるで穏やかな波のように、読み手の心を癒したかと思えば、読者を突き放すかのようなシニカルで絶望的な一編も。この世の不条理さも、人の愚かさもナイーブな魅力も、一冊に全て詰まっているのです。

数行の文章の、小さな“断片”の中に広がっている無限の宇宙。そこに、カフカという人物が持つ、人を引きずり込んでやまない力を感じられる一冊です。

『梨泰院クラス』『ヴィンチェンツォ』『私の解放日誌』など。心を震わす名作韓ドラには“22人分”の秘密があった!

韓国ドラマを深く面白くする22人の脚本家たち
『韓国ドラマを深く面白くする22人の脚本家たち』ハンギョレ21、シネ21著/文 岡崎暢子訳(クオン/2,420円)

かれこれ20年以上Kドラマにどっぷり浸かっているエディターKISHIが、「発売されたら絶対に買う!」と決めていた本がこちら。

『韓国ドラマを深く面白くする22人の脚本家たち』です。韓国書籍を取り扱うクオンから出版されています。私がかれこれ20年以上Kドラマにどっぷり浸かっていることはさておき、想像以上に内容が濃く、端的に素晴らしすぎた! このレベルの22人の売れっ子脚本家の記事を見られるなんてそうそうないですし、韓ドラ好きはもちろん、日頃から文字に触れる機会が多い人や、脚本家志望の人も見て損はしないというかインスピレーション源になるのではないかと思う、そんな本です。

心に雨が降ったなら。友人、パートナー、家族をケアをするあなたに【雨の日の心理学】

雨の日の心理学/KADOKAWA ¥1600+税
雨の日の心理学/KADOKAWA ¥1600+税

誰かの心をケアする局面が訪れたときにおすすめしたい1冊、『雨の日の心理学』。誰にでもわかりやすく、面白く、かみ砕いて書かれているため、エディターITAGAKIは、1日で読みきってしまったほど。

この本はそんな「こころのケア」に役立つ技術がたくさん詰まっています。たとえば、話を聞く際には何時から何時までという時間をあらかじめ決めておくこと、相手に話をする場所は決めてもらうこと、そしてこれは面白いなぁと思ったのですが、対面ではなく並んで座ること。ほかにも相槌の方法や、勇気を出して「その話、もうちょっと詳しく教えて」と踏み込んでみること、そしてその日にすべてを聞き出そうとせず、「また話そう」と未来への約束をしておくことなど、やさしさに満ちたティップスが理由とともに詳らかに書かれています。

【海からの贈物】を読んで60年前を生きた女性と握手する

海からの贈物

小説が一番好きなジャンルだというエディターMONNA。ネイリストさんに勧められて読んでみたところ、とても面白かったというエッセイがこちら。

最初にサロンで紹介された時は、その美しい浜辺の装丁から「海の環境についての本かしら」と安直に考えてしまったのですが、これは約60年前に書かれた、アメリカ人女性、アン・モロウ・リンドバーグよるエッセイです。著者が日常を離れ、とある浜辺に一人で暮らす二週間のあいだに、自分について、女性について、社会について、考えを巡らせ筆を走らせるという体裁です。貝殻になぞらえて章が展開していくので、「海からの贈り物」というタイトルなのです。

約60年前に書かれたとは思えないくらい、「わかる!」に溢れていて、とても面白く読みました。当時のアメリカは家事にまつわる文明機器も発達し、ウーマンリブの機運も高まり、かつての時代を生きてきた女性より生きやすくなっているはずなのに、その空いた時間や余裕も、料理や、買い物や、請求書や、医者や、歯医者や、家族の診察や、友人との集まりの準備や、手紙や、電話や、送り迎えなどのことで絶えず頭を使っていなければならない、といった内容を目にした時の驚き! 今と全く同じです。絶対に昔より楽になっているはずなのに、こんなに忙しないのはなぜでしょう! 生活とはそういうものなのかもしれませんが、それに対して本書では、愚痴や具体的な時間の捻出方法ではなく「どうしたらそんな中で自分自身と調和がとれた状態」を作れるか、について言及されています。

昔の本なので、女性観については時代なりの内容に思えることもありますが、今読んでもはっと気付かされることや我が身を振り返ることが多く、これからも疲れた時は読み直したいなと思える本になりました。

【特別編】|自分だけの一冊をつくる!【マイブック】

マイブックー2024年の記録
マイブックー2024年の記録

読むのではなく、1年かけて自分だけの一冊をつくる。エディターMICHISHITAが見つけたのは、日付と曜日だけが入った「白い本」。

それが、「マイブックー2024年の記録」。

本物の文庫本そっくりそのままのサイズのノート。ページをめくると、1枚ごとに日付と曜日が書かれています。それ以外は何もないまっさらな世界、それはまるで日記帳のよう……!  
けれど、使い方は自由自在。もちろんダイアリーのようにして使うもよし、読んだ本や映画の記録に使ってもよし。使い方は無限大です。

私は、日々読んでいる本や映画や、友人との会話の中でハッとさせられた素敵な言葉を書き留めています。普段忙しいと忘れてしまうようなことも、ページの上に残していける。はじめて1ヶ月ほどが経ちますが、その日によって自分の筆跡も違ったり、あの時はこの言葉が刺さったんだな……なんて回想するのも楽しい。ペンを持って紙に文字を走らせる時間も、心が落ち着きます。
携帯しやすいサイズ感で、思い立ったときにサッと書き留められるところも◎。バッグに忍ばせています。

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