デビューから約3年と半年。走り続けてきた彼が、つかの間、立ち止まる。台北をさまよいながら深呼吸をして、見据えるのは新たなステージ。さらなる飛躍へとまた歩みを進める、JUNONの余白の時間に密着する
デビューから約3年と半年。走り続けてきた彼が、つかの間、立ち止まる。台北をさまよいながら深呼吸をして、見据えるのは新たなステージ。さらなる飛躍へとまた歩みを進める、JUNONの余白の時間に密着する
できることが増えていく、その感覚がすごく楽しい
デビュー以来、常に走り続けてきた彼のつかの間の〝逃避行〟。そんな撮影テーマを「本当に旅をしている気分」と楽しんでいたJUNON。とはいえ彼自身は多忙な日々にも、現在挑戦中のワールドツアーにも疲れを見せない。むしろ、充実した日々の手ごたえをうれしそうに語ってくれた。
「〝ただただ楽しい〟と感じる時間が多いです。ドームやアリーナと違って海外のライブハウスでは大がかりな演出ができないので、曲を次々と展開していく構成。しかも国内よりも公演時間が短い中で、最高潮の楽しさを生むことができている実感があって。BE:FIRSTのライブに場所や環境は関係ないと改めて感じました。だからこそもっと誰も知らない場所でやってみたいという気持ちも芽生えて。以前『ストリートライブをやってみたい』と提案したことがあるんです。100%自分たちを知らない人たちの前でパフォーマンスする怖さを経験して、得られるものは大きいと思う。それから海外に長く滞在して作品制作にもトライしたい。それぞれがホームステイをして、仕事のときだけ集まるのもいいな」
ワールドツアーでは日本とは違い、スマートフォンでの撮影が禁止されていない。それは彼の向上心に刺激を与えた。
「たくさんの人にレンズを向けられた状態でライブをするのは初めてで。中には近い距離で僕だけを撮る方もいるので、僕が中心となった映像でもいいパフォーマンスとして成立するということ、よりミスをしないことを意識するように。そうやって気を張るのは、いいことだと思っています」
ツアー中に滞在したロサンゼルスでは、ダンスレッスンも受けた。
「ダンスがうまくなりたい、その思いで受けました。オーディション当時はダンスを試練としか思っていなかったんですが、徐々に好きになっていって。以前は音楽を表現する手段は歌しかなかった。でも今はダンスもある。踊ることで表現の幅が広がったことがうれしくて。だから自分のソロ曲『Nova Flame』も踊る曲にしたんです。社会人1年目の年から始めてダンス歴はまだ浅い。最近は自分の体型に合ったいい見せ方を模索しています。たとえばどれだけSOTAがうまくても、SOTAを真似て全部が上達するわけじゃない。僕は腕が長く、手が大きいことに難しさを感じることもあって。LAでのダンスレッスンでは自分に似た体型の方も多かったので勉強になりました。次は半年くらい米国に滞在してダンスレッスンを受けてみたいです。目下の目標は、躊躇なくフリースタイルが踊れること。まだ苦手意識があるので……」
うまく踊れないところがあるとひたすら練習をする。柔和なオーラをまとっているが、心の内には情熱を秘めているJUNON。SKY-HIが「できるまでやる根性派」と称したこともうなずける。
「踊っていないときでもうまく踊れていない箇所が頭に浮かんで反芻してしまう。呪いみたいに(笑)。デビュー当時の楽曲は下手な段階で振り入れをしているので、それを見直したり、公演が終わったら映像を見て直したりもします。しょうがないことなのにMVを見て〝今ならもっとうまく踊れるのに〟と思うこともありますね」
〝悔しがり屋〟と自称する負けず嫌いの性格が、目覚ましい成長を支えている。
「もともと人より劣っているのが好きじゃないんです。自分より上がいるのは当たり前なんだけど、身近な人たちよりも上に行きたい。あまり表に出していない、すごい〝裏の自分〟ですけど。オーディションのときも選ばれない未来は見えていなかった。ゲームにしろ何にしろ、とにかく〝勝ちたい〟という気持ちが強い。それは他人だけでなく自分に対しても。負けたと思うと一人でめっちゃキレています(笑)」
飄々として見えて情熱家。その行動力は、プライベートでも発揮される。
「普段は家から出ない超インドア派。だけど好きなものに対しては行動力を発揮するタイプです。世界の音楽に触れたくてロサンゼルス公演の前にはコーチェラフェスティバルに3日間行きましたし、訪れる国の興味のある場所にできる限り足を運びたいと思っています。ラスベガスにあるSphereにも完成してすぐの時期に行ったんですよね。行ける可能性があったのに行けないと、悔しくて、結構引きずっちゃうんです。自分のやりたいことができない人生は嫌だな、と思ってしまう。今はオープンしたばかりのUniversal Epic Universeのハリー・ポッターエリアに行きたいです」
好奇心が強く、常に新しい世界に飛び込むことをいとわないJUNON。今年はワールドツアーのほか、CMプロジェクトでのオリジナル曲の制作、さらには個人としての大きな挑戦も控えている。「2025年はゼロからの挑戦が多い年」と語る。
「できることが増えていく感覚がすごく楽しいです。新しいことに挑戦することに恐れはある。オーディションのときから緊張していないように見える、とよく言われるのですが全然そんなことないです。だけど不安だったとしても、それは自分の中だけのことでほかの人には関係ないんですよね。人は意外と他人を気にしていない。昔どこかで見た『緊張するほど自分は大層な人間じゃない』という言葉が心に残っていて。何事も客観視することが大事だと思っています。それにきちんと準備をする。そうすれば落ち着いて挑戦できるから」
5月には27歳の誕生日を迎えた。どんな年にしたいか尋ねたら「早く30代になりたいから、その準備をしっかりしたい」という答えが返ってきた。
「25歳くらいから30代に憧れを持つようになりました。漠然とかっこいいイメージがあって。でも、まだ準備ができていないので本格的に始めないといけない。その頃にはソロでもワンマンができるようになっていたいので、もっと曲が作れるようになりたいです。飽き性なので人に与えてもらっているばかりじゃ続かない。自分がやりたい音楽をできるような環境を整えていきたいと思っています。夜型なのでメロディもリリックも夜になるといいものが浮かんで、明け方まで作っていることが多いですね。性格診断も昼と夜で違う結果になるくらい、夜は思考がクリアで。でも反対に朝が弱いのが、本当に情けないなと反省しています。3月に高校を卒業したRYUHEIがどんどん夜型になって朝も弱くなっているけど(笑)、俺がBE:FIRSTの中で断トツに朝が弱いので。朝に起きられるようになればできることも増えると思うので、30歳になるまでに改善したいです」
スマートフォンには〝30歳までにかなえたいこと〟のリストがあると見せてくれた。
「ソロとしての目標とか、恥ずかしくてなかなか見せられないものが多いですが。そんなに恥ずかしくないものだと……『26歳より元気』って書いてありますね(笑)。大きな目標でもタイムリミットを含めて書くことで、自分が鼓舞されるんです」
無垢な情熱と、冷静な思慮によって未来を切り拓いてきたJUNON。数年後に迎える30歳も、きっと輝かしい時になる。

1998年生まれ、東京都出身。7人組のダンス&ボーカルグループ、BE:FIRSTのメンバーとして2021年にデビュー。2025年4月からアメリカ、アジア、ヨーロッパの全12都市を回る初のワールドツアーを開催。話題のドラマ「波うららかに、めおと日和」の主題歌「夢中」も収録する最新シングル「GRIT」もスマッシュヒットを記録。