古書や純喫茶は今も昔も神田神保町の変わらぬアイデンティティだが、ここ数年の間に急増中のニュースポットが新たな風を吹き込んでいる。新旧のカルチャーをのみ込んでますますその魅力を増す街を、俳優の橋本愛とともに歩く
古書や純喫茶は今も昔も神田神保町の変わらぬアイデンティティだが、ここ数年の間に急増中のニュースポットが新たな風を吹き込んでいる。新旧のカルチャーをのみ込んでますますその魅力を増す街を、俳優の橋本愛とともに歩く
神田神保町
「本の街」神田神保町となったのは、明治時代に多くの学校が開かれたことに端を発する。高いレベルの知識が集まる、文化を抱く場所として成熟を遂げていった。世界最大級の古書店街として、現在も訪れる人々は引きも切らない。近年はその歴史の象徴的存在だった「岩波ホール」や「柏水堂」などが惜しまれつつ閉じてしまったが、次の時代の神保町を形作るべく、新たな息吹が宿り始めている。
神田ポート
1964年に建てられた印刷会社の旧社屋をリノベーション。都市生活者の新しい居場所を提供する文化複合施設として2021年に誕生した。地下1階には本格的なフィンランドサウナ、1階にはカフェやオリジナルのグッズを扱うショップとギャラリー、上階には「ほぼ日の學校」や印刷会社「精興社」が入居。定期的にイベントや展覧会も行なっている。
●東京都千代田区神田錦町3の9 ☎なし
◯営11時30分〜20時(サウナラボ神田は21時30分まで) 不定休
Instagram: @kanda_port
Wols Books
ビジュアルブックを中心に、国内外のアートに関する古書を扱う「ヴォルス ブックス」は2023年オープン。重量のある写真集も置いて眺めることができるように高さを設計した、特注の可動式本棚が設置された店内は、落ち着いて選書できる空間となっている。源喜堂で長年写真集を担当していた店主の河村愼一郎さんの目利きを堪能しよう。
●東京都千代田区神田神保町3の10の3 松晃ビル1F ☎03−6261−2251
◯営11時〜18時30分 ㊡日曜、祝日
Instagram:@wolsbooks
Donato Records
お茶の水で営んでいたジャズ喫茶「ドナート」を閉めたあと、同名の中古レコード店を2024年にここ神保町にオープンした店主の加藤寛之さん。自身もレコードコレクターであり、商品のレコードの値札にびっしりと書き込まれた説明文からは、加藤さんの音楽とレコードへの愛が感じられる。音楽に関連する書籍もあり。
●東京都千代田区神田神保町1の39の8 ハウス神保町2F ☎なし
◯営14時〜19時(月〜木、土)、14時〜22時(金) ㊡日曜
Instagram: @donato_records
清井商店
東京で本当においしいソーキそばを提供したい、という思いに突き動かされた店主が2024年秋に開いた。知る人ぞ知る勝浦の名店「だいにんぐ 清」で学んだ味をベースに、オーセンティックな沖縄の味を提供する。汁そばのほかに焼きそば、ソーキ丼やジューシーなども取り揃えて、たちまち神保町の新ランチスポットに。
●東京都千代田区神田神保町2の10の14 THE CITY神田神保町1F ☎080−2330−3700
◯営11時〜15時 ㊡日曜・祝日
Instagram:@kiyoishouten2024
シネマリス
「小さくても善いものを」という理念を掲げ、この秋開業を目指すミニシアター。支配人の稲田良子さんは、第二の人生を映画館運営に情熱を捧げよう、と脱サラ(!)をしてこの世界へ飛び込んだ。「シアター1」と「シアター2」それぞれ65席ほどのスクリーンを備え、1で新作や特集上映、2では旧作を上映する予定だ。
●東京都千代田区神田小川町にて開業予定 ☎03−6803−3214 不定休

はしもと あい●1996年、熊本県出身。最新の出演作に、映画『早乙女カナコの場合は』(’25)『リライト』(’25)など。大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」にも出演。独自の感性を生かしてファッション、コラム、書評などの連載を持ち幅広く活躍。