#カン・ドンウォン と出演作『チョン・ウチ 時空道士』を共に振り返る【釜山国際映画祭2025】 #gangdongwon #강동원

これまでにない新たなプログラムが続々と導入されているのも今年の釜山国際映画祭の特徴。その一つ「カルトブランシュ」にカン・ドンウォンが出演。自身が推す作品を観客と共に鑑賞するのがこのプログラムの主な目的。ということで、早速、その劇場へ。

これまでにない新たなプログラムが続々と導入されているのも今年の釜山国際映画祭の特徴。その一つ「カルトブランシュ」にカン・ドンウォンが出演。自身が推す作品を観客と共に鑑賞するのがこのプログラムの主な目的。ということで、早速、その劇場へ。

カン・ドンウォン 釜山国際映画祭2025  カルトブランシュ  チョン・ウチ 時空同士

2009年の映画『チョン・ウチ 時空道士』をカン・ドンウォンと共に鑑賞。

監督や俳優、小説家など映画界や文化界の著名人が厳選した“推し”の作品を上映、観客と共に鑑賞しながら、その作品について振り返る、というのがこの「カルトブランシュ」。今回からスタートした新プログラムであるこのコンテンツに参加するのは監督のポン・ジュノ、マギー・カン、小説家のウン・ヒギョン、ジャーナリストのソン・ソクヒという錚々たる顔ぶれなのですが、その俳優代表として登場するのがカン・ドンウォンというわけです。

「釜山国際映画祭は今年で30周年なので、僕が少しでも役に立つことがあればという思いでやってきました」というカン・ドンウォンは、白のシンプルなタートルに赤の革のジャケットというカジュアルなスタイルで登場。早速、劇場がファンの大きな歓声で包まれたのはいうまでもありません。

彼が推す今回の作品は2009年に公開された映画『チョン・ウチ 時空道士』。朝鮮時代の人気古典小説をモチーフに大胆なアレンジで描いたSFアクションコメディ活劇とでも言いましょうか。かなりぶっ飛んでいる作品なのであります。

時代は500年前の朝鮮時代。カン・ドンウォン演じる主人公のチョン・ウチは、やんちゃというか、チャラいというか、天真爛漫というか、とにかく自由奔放に術を使いながら王さまとかを騙したりなんかして暮らしているわけです。そんなチョン・ウチが妖怪騒動に巻き込まれ、現代に呼び出されたことで巻き起こるドタバタぶりを描いているわけですが、カン・ドンウォンもこの映画を観るのは16年ぶりのことなのだとか。

「この作品は、私が一番よく知っている映画なので、皆さんにぜひ紹介したかった」というのが、この作品を「カルトブランシュ」に選んだ理由。この演出を担当した監督のチェ・ドンフンは、当時、カン・ドンウォンを念頭に当て書きしたそうで、監督からのオファーを受けたものの、そのシナリオが出来上がるまでにはそれから1年もかかったのだとか。「デビュー以来一度も休むことがなかったけれど、その時だけ唯一休むことができたんです」。

CGなしで臨んだアクションシーン 江南の高層ビルでの撮影はとにかく怖かった!

カン・ドンウォン 釜山国際映画祭2025  カルトブランシュ  チョン・ウチ 時空同士

上映後はカン・ドンウォンのじっくり1時間に及ぶトークが。

作品の一番の見どころといえば、何といっても妖怪相手に壮絶に闘い合うアクションシーン。高層ビルから江南の街を見下ろしたり、ワイヤー一つで壁を垂直に登ったり、ワイヤーで飛びながら不安定な石垣や瓦の上にピタリと座らなければならなかったり、かなり体を張ったアクションの数々が痛快に描かれています。今だったらCGで合成することも多いシーンも、当時は現場で実際に自らの体を張って撮影したのだとか。例えば、チョン・ウチが現代に来て、ビルの上から街を見下ろすシーンでは「江南通りのビルの上だったと思います。そのビルの上に本当に立って撮影するのですが、足がブラブラしているんですね。本当にすごく怖かったです。風も吹いていたし、高所恐怖症かどうかはわかりませんが、とにかくとっても怖かった」

そんな当時の撮影の思い出を話すうちに、熱を帯びてきたのか、「ちょっといいですか」と言いながら、トークの途中でジャケットと下に着ていたカーディガンをいきなり脱ぎ出すシーンも。当然ながら、観客からは黄色い歓声の嵐。

「今、改めて映画を観て、本当にすごく苦労しながら撮ったのを思い出しました。監督が望む絵が描けるよう、僕も美術チームも武術チームもみんな大変な思いをしながら頑張ってやり遂げた。当時は韓国でワイヤーをそんなに多く使った作品はなく、従来にないジャンルだったと思います。監督も大変だったんだなと、すごいストレスだったんじゃないかなと、今回観て改めて悟りましたね」。

映画ではチョン・ウチがいろいろなキャラクターに分身するシーンもあるのですが、「大好きなドラゴンボールからヒントを得て」と、カン・ドンウォン自らが、そのアイデアを提案したというエピソードも披露。「とにかく動線が混乱して、撮影も大変でした。夜も含めて11日連続して撮った記憶があります」。

続編も期待!? 足りなかったストーリーを完成させたい

カン・ドンウォン 釜山国際映画祭2025  カルトブランシュ  チョン・ウチ 時空同士

情熱的に語るカン・ドンウォンに客席から熱い視線が。

キム・ユンソク、ユ・ヘジン、ソン・ヨンチャン、キム・サンホ、チュ・ジンモなど、脇を固めたのは演技派の先輩たち。

「ビールを飲みながら、先輩たちとその日の撮影について話すのがとても面白かったですね。先輩たちは昔の話もしてくれて。当時は僕がマンネ(末っ子)だったから、より楽しかったのではと思います。最近はマンネになることはほとんどないですからね。先輩たちと一緒に作品を作っていくという実感を得たのもこの作品。映画を撮る楽しさというか、同志愛みたいなのが生まれたような気がします。撮影の待ち時間には焚き火をして、その火で焼いたサツマイモを食べて。昔は、今よりずっと待ち時間も長かったですから」。

客席からは『チョン・ウチ 時空道士』2を期待する声も。

「一番重要なのは、作ろうとする側の意志よりも、観客の方が観たいかどうかだと思います。実は10ページほどシナリオを書き込んだものもあります。読んだ人は面白いと言っていましたが、製作費も心配だし、そう思っているうちに少し冷めてしまったんです。でも、最近は時が来たら、と思うこともあります。どんな新しいことを盛り込むのか、この作品で足りなかったストーリーを完成させてみたい気持ちもありますし、観客の方に私たちの少し足りなかった部分を満たしてみたいですね」。

ということで、ひょっとしたらこの奇想天外なSFアクション活劇。その続編が遠い将来、観られるかもしれませんね。

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