2024.03.05

Jun. K(From 2PM)の音楽道! 『THE BEST』から2PM曲まで、Jun. Kと古家正亨が音楽を語りあう

2015年に作詞作曲した2PMの「My House(우리집/ウリチブ)」が2020年にTikTokで世界的に大バズリしてヒットチャートを逆走し、リバイバルヒット。人気動画コンテンツ「THE FIRST TAKE」でも、その独自の歌声からJun. Kワールドに引き込まれた人々のコメントが続く。シンガーとしても高く評価され、その世界観を作り上げるコンポーザーとしても大活躍。そして、ライブなどでその魅力が発揮されるユーモア溢れるキャラクターを持つ、Jun. K(from 2PM)。

この冬、12月13日に自身初のベストアルバム『THE BEST』をリリース。これを記念し、ラジオDJ&イベントMCとして人気の古家正亨さんをゲストに迎えて、Jun. Kさんの音楽を掘り下げる対談をお届けします。2011年の2PM日本デビュー時からのお付き合いという2人だからこそ話せる、読み応えたっぷりなトークをご堪能ください。

音楽で最も重要なのは「テーマをどのように込めるか」

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古家正亨 『THE BEST』には、Jun. Kさんがこれまで日本で発表してきた曲が時系列順に収められていますよね。歴史的な記録とも言えますし、1本の映画を見ているような感覚も覚えました。

Jun. K ありがとうございます。僕としては絶対に新曲を入れたいと思い、新曲「Command C+Me」を加えた構成になりました。2PMとしてデビューして15年、そしてソロとしては9年経っているけれど、通して聴いてみると、いまだに変わらない僕の独創的な要素や、情熱と意欲を感じましたね。

古家 ヒップホップに始まり、ソウル、ネオソウル……ジャンルもさまざまですが、歳を重ねるにつれて、関心を持つ音楽のスタイルが変化していったのですか?

Jun. K いえ、実は変わっていないんです。自分の音楽で最も重要な部分は、スタイルというよりは、「テーマをどのように込めるか」だと思っています。歌詞で表現しきれなければ、ビジュアルなどでも表現できるよう力を尽くします。今は音楽だけで説明しきれる時代ではないと思っていて。「人々の感情に訴えかける」ということをずっと考えていますね。

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古家 なるほど。では新曲の「Command C+Me」は、どんな流れで制作したんですか?

Jun. K 今年の頭にこの曲が完成した際、僕は正直「難解な曲だな」と思いました。もちろん難解なものには解釈する楽しみも込められているので、必ずしも否定的な意味ではないんです。私たちが生きているこの世界には、多くの模倣や複製が存在しますよね。PC上では「command+C」で簡単にコピーできるけれど、安易に行うのは恐ろしいですよね。そんな今、社会に起きている現象を表現しました。それと英語の音をあてて「come and see me」として、「みんな、僕を見に来てくれるよね」と別の意味を持たせました。

古家 深いですね。確かに、僕も最初に聴いた時は、ストレートに理解できなかったんです。でも聴くたびに、曲の雰囲気と歌詞の世界観が溶け合っていくのを感じて。聴けば聴くほど味が感じられる。そんな曲で感動しました。

Jun. K (笑顔で)ありがとうございます。

古家 キャリアを積んできた今だからこそ、こういう曲が作れたんじゃないですか?

Jun. K そう思います。気軽に描けるテーマではないので。時間を重ねてきた今だからこそ作れましたね。

古家 コロナ禍の期間はなかなか思うように動けないこともあったと思いますが、制作活動に何か影響はありましたか?

Jun. K ライブができなくなって、アルバムも出せなくなり、曲を作るモチベーションを見出すことが難しかったですね。曲を作る仲間と直接会うことも難しかったですし。普段は1人でメロディと歌詞を書くので、1人で作業するのが気楽ではあるんです。でも編曲の方向性を決めるときは、対面で会うことでインスピレーションを得たり、エネルギーを受け取れたりしますから。ボイスメモを送って意見を交わすことはあっても、寂しい時間でした。

ライブでは、お客さんと一緒に感じたい

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古家 10月には2PMの15周年公演を有明アリーナで行いましたよね。久々に日本で公演を行って、いかがでしたか?

Jun. K ライブを続けられることは大きな幸運であり、僕ができることの中で、一番自分がうまくできることだと実感しました。それを守ってくれたのはファンの皆さんだなと改めて感じ、この人たちを幸せにしたいと思いました。

古家 僕は15周年ライブに行って、すごく感動したんです。4時間という時間が、あんなに短いなんて! 想像もできなかったです。

Jun. K 僕たちもびっくりしました。もう4時間も経ったの?と(笑)。

古家 最初から最後まで本当に見応えがありました。2PMをはじめ第2世代のアーティストの皆さんは、ものすごく努力をして日本で音楽活動を頑張ってきたから、これほどしっかりと人気が今に至るまで定着しているのだなと。そして11、12月には、大阪と横浜でソロライブ『Jun. K (From 2PM) BEST LIVE “3 NIGHTS”』を開催しましたね。セットリストを作るときは、何を一番に考えましたか?

Jun. K 実は決めるのにとても時間がかかったんです。自分で書いたメモをスタッフに渡したら、「これは脚本?」と言われて(笑)。照明の付くタイミングから登場の仕方まで、細かく構成を書き込んでいたんですよね。本当にいいものを作りたかったし、観てくださった方に「またJun. Kのコンサートを観たい」と絶対に思ってほしかったので、つい熱が入りました。僕はいつも、ただコンサートを観てもらいたいのではなく、お客さんと一緒にそのときのエモーションを感じたいんです。皆さんがライブで見ているのは、映像ではなく生身の人間。一緒に感じて呼吸することが何より大事です。

JYP史上で初めて、タイトル曲に自作曲が選ばれた感動

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古家 僕の印象では、2PMの曲は一緒に遊びたい曲。対してJun. Kさんの楽曲は、聴き入りたい魅力があると感じています。

Jun. K 聴き込んでくださりありがたいですね。ちなみに、古家さんが一番好きな僕の曲は何か、聞いてもいいですか?

古家 アルバムでは『THIS IS NOT A SONG』が一番好きなんですが、曲は『LOVE & HATE』の収録曲「With You」。マーヴィン・ゲイ愛を感じます。そしてアルバム『LOVE LETTER』の表題曲も、スウィング・ジャズ感が気持ちいいですね。以前にインタビューで、幼いころに聴いたブラック・ミュージックからかなり音楽的に影響を受けたと話されていましたが、本当にR&B、ソウル、ジャズといったサウンドを愛しているんだなという印象を受けました。今でも僕は、「LOVE LETTER」を自分のラジオでよくかけているんですよ。

Jun. K わあ、ありがとうございます!

古家 同じような音楽をやっている韓国の歌手はほとんどいないですよね。Jun. Kさんは小さい頃からいい音楽を聴いてきたんだろうなと感じます。では私からは、自身の活動の中でターニングポイントになった曲を、2PMとソロでそれぞれ教えてもらえますか?

Jun. K (じっくり考えて)ターニングポイントですよね……。

古家 自分の中に変化が感じられたタイミングの曲、何かありましたら。

Jun. K 2PMでいうと、「ミダレテミナ」です。この曲は僕が作ったんですが、事務所のプロデューサーであるJ.Y. Parkさんの曲ではないものがタイトル曲になったのは、JYPの歴史上でこれが初めてだったんですよ。絶対無理だろうと思っていたんですが、選ばれて、本当にうれしくて。決まった日は、会社の屋上で母に電話しました。 僕は幼い頃から作曲をするなど音楽に関心を持っていましたが、家の中では反対もあって。そんな中、ずっと僕のことを信じてくれたのが母でした。

古家 お母様、喜んだでしょうね。

Jun. K 「本当におめでとう」と言ってくれました。ただただ感謝の気持ちが湧いてきて……その日のことは忘れられないですね。そして、ソロでターニングポイントになった曲は「NO LOVE」です。普通はマイクを隣に置いて作曲することが多いですが、この曲はマイクに向かって、跪いて作っていったんです。歌詞もない状態で、自分の内から溢れてくるものを表現したんですが、今でも当時の自分の熱情のようなものを時々思い返します。初心を思い出させてくれる曲ですね。

K-POPらしさとは曲の進行

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古家 なるほど。ではJun. Kさんがリスナーとして聴いていて、気持ちが高まる曲はどんな曲ですか?

Jun. K 僕は80年代の日本のシティポップが大好きで、よく聴いているんですよ。メロディが本当にいい曲が多いです。あと、当時のミックスもすごく好きで。『THIS IS NOT A SONG』のアルバムではあの雰囲気を出したかったんですが、今の制作環境や機材は洗練されてしまっているから、あの雰囲気をどうやっても出せないんですよね。

古家 当時のシティポップはレコーディング予算がとてもあったから、レコーディングのためだけにLAに行ったり、黒人のミュージシャンを起用したりしていましたね。

ここ数年のアメリカのヒットチャートを見ていると、2、3年前はヒップホップが中心だったけど、最近はカントリーやロックが復権している印象で。その中でK-POPやラテンミュージックへの関心も高まっているのかなと個人的には感じているんですね。昔よりいろいろなものが共存しているなと。Jun. Kさんの目にはどんなふうに映っていますか?

Jun. K カントリーにロック、ヒップホップ……それぞれのシーンがありますが、K-POPが浮上してきてからはまだ日が浅いですよね。リスナーの好みによって、どんどん細分化されてマニアックになっている印象があります。     

古家 最近の中高生は、洋楽を聴いて「K-POPっぽい」と感じるんだそうです(笑)。でもそもそもは、K-POPが洋楽を参照していますからね。K-POPらしさとは、なんだと思いますか?

Jun. K 僕が思うには、曲の進行が大きな要素だと思います。ジャンルはさまざまに融合しているので定義が難しいんですけど。K-POPはこれまで、バース、フック、プリコーラス……という型が主流でしたが、今はフックが大事で、バースがない場合もある。ポップスという大きな枠の中で、いろんな視点が生まれているように思いますね。

古家 時代に合った、自然な流れですよね。そして楽曲の尺がどんどん短くなっていますよね。今やK-POPの主流は、1曲が3分前後。2倍速で再生するのが当たり前なんて人もいますし。 

Jun. K 僕はこれからもっと短くなっていくと思いますよ。人々がよりせっかちに何かを求めていくにつれて……。

古家 ええー。2分とかが主流になっちゃいますか?

Jun. K 僕の「Command C+Me」は、2分51秒です(笑)。

古家 なるほど!(笑)

Jun. Kを守ってくれたのはファンの皆さん

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古家 今後についても聞かせてください。これまでJun. Kさんの楽曲からは、愛や平和に関する思いを多く受け取ってきました。今後、シンガーソングライターとして、音楽でどんなメッセージを伝えていきたいですか?

Jun. K メッセージの内容がどうというよりは、僕の中にテーマやアイデアが浮かんだときに、それをファンの皆さんや多くの方々と共有したいです。それが僕の夢であり、これからずっとやり続けていきたいことですね。音楽を作って世に出すまでの過程は、本当に大変です。大勢の人と意見を交わして、悩みながら作り上げていく。僕自身に自信も必要です。どうすれば人の心に残るものを作れるか。そんなことを最近はよく考えています。音楽を続けていくことは簡単でも当たり前でもありません。ひたすら悩み考え、アイデアを共有することによって、続けていくことができる。音楽にとどまらず、映像やバラエティなどあらゆる表現方法を考えて、どうしたら人々と共有できるかを常に模索していますね。

古家 ありがとうございます。最後に、ファンの皆さんへの思いを教えてください。

Jun. K 僕の本名はミンジュンですよね。でも僕は、Jun. Kというアーティストでもあります。先日ソロライブを行ったときに、その“アーティスト・Jun. K”を守ってくださったのが、ファンの皆さんだと実感しました。大阪の初日ではあまりのありがたさに、何度も熱いものが込み上げてきて、泣きそうになりましたね。僕が何年も日本に来られなかったのにもかかわらず、こんなに会場をいっぱいにしてくださる方々がいる。改めてこの方たちを幸せにしたいと思ったし、これからはファンの皆さんを僕が守っていきたいと思いました。より感動を届けられるような努力をしていきたいですね。

「IDOL RADIO LIVE IN YOKOHAMA」に、Jun. KとNICHKHUNが出演決定!
2024年3月26日(火)会場:Kアリーナ横浜
https://www.2pmjapan.com/info/archive/?560567

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