暑い夏には極上ビールが一番! コンビニ&スーパーで買えるクラフトビールBEST7【うち飲み向上委員会vol.3】

じめじめして蒸し暑い一日の終わりに、ご機嫌を運んでくれるビール。おうち時間が増えた今年の夏は、近所のコンビニエンスストアやスーパーマーケットで今夜はどれにしようかとビールを選ぶのを楽しんでいる人も多いはず。今回の「うち飲み向上委員会」では、近年、冷蔵棚で存在感が増し増しな“クラフトビール”にフォーカス! コンビニやスーパーで買えるクラフトビールを、ゲストとともにお届け。今回も(独断と偏見で)勝手に「ベストうち飲み賞」を2本発表しちゃいます〜!


文筆家・イラストレーターの岩田リョウコさんとクラフトビールを飲み比べ!

エディターAKIYAMA(以下A)日本でもすっかり定着したクラフトビール。大手ビールメーカーも造るなど、ますますアツい! でも、自分を含め実はクラフトビールというものをよくわからないままに飲んでいる人も多いと思うんです。そこでクラフトビールの本を執筆している文筆家・イラストレーターの岩田リョウコさんをお招きし、クラフトビールについてのあれこれを聞きながら、みんなのお気に入りを発表します!

岩田リョウコさん(以下I)世界にはユニークでおいしいクラフトビールが山ほどあって、人生をかけても飲みきれないほど。今はこうやってクラフトビールがコンビニやスーパーで買えるようになって、本当にありがたいです。

ライターYOKOMIZO(以下Z)今まで「とりあえず」とフィーリングで飲んできましたが(笑)、ちょっと知識が増えたり、背景を知ったりすると単純に楽しい。自分好みの味を見つけやすくなりそうです!

USクラフトビールのパイオニア的ブルワリー、ブルックリン・ブルワリーの「ブルックリンラガー」(ライターZリコメンド)

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ブルックリンラガー〈330㎖〉オープン価格/キリンビール(ブルックリン・ブルワリー)

日本のラガーとは一線を画す、ブルックリン生まれのラガー

Z まずはこれを聞かないと始まりません! そもそもですが、クラフトビールって何でしょう?

I クラフティな、つまりクリエイティブなビールのこと。材料にこだわって、時間をかけて作るビールで、生産量も少なめ。明確な定義があるわけではないのですが、そういうものがクラフトビールってなってきていますね。昔は小さな醸造所が造っているビールのことを言っていましたが、今は大手メーカーも造っています。

Z もっとサイエンスな話なのかなと思っていたので、筋金入りの文系としては難しいことではなく安心しました(笑)。このブルックリンラガーは、ビールの種類はラガーですが、ここについてもわかったフリしてきたもので、改めて教えてください! 

I 
普段私たちが飲んでいるビールのほとんどは、ラガーかエールに分類されます。このふたつは、ひとことで言うとビール酵母が違う。エールビールは上面発酵酵母で造られ、ラガービールは下面発酵酵母で造られています。ほかに必要な原料は麦芽・ホップ・水で、製造工程も基本的に同じですが、発酵させる時の温度や期間に違いがあるんです。エールビールの酵母は扱いが簡単だから、小さい醸造所でも造ることができる。冷蔵技術のない古代に造られていたのもエールです。

A 日本の大手メーカーのビールはラガーが多いんですよね!?

I その通り! ラガービールの酵母は低い温度でしっかり発酵させるので、大規模な施設が必要だし管理も難しいと言われています。まずエールとラガーの分類があり、それぞれのカテゴリーの中でさらに細かいビアスタイルに分けられているんです。

A なるほど〜!!! ラガービールの味わいの特徴は?

I 喉越しが良く、すっきり爽快、ごくごく飲める。日本人にとってはこれこそがビールの印象なので、芳醇で飲みごたえのあるエールビールに驚くことが多い。でも、このブルックリンラガーはちょっと違いますね。

Z  キレがあるというよりも、なめらかな口当たりとフローラルな甘みが印象的。あとから苦味がやってくる、余韻が好きです。イオンやライフなど、スーパーマーケットで取り扱いがありますよ。初めてのクラフトビールを知ったのが、ブルックリン・ブルワリーだったので近所のスーパーで買えるなんて感慨深い〜。

A ラガー慣れしている私たちには、最初の外国っぽいビールとして入りやすいかも!

味もビジュアルもおしゃれ極まる!「ホップフロンティア ジューシーIPA」(エディターAリコメンド)

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ホップフロンティア ジューシーIPA〈330㎖〉¥498(価格は編集部調べ)/ファーイーストブルーイング

A 今年の3月に発売された新作です。まず面構えが素敵で、手に取っちゃう。 ナチュラルローソンで手軽に購入できるのもありがたい!

Z 映えてますねぇ、イケてるミュージシャンのジャケ写みたいなパッケージ。おっされー!

A 製造もすごくこだわりがあって、 最新のホップ理論に基づくビール造りが行われているの。ホップの香りに着目し、最大限に引き出すことができたフルーティなアロマが新鮮。

Z スタイリッシュな味がします! シャンパンを飲んでいるような、リッチさも感じる。今まで飲んできたIPAとはまるで違って、苦味も強くありません。

I これはジューシーIPAなので、通常のインディアンペールエール(IPA)とは別のスタイルで、苦味が抑えられています。IPAはペールエールにホップを大量投入し、強烈な香りと苦味をつけたもの。2000年より少し前頃にIPAがだんだんと国内に入り始めて、ラガーに慣れていた日本人は「なんじゃこりゃ!?」となった、クラフトビール界の黒船だと思う(笑)。

A IPAに苦手意識がある人は是非トライしてみてほしいですね。IPA鎖国状態だった人も、両手を広げて開国したくなっちゃいますから!

トレンドのビアスタイル「バラストポイント アロハ IPA」(岩田リョウコリコメンド)

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バラストポイント アロハ IPA〈355㎖〉¥582/ナチュラルローソン(バラストポイント)

アワード勝ちまくりブルワリーがナチュローで買えちゃう♡

I  アメリカ・サンディエゴ発のバラストポイントはさまざまなアワードを受賞するめちゃくちゃ評価の高い、すごく有名なブルワリー。そんなところのビールがナチュラルローソンで売っていたからびっくりして、思わずツイートしました。

A 世界的なコンクール荒らしの凄腕が、市民大会に突如現る的な感じですかね(笑)? それまで酒屋さんでも取り扱いがなかったのですか?

I 瓶のタイプはクラフトビールの専門店などで買うことはできたんですけど、ナチュローでは缶で登場。最初は見間違えかと思いました。

Z 凄腕バイヤーがいますね、ナチュローには。

I ナチュローのセレクションは素晴らしいと思います。どれから飲んでみようかと迷ったら、ナチュローに行けばクラフトビールのドアが簡単に開けられる。

A このビールの好きなポイントは?

I  水の分子に味が凝縮されているような感じがします。苦さもあるのにクラフティで、飲みやすい。

A マンゴーやパイナップル、グアバのフレーバーがトロピカル! このビールはヘイジーIPAというビアスタイルなんですね。

I ヘイジーIPA2年くらい前から流行っていて、トレンドになっています。ニューイングランドスタイルというもので、ビールは濁った色が特徴。IPAなのに、フルーティで優しい味わいなんです。ホップの苦味もちゃんと感じられるので、ビールの苦さを好きな人も満足する。日本のブルワリーでも造り始めています。

Z 守備範囲が広いオールラウンダー!たしかにバランスが良く、ちょっと格上な味がします。

I 是非おすすめしたいクラフトビールのひとつだったので、そう言ってもらえて嬉しいです。

ハッピーな気分を運ぶ「ビッグウェーブ ゴールデンエール」(ライターZリコメンド)

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ビッグウェーブ ゴールデンエール〈355㎖〉¥473/コナビール

Z クラフトビールってちょっと高く感じるけど、レストランで飲むことを考えたら安いですよね。外食する機会が減ったこともあり、最近は強気で買えるようになりました。ビッグウェーブ ゴールデンエールは、味もパッケージもお気に入り。

I  ハワイで飲むビールっていう感じの、軽快な味。飲みやすくて、私も好きです。このビールを造っているハワイ島にあるコナビールの醸造所も開放的な雰囲気で素敵でした。

Z  醸造所にビアレストランが併設されていて、生ビールと窯焼きピザの組み合わせが最高だったなあ。ハワイのビールって、寛げてハッピーな気持ちにさせてくれる。 これも成城石井などで買えるので、リラックスしたい時はイチオシです。

A ところでクラフトビール界隈では瓶と缶はどちらが人気なのですか?

I 軽くて持ち運びがラクなので、アメリカでは缶が主流になりつつあります。コロナ禍のステイホームでグロウラー(ビールのマイボトル)を持っていって量り売りしてもらうのが、だいぶ一般的になってきました。

A 量り売りはエコですし、なかなか難しいかもしれないけど日本でも浸透していくといいですよね。グロウラーはアウトドアでも活躍してくれるので、スタンレーの真空グラウラーを使い始めたところです。10度以下で24時間保冷してくれるから、気軽な外遊びのときにぴったり。

Z クーラーボックス要らずだし、ナイスアイディア!

I 私のオススメは、ユーケグのサーバー一体型のグロウラーです。お店で使用されているビールサーバーの構造と同様の仕組みを採用し、好きなクラフトビールを入れて注げば、フレッシュな味わいが楽しめる優れもの。

Z ちょっとお高いけど、そのスペックなら納得ですね。見た目も格好良くて、インテリアとしても置きたいくらい。お手軽系だと缶に取り付けるドウシンシャの絹泡ビアサーバーもいいですよね。超音波振動できめ細やかでクリーミーな泡ができちゃうんです。

A ビールギアがあるとうち飲みがますます充実するし、ギフトとしても良いよね!

飲まなきゃ損!な黒ビール「黒潮の如く」(岩田リョウコリコメンド)

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黒潮の如く〈350㎖〉¥525/京都醸造

飲まず嫌いな黒ビールへの見方が変わる!

Z このブルワリーは、日本で出会ったウェールズ、アメリカ、カナダ出身の3人が創業者なんです。黒ビールってあまり日本では一般的ではありませんが、いかがですか?

A
どっしりしすぎず、飲みやすくておいしー! それでいて奥深い味がします。

I スタウトというビールスタイルで、エールビールの分類。黒くなるまでローストした大麦や麦芽を原料に醸造される、褐色のビールです。コーヒーやチョコレートのような甘みが感じられて、ゆっくり味わいたい。これまで店頭で買えるところが多くなかったんですけど、成城石井で販売されるようになってぐっと身近になりました。

Z ぬるくてもおいしそうですね!

I それ正解です! スタウトってグラスを手であっためて飲むんですよ。キンキンに冷やしてはダメ。ラガーはキンキンがおいしいけど、エールはそこまで冷やさず飲むのがおすすめ!

ヤッホーブルーイングとローソンがコラボ「僕ビール君ビール」(エディターAリコメンド)

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僕ビール君ビール〈350㎖〉¥294/ヤッホーブルーイング

アルコール度数は4.5%と普通のビールよりも低め!

A ヤッホーブルーイングとローソンが共同開発したオリジナルクラフトビールです。レモンやマスカットを思わせるフレッシュな香り、飲みやすさがずば抜けています!

Z ほんのりスパイシーな味わいと爽やかな苦味で、ビールのイメージが変わる。このセゾンというビアスタイルは初耳です。これもエールですか?

I
エールの分類で、昔ベルギーやフランスの一部で夏の農作業の間に飲まれていたと言われる、季節限定のビールです。労働中に飲むものだから喉の渇きを癒すことが求められていたので、飲み口が軽いのが特徴。ヤッホーブルーイングが現代的にアレンジして、新たなビールファンを獲得しそう。

A ヤッホーブルーイングのビールはカジュアルな雰囲気があって、パッケージも可愛く気分が上がる!

I コンビニで見かけたら、飲んでみようかなと思わせてくれるビールですよね。ずっとぶれずにおいしいビールを造っているブルワリーだと思います。

歴史ある味わいがクセになる!「ドゥシャス・デ・ブルゴーニュ」(岩田リョウコリコメンド)

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ドゥシャス・デ・ブルゴーニュ〈330㎖〉¥598/ヴェルハーゲ醸造所

Z 飲む前に名探偵が発動しちゃってもいいでしょうか? このビールはですね、長い歴史のあるブルワリー、そしてクセのある味わいが予想されます。

A 重厚感のあるこのパッケージデザインでそうじゃなかったら、逆に驚きだよ(笑)。

I 名推理! 醸造所の設立は1885年、歴史あるベルギーのブルワリーです。お酢のジュースみたいでとてもユニークな味わい、すっぱくておいし〜! 

Z まるでナチュールワインのようで、複雑な味がします。ホームズも思わず惚れてまうやろな、魅惑的な犯人だ。

A ビールは犯人ではありません(笑)! でも今まで体験したことがない味わいだね。酸味がすぐりなどのベリー系を思わせる。このビールもコンビニやスーパーで買えるんですか?

I 成城石井で発見しました!ドゥシャス・デ・ブルゴーニュみたいなビールもあるんだと、知ってもらいたくて。実際にフルーツを使っているわけではなく、発酵方法やオーク樽で寝かせることによってこういう味を造り出しているんです。そういう製法もクラフトビールの面白さ!

A 本当に種類が豊富なんですね。岩田さんはちなみにどんなビアスタイルがお好きなんですか?

I サワーとスタウトが好みです。サワーは、クランベリーのような酸味があります。ドゥシャス・デ・ブルゴーニュはレッドエールなのでスタイルは違いますが、こちらも酸っぱくておいしいんですよ。

A また違うビアスタイルが出現! クラフトビールはネバーエンディングストーリーですね。


〜今回の「べストうち飲み賞」を発表します!〜


Z
7本のクラフトビールを飲みましたが、それぞれ味が違ってまったく飽きない! ビールの種類についてもとっても勉強になりました。

A 甲乙つけがたいですが、またまた(独断と偏見で)勝手に「ベストうち飲み賞」を発表しちゃいますよ〜!

I ファーイーストブルーイングのホップフロンティア ジューシーIPA、おいしかったです。日本のビールなんですけど、海外の造り手が造ったような味わい。

Z 私もホップフロンティア ジューシーIPAに一票! 進化系な味でしたよね。どこか未来的なので、SF映画やピコピコな音楽のお供にしたい。

A なんとなーく言いたいことはわかる(笑)。私はバラストポイントのアロハ IPAが大好きになりました!

Z 知っています。他の試飲へ移っても、おかわりが止まらなかったことを名探偵はチェックしていましたから(笑)。

A バレてたか! だってもう、おいしくてさ……。

I そんなに気に入っていただけて嬉しいかぎりです。でも今日飲んだものも、ほんの一部。まだまだ紹介したいビールがあるし、私自身もっと開拓していきたい。

A まずはコンビニとスーパーへGO! クラフトビールで未知との遭遇を楽しんでほしいですね!

うち飲み向上委員会メンバー

岩田リョウコ
クラフトビール、コーヒー、サウナがないと生きていけない文筆家・イラストレーター。週に1度ボトルショップで世界中のクラフトビールを爆買いしては、あーだこーだ言いながらテイスティングをするのが日課。著書に『エンジョイ!クラフトビール 人生最高の一杯を求めて』『HAVE A GOOD SAUNA!』など。Twitter@ilovecoffeejp 
ライターYOKOMIZO
おいしいお酒とごはんのためなら、高い海外輸送費も厭わず即ポチ。苦手な家事は休日に大好物の泡を飲みながらやっつけます。最近は海外の料理番組を観て、妄想トラベル。
エディターAKIYAMA
お酒はもっぱら外でハシゴ酒だったのが、ここ1年でうち飲みの魅力に開眼! おいしいお酒を飲みながら、ほろ酔い気分で愛猫と遊ぶのが至福の時間。

photography:Kyouka Inoue illustration:Abbott Okutani text:Momoko Yokomizo

FEATURE