はじまりは編集部に届いた1通の案内状から。そこにはファーストコレクションとは思えないスタイリッシュなビジュアルがあった。SPURがいち早く推す、新たな才能に突撃取材!
伸縮性に富んでいながら、コットンタッチで着心地は軽やか。レイヤードにも使えるリブ風トップスは家庭で洗えるというところもポイント。トップス¥36,000・パンツ¥38,000/伊勢丹新宿店(ポステレガント) 中に着たシャツ¥26,000/ポステレガント ブローチ¥21,000/H.P.FRANCE(ウッターズ・アンド・ヘンドリックス) 靴¥49,000/エドストローム オフィス(アデュー)
次世代クリエイターが考える、新しいエレガンスとは?
デビューシーズンから伊勢丹新宿店での取り扱いを獲得した話題のブランド「ポステレガント」。デザイナーの中田優也はターゲットを"物の本質を知る大人の女性"と語る。
「ブランド名にはふたつの意味をこめています。ひとつは"ポスト+エレガント"="エレガントのその先"。そして、もうひとつ"レガント"はラテン語で"所作"を示すため、"所作や振る舞いが先にある"という意味になります。自分が描いている女性像は時代の空気は理解しながらも、価値のある服を着たいと思っているような人ですね」
その洗練されたコンセプトからも伝わるように、中田の描くビジョンは幼い頃から明確だった。彼のデザイナーになりたいという夢は小学校の卒業アルバムですでに記され、大学在学中にはモードの中心地であるパリに1年間留学する。
「ヨーロッパのクチュール文化にみるような、立体の分量感やラインに重きを置いた、感覚的な服作りについて学びたくて、パリに留学しました。僕はマルタン マルジェラが好きだったこともあり、関わりのあったルッツでインターンとして働いたのもいい体験になりましたね」
初コレクションのキーとなるのは、リブ編みのようにみえるが、実は綿とポリエステルを織り上げたという新素材。「ポステレガント」の強みは素材開発も手がけるところだ。 「素材が好きなので、それを活かしたデザインを目指しています。とにかく日本の職人さんを直接訪ねて、思いを伝えることを大切にしていきたいんです」
ユニセックスに着られるのも、注目したい点。そこには次世代のクールな視点とともに、熱い想いもこめられている。
「実はシャツの個人オーダーは半分以上が男性で、コートも人気でした。自分は男性で、レディスを着るわけではないので、女性のパタンナーに意見を求めながら、主観と客観を行ったりきたりしながら作っています。実はプライスレンジも海外での展開を考えて、採算の取れるギリギリの価格帯でおさえているんですよ。僕の主観だけが先行して、着る人に届かないのではだめ。男女問わずに、この服をみてもらって、『欲しい! 着たい!』というところまで思わせたいんです」
Profile
YUYA NAKATA
なかた ゆうや●ファッションデザイナー。名古屋学芸大学を卒業後、文化ファッション大学院大学に進み、首席で修了。卒業後、2年間はインハウスデザイナーとして企業に勤めたのち、2017―’18年秋冬より自身のブランド「ポステレガント」を立ち上げる。
SOURCE:SPUR 2017年9月号「SPURの最強ショッピングリスト2017」
photography:Mitsuo Okamoto、kimyongduck(portrait) styling: Ayaka Endo hair:Takao Hayashi make-up: TOMOHIRO MURAMATSU〈SEPT〉 model:Katie
SPURの最強ショッピングリスト2017 ブランド編
着たい服はどこにある?
トレンドも買い物のチャンネルも無限にある今。ファッション好きの「着たい服はどこにある?」という疑問に、SPURが全力で答えます。うっとりする可愛さと力強さをあわせ持つスタイル「POWER ROMANCE」。大人の女性にこそ必要な「包容力のある服」。ファッションプロの口コミにより、知られざるヴィンテージ店やオンラインショップを網羅した「欲しい服は、ここにある」。大ボリュームでお届けする「“まんぷく”春靴ジャーナル」。さらにファッショナブルにお届けするのが「中島健人は甘くない」。一方、甘い誘惑を仕掛けるなら「口説けるチョコレート」は必読。はじまりから終わりまで、華やぐ気持ちで満たされるSPUR3月号です!