2017.08.19

スタイリスト・浜田英枝の偏愛トレンドムードボード

いつもコレクションをリアルタイムでチェックしながら、来たる秋冬シーズンに思いを馳せるスタイリストの浜田英枝さん。モードに対する圧倒的な熱量を持つ浜田さんが導き出したのはどんなトレンドなのだろう?

100回もショーをやりながらも、この鮮度!

 秋冬の偏愛トレンドにまず浜田さんが選んだのはドリス ヴァン ノッテン12)。今季は100回目となるランウェイショーを披露した。「記念の回とあって、アーカイブを用いてアップデートし、より洗練されて、力強さが増してました。私も毎シーズン購入していますが、アーカイブと新作を組み合わせても、不思議とマッチするんです。今回は往年のトップモデルが登場し、それぞれのモデルの人生×ドリスのドラマティックな化学反応が起こっていて。まるで洋服を育てているかのよう。年をとってもモードはまだまだ楽しめると思わせてくれる唯一無二の存在です」

撮影するのが待ち遠しい! 目に鮮やかな新人パワー

シエス・マルジャン34)は昨年にパリでデビューした新人。デザイナーのサンダー・ラック氏はドリスで経験を積んでいたんです。そして、撮影で使いたいのがモリー・ゴダード5)。秋冬だけどシースルーの可能性に気がつかせてくれました。このテク、使えそうです。彼女の服は、デザイナー自身(6)が一番似合っているところにも好感がもてる。両者とも色や素材づかいがドラマティックでクチュール的な感覚をもっていて、期待大!」

都会的なメタリックはスタイリングの肝になる

「ドリスの興奮さめやらず、自分をアップデートしてくれるアイテムについて考えていると、今季は"光りもの"なんじゃないかな」と浜田さんは予想。そこで挙げたのはネヘラ7)とJ.W.Anderson8)という勢いのある2ブランド。「民族的なスタイルに輝きを加えるとぐっとモダンになります。光沢のあるニットというのも気になるアイテムのひとつですね」

モードを面白くさせるのは "イメージの裏切り"

 メゾンの鮮やかな発想の転換に浜田さんは注目し、ヒントを得ている。「いつもレディライクなディオール1011)はデニムのサロペットを提案したり、ヒールのかかとがハート柄になっていたり、そのパンクマインドが心に響きました。一方、バレンシアガ9)はレトロな花柄のドレスに白いタイツというアヴァンギャルドなスパイスを加えて、古くならないスタイリングが秀逸。既存の価値観を覆してくれる"裏切り"を感じるとワクワクしてきますよね」

色の魔術師2大巨頭あらわる

「若手の刺激的な色にも惹かれますが、やっぱりヴァレンティノ121314)とエルメス151617)の色選びは圧巻。秋冬なんだけれど、繊細なシャーベットカラーを配したヴァレンティノ。そして、エルメスはもちろんワントーンも素敵ですが、色と色の掛け合わせも注目ポイント。まねできない工夫とセンスがそこにはあると思います」

ほっこりしないフォークロアの解釈

 この秋冬、トレンドのひとつにノルディックニットというキーワードが浮上。アイキャッチで可愛いアイテムを浜田さんはどう考える?「ノルディックニットに代表される、フォークロアやノマドな気分はトレンド全般に見受けられますが、今年はハイブリッドなボトムと合わせるなど、ほっこりしないテクニックが必要。ロエベ18)は一言で『〜っぽい』と言い表せない巧妙なスタイリングが必見です」

スタイリングの妙を味わう 進化系テーラード

「ストリートトレンドが終息に向かい、真逆のテーラードスタイルが出てきていますね。カルバン・クライン20)やステラ マッカートニー19)なんかはまさにその急先鋒。カルバン・クラインは鮮やかなグリーンのスカート、ステラはミニスカートに白い靴。どちらも都会的にまとめられていることに注目を」

Fusae Hamada
SPURをはじめモード誌で活躍するスタイリスト。雑誌のほかに、広告やカタログなども手がける。足もとや小物づかいなど、細部にいたるまでこだわったスタイリングテクニックにファンも多い。

SOURCE:SPUR 2017年9月号「SPURの最強ショッピングリスト2017」
photography:Jonas Gustavsson illustration:Bob Foundation edit &text:Michino Ogura

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着たい服はどこにある?
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