セバスチャン・ムニエと過ごす、「無限」の街東京

Sébastien Meunier / セバスチャン・ムニエ

フランス出身。エスモードパリ卒業。マルタン・マルジェラで10年の経験を積み、2010年にアン・ドゥムルメステールのスタジオに移る。2013年よりアーティスティック・ディレクターに。

取材場所近くで、幾何学的構造がユニークな建造物を発見。 「今回の来日では観光をする時間がなかったので、またすぐ戻ってきたい」

1 春夏コレクションを着たSHUNSUKEと記念撮影。「隣に立つと、 何やらいい香り。聞くとキールズの『オリジナル ムスク』を使っているとのこと。 おしゃれな人は香りでも個性がわかります」(SHUNSUKE)
2・3 ロバート・メイプルソープとパティ・スミスにインスパイアされたアン・ドゥムルメステールの2018年春夏メンズ、ウィメンズコレクション。 こうして並べると、メンズのフェミニンさとウィメンズのマスキュリンさが際立つ

 都心の高層マンション、ちょうど背景に建設中 の新国立競技場を臨むペントハウスで、セバスチャン・ムニエは待っていた。写真で見るよりずっと長身で細く、見事なレース刺しゅうを施したエクリュのジャケットを着たその様子は、まるで詩人のような佇まいだ。「今日着ているのは2015年春夏のジャケット。私がアーティスティック・ディレクターとして手がけたメンズのコレクションです」。そう英語で語る彼の口調からは、フランス語のアクセントを聞き取ることができる。

 ベルサイユ近郊のヴェリジー=ヴィラクブレーで生まれたセバスチャンは、生粋のパリデザイナー。キャリアの転機が訪れたのは、2000年のこと。当時、自身のブランドを始めたばかりだった彼のもとに、マルタン・マルジェラからの連絡が入る。「顔合わせはたったの15分。彼のスタジオで働かないか、というオファーでした」。その電話がきっかけとなり、セバスチャンはマルジェラのチームで10年もの歳月を過ごすこととなる。

 その後、"アントワープ6"の一人であるアン・ドゥムルメステールからのオファーを受け、新たなキャリアをスタートさせたセバスチャンは、2013年にはアーティスティック・ディレクターとして、アイコニックなベルギーブランドを引き継ぐこととなる。「アンが築き上げたヘリテージを刷新させるのが私のミッション。私は、彼女が築き上げたジェンダーレスという概念を、まったく逆のアプローチで取り入れることにしました。たとえば春夏のメンズコレクションで発表した花柄のシャツは、ロバート・メイプルソープのフラワーポートレートをモチーフにしたものですが、同じシーズンのウィメンズコレクションでは、パティ・スミスをインスピレーション源にマニッシュなスタイルを提案しています。セクシャルな要素は、時に逆説的に、ジェンダーレスな人物像を明瞭に浮かび上がらせることがあるのです」

 これまでに数え切れないほど日本を訪れてきたというセバスチャン。東京へのイメージを聞くと、無限という単語が返ってきた。「来るたびに新たな発見がある東京は、自分にとって無限のインスピレーションを与えてくれる場所です」

from SHUNSUKE

穏やかなセバスチャン。アン・ドゥムルメステールとの思い出を話すときのキラキラしたまなざしが印象的。

#Ask Sébastien

Q 一番よく使う絵文字は?
A 

Q お気に入りのインスタグラムアカウントは?
A @arca1000000

Q 今お気に入りの曲は?
A ワーハウスの「We Fucked A Flame Into Being」、ロキシー・ミュージックの 「A Song For Europe」、イギー・ポップの 「The Pure And The Damned」

Q バケーションで行くなら?
A ティボリ

Q 自分を3つの単語で表すとしたら?
A Shy(内気)、Flamboyant(華美)、Secret(秘密)

FEATURE